渡辺真起子、15年ぶりの単独主演映画『無明の橋』12・19全国公開決定 女人救済の儀式が題材に
俳優の渡辺真起子が15年ぶりに単独主演を務める映画『無明の橋』(坂本欣弘監督)が、12月19日より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国で公開されることが29日に発表された。映画の舞台となる富山県では、一足早く11月28日より先行公開される。

喪失と再生をテーマにしたヒューマンドラマ
俳優の渡辺真起子が15年ぶりに単独主演を務める映画『無明の橋』(坂本欣弘監督)が、12月19日より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国で公開されることが29日に発表された。映画の舞台となる富山県では、一足早く11月28日より先行公開される。
本作は、3年に一度のみ富山県立山で実際に催される女人救済の儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」をモチーフに、喪失と再生をテーマにしたヒューマンドラマ。主人公は、幼い娘を亡くし、深い心の傷と自責の念を抱えながら生きる女性・八木由起子(渡辺)。導かれるように立山を訪れ、「布橋灌頂会」に参加し、そこで出会った人々や出来事を通じて、再び歩き出すまでの姿が描かれている。
主演の渡辺は、1998年の『バカヤロー!私、怒ってます』で映画デビューして以来、滝田洋二郎氏、阪本順治氏、黒沢清氏ら名だたる監督の作品に出演し続けてきた名優。国際映画祭の審査員も務めるなど、四半世紀以上にわたり日本映画界をけん引してきた存在であり、本作では主人公・由起子を繊細に演じる。
共演者には、立山で育ち「布橋灌頂会」の手伝いを通して由起子と出会い、行動を共にする少女・沙梨役を務める陣野小和が名を連ねる。陣野は2025年の日本テレビ系連続ドラマ『なんで私が神説教』に出演したほか、CMでも活躍する注目の若手で、本作が長編映画初出演作となる。
また、由起子とともに儀式に参加したことをきっかけに関わりを持つ夏葉役には、主演を務めたNHK連続ドラマ『いつか、無重力の宙で』(9月8日放送開始)を控え、カンヌ国際映画祭監督週間に出品された『見はらし世代』(団塚唯我監督)や実写映画『秒速5センチメートル』(奥山由之監督)への出演が話題の木竜麻生が起用された。そのほか、由起子の過去を知り、そっと寄り添う女性・美佐江役に富山県出身の室井滋が出演し、実力派俳優陣が顔をそろえている。
監督・脚本を務めるのは、『真白の恋』(2017年)や『もみの家』(20年)など、自身の出身地・富山県を舞台に、登場人物の内面に寄り添った作品を発表してきた坂本氏。第32回高崎映画祭新進監督グランプリ、なら国際映画祭、福井映画祭などで観客賞を受賞するなど、確かな実績を誇る映像作家だ。
併せて公開されたティザービジュアルでは、「布橋灌頂会」の参加者が必ず身に着ける白装束と赤い帯をまとう由起子の後ろ姿が大きく描かれ、背負う罪の意識と、まだ新たな一歩を踏み出せずにいる重みを表現する印象的なデザインとなっている。
渡辺は「大切な人を失ってしまったその人はどうやって再生するのでしょうか。答えは失ったことがある人にしかわからないのかも知れません。人は必ず、その時を迎えます。それが他者なのか自分なのかは分かりませんが。魂というものがあるのなら、それはどこに行くのでしょう。坂本監督が紡いだ時間は見つめている者と見つめられている者の物語になっていました」と本作の見どころをアピール。
また、坂本氏は「この映画の構想から、気づけば9年という月日が流れていました。ずっと心に引っかかっていた思いを、ようやく物語にすることができました。誰かを失った経験がある人、悲しみを抱えたまま立ち止まってしまった人へ。立山の風景に寄り添いながら描いたこの小さな物語が、観てくださる方の心のどこかに静かに触れ、前へ進む力になりますように」とコメントしている。
