【あんぱん】北村匠海、“ウジウジした”嵩役の影響「めちゃくちゃ落ち込むように(笑)」
俳優・北村匠海が柳井嵩役で出演するNHK連続テレビ小説『あんぱん』(月~土曜午前8時)の取材会に出席し、放送終盤を迎え、これまでをふり返っての思いや作品が自身に与えた影響などを語った。作品は俳優・今田美桜が主人公・柳井のぶを演じ、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さんをモデルに、苦難に面しても夢を忘れず荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでの愛と勇気の物語。

主人公・のぶの夫で漫画家・柳井嵩を熱演「すごく有意義で贅沢な1年でした」
俳優・北村匠海が柳井嵩役で出演するNHK連続テレビ小説『あんぱん』(月~土曜午前8時)の取材会に出席し、放送終盤を迎え、これまでをふり返っての思いや作品が自身に与えた影響などを語った。作品は俳優・今田美桜が主人公・柳井のぶを演じ、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さんをモデルに、苦難に面しても夢を忘れず荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでの愛と勇気の物語。
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撮影に臨んだ1年を振り返り『あんぱん』という作品から得たことを明かしてくれた。
「嵩として本当に1年間ウジウジしたお芝居をしなくてはいけなくて、視聴者の方をイライラさせた瞬間もあると思いますが、僕自身もイライラした瞬間もありました(笑)。それぐらい僕も役と一体となって日々を過ごしていきました。お芝居が当たり前であるという感覚があらためてぜいたくな時間だったと思います。1日のうち芝居をしている時間の方が長く、それが1年続くと、嵩を通して話している方が自分にとってニュートラルな感じになったんです。その感覚は今までありませんでした。これまでは役を客観的にとらえることを意識してやってきたので、それを大事にしつつも主観になってしまう瞬間が何度もあり、そういう瞬間にすごくいいシーンができあがる成功体験もしました。すごく有意義で贅沢な1年でした」
もう一つ大きな財産と感じたことがあるという。
「出会い直すということが僕の中では大きかったです。過去に共演した妻夫木さんとかいろんな方と日々、出会い直し、今田さんも何度も出会い直してきての今回なので。僕は来年でこの世界に入って20周年になりますけど、その総決算のような感覚があったぐらい、あの時以来ですねというのがたくさんあったんです。それがとても財産になりました」
ウジウジした嵩を生きた影響はなかったのか。
「めちゃくちゃ落ち込むようになりました(笑)。長らく落ち込むことをしてこなかった気がしていましたが、嵩を演じてからめっちゃ落ち込むんです。それほど自分に影響を与えていて落ち込んだ時はやなせさんを見るようにしていました。やなせさんは本当に明るい方なので、やなせさんからエネルギーを摂取して柳井嵩に臨むというのが日々のルーティンでした。振り返れば僕が学生時代、ネガティブな人間だったのでそこに立ち返る感覚がちょっとあったのかもしれません(笑)」
北村の周囲からは北村のエンタメ業界に対する熱量の高さを評価する声が多い。この作品への思いを含めて聞いた。
「のぶと嵩の生活とか2人が歩んできた道は、普通の日常が多かったんです。僕ら2人が日々感じていたのはご飯がおいしいねというような普通の毎日。僕は、このご時世、この温かさを届けられただけでも『あんぱん』という作品に意義があったと思います。世界でまだ悲しい出来事が起きている中で、僕らは普通の毎日をどれだけ大事にできるか…のぶと嵩が日々かみしめていた気がします。これを世に届けるのが、とても大事だと思いました。あと、『なんのために生まれて なにをして生きるのか』というやなせさんの言葉。これには常に自問自答する日々でした。これはエンタメ業界に課せられている言葉のような気もします。作品一つひとつに自分は何を残して何を伝えたいのか、何のためにこの作品に僕が選ばれたのかという理由を自分の中にしっかり持ち続けないと、時間は過ぎ、世の中はどんどん変わっていく。だから役者として一日一日どう向き合うかをその言葉で突き付けられていた気がします」
演じた嵩は作詞家の顔もある。北村のDISH//としての音楽活動に影響を与えることもあっただろうか。
「ありますね。やなせさんの直される前の『アンパンマンのマーチ』の歌詞が存在し、その言葉を見ると、キャスティングの際に言っていただいた価値観、哲学の部分で本当に近かったと、すごく感じました。僕も結構あるんです。暗すぎるとされる歌詞が。でも僕はポジティブなことには必ずネガティブなことが付きものと思っているから、そこを描かないことにはポジティブは伝わらないと考えています。それを思い返す瞬間が劇中で歌詞を書いている時にいっぱいありました。影響はすごく大きく、自分の感覚は間違ってないという支えにもなる言葉がたくさんありました。僕はポジティブを描くためにはネガティブが必要と考え、光と影があるように必ず影の部分を歌詞で表現したいとずっと思っていたし、それを落とし込んできているつもりです。それを天国のやなせさんが肯定してくださっている感覚があり、やなせさんの言葉に救われつつ、大丈夫だよと言ってくださっている気がしました」
