【LDH/DDT】「唯一無二の存在に」―パフォーマーでプロレスラー・武知海青が描くビジョン
2024年2月にプロレスデビューを果たしたTHE RAMPAGEの武知海青。今年に入り、LDH所属のままプロレス団体DDTへの入団を発表した武知は、入団第1戦となった7.13後楽園ホール大会の試合後に11.3両国国技館大会への参戦を表明。ゲスト参戦ではなく、所属として参戦する道を選んだ武知の真意とは。

プロレスデビューは自分の中のターニングポイントになった
2024年2月にプロレスデビューを果たしたTHE RAMPAGEの武知海青。今年に入り、LDH所属のままプロレス団体DDTへの入団を発表した武知は、入団第1戦となった7.13後楽園ホール大会の試合後に11.3両国国技館大会への参戦を表明。ゲスト参戦ではなく、所属として参戦する道を選んだ武知の真意とは。(取材・文=橋場了吾)
武知は22年にABEMAで放映されていたドラマ『覆面D』のハオウ役でプロレスラーを演じた。その運動能力の高さにほれ込んだ高木三四郎(株式会社サイバーファイト副社長)はすぐにDDT参戦をオファーした。
「2022年にお話をいただいて、自分も出る気満々だったんですけど、2023年が自分の中で最悪の年で。何をやってもうまくいかなくて『自分って何なんだろう』みたいな、ちょっと落ち込んだ1年だったんです。23年の年末にもう1回オファーをいただいて、自分を変えたいというか、いろいろなことに挑戦している自分の方が輝いているなと思って、天からのささやきじゃないですけど、挑戦するしかないなと思いましたね。そこから、全部がうまくいきだして……。(プロレスデビューは)自分の中でのターニングポイントになった瞬間かもしれないですね」
武知はドラマ収録時に基礎的な動きは教わっていたものの、2024.2.24後楽園大会のデビュー戦にはわずか2か月弱の練習で漕ぎつけたことになる。
「まず以前教わった基礎的な動きを思い出すことから始めて、試合で使えそうな技の練習という風にどんどんグレードを上げていきました。ただ、レスラーの方々に聞くと技の完成度には限界がありますけど、リングでの佇まいやオーラ、間の取り方は天性のものだと。その部分はすごく上手だと褒められたので、自信満々にやりきるという感じでやっています。入場の時に上野(勇希=過去3回武知のパートナーを務める)さんにいつも『大丈夫、堂々としていた方がカッコいいから』と言ってもらって。なので、入場してからは『とりあえず俺を見ろ』という風に思っています(笑)」
プロレスの基本技であるドロップキックも、武知がやるととんでもない跳躍力で発射される。さらには、トペ・コンヒーロ、スワンダイブ式フォアアーム、フランケンシュタイナーといった難易度の高い技も披露している。
「(技は)ポイントで覚えていって、飛ぶ動作も足はこう、手はこう、体はこう、頭はこうと分解して見るタイプですね。1回で見て覚えるというよりも、何回かやっていただいて、それぞれの動きを覚えた状態で、それらをつなげてやってみるという感じです。ドロップキックは上野さんの飛び方がベースになっていて、『飛ぶ』の中のいろいろな要素を見てから『飛ぶ』につなげるようにしています。上野さんは、僕にとっての兄貴分で、技も精神論もいろいろなことを教えてくれますし、僕のプロレス道の軸になっている存在ですね」
武知をプロレス界にスカウトした高木は、2024年1月に行ったインタビューでこんなことを言っていた。
「芸能界にはプロレス向きの方がゴロゴロいるんだなと思います。もちろん、芸能界以外にも適性のある方はいるんですけど、芸能界でプロレス適性の高い方に出会う確率が高いですよね。プロレスの練習をする前から映像を見て頭でイメージするだけで、その通り体が動く人間がいるんですよ。ダンスの振り付けをすぐ覚えられる人は、適性があると思います。見たままをトレースして、自分の身体で表現できる……プラスして日々の基礎練習をして強さを身につけていって、最後はリング度胸ですね。即戦力的な適性は、これが一番大きいかもです」

TAKESHITAとどんな話をしたかは「お楽しみということで」
武知の相手と言えば、忘れていけないのが岡谷英樹の存在。デビュー戦で武知に対して黄色い声援が飛ぶ中、鋭い眼光と激しい当たりで武知に対抗。そして7.13後楽園大会で再会したが、岡谷はその間にヒールターンしており、ラフファイトを交えて武知を痛ぶった。
「デビュー戦でプロレスの厳しさを教えてくれた存在、ですね。(DDTに)入団してから一発目にまた試合ができるとなった時には、自分の成長した姿で対峙できたらいいなと意識していました。(イス攻撃は)僕がやられることでファンの皆さんに心配をかけてしまうのが一番怖かったんですけど、皆さん受け入れてくれてホッとしました(笑)。(イス攻撃を受けながら)これがプロレスなんだと思いながら、やられていましたね」
時間軸は前後してしまうが、その後楽園大会の前に武知はLDH JAPAN所属のまま、プロレス団体DDTプロレスリングとエージェント契約を発表した。
「中途半端で終わりたくなかったというか、(ゲスト参戦のままだと)ふわっと消えちゃいそうな気もしていたので、入団してほかのプロレスラーの方と同じ土俵に立って甘えがなくなる状況にしたかったんです。もっとストイックに取り組むこともできますし、パフォーマーとプロレスラーの『ハイブリッドパフォーマー』という唯一無二の存在になりたいという夢をかなえたかったのが一番ですね」
11.3両国国技館大会は、DDTにとって年間最大のビッグマッチとなる。この日、武知はDDT・AEW・新日本の3団体に同時所属しているG1 CLIMAX35覇者となったKONOSUKE TAKESHITAとタッグを組む(対戦相手は後日発表)。インタビューの数日前、武知はTAKESHITAと初対面を果たしていた。
「(第一印象は)めちゃくちゃ大きかったですね。大きすぎて、後姿は小さい頃見ていたお父さんのような感じでした(笑)。本当、相手ではなくパートナーでよかったなと。次お会いできるのが試合直前になりそうなので、それまでにTAKESHITAさんの試合を研究して、自分がどういう動きができるのかを想像していきたいと思っています。どんな話をしたか? それはお楽しみにとしか言えないです(笑)。両国はパフォーマーとしてステージに立ったことはりますが、やっぱり格闘技の聖地というイメージなので、控室から何からその雰囲気がある場所なので気が引き締まりますね」
武知は今後、ハイブリッドパフォーマーとしての道を歩んでいく。そして今、プロレスラーとしてはどういう存在になりたいと考えているのだろうか。
「見てくれている方々の道しるべ、ですね。自分もパフォーマーとしてプロレスラーとして人生を賭けている以上、自分の将来にもつながっていくので、並行して見ている方々の人生や夢をどんどん開いていけるような選手になりたいですね」
