新真打ちの入船亭扇白「白米のような落語でコメ不足の…」に春風亭一之輔突っ込む
落語協会(柳家さん喬会長)の真打ち昇進襲名披露会見が25日、東京・上野で行われ、新真打ちの柳家やなぎ(35)、林家なな子(43)、吉原馬雀(よしわら・ばじゃく=43)、入船亭遊京改め入船亭扇白(いりふねてい・せんぱく=37)、金原亭馬久改め金原亭馬好(きんげんてい・ばこう=40)が抱負を語った。メディアの取材に神妙な面持ちの5人は「“0.3喬”ぐらい頑張りたい」(やなぎ)、「二面性を見せたい」(なな子)、「自分を拾ってくれた師匠朝馬のおかげ」(馬雀)、「白米のような落語でコメ不足の世の中を照らしたい」(扇白)、「六代目という名前をもっと大きく」(馬好)と発信。11月まで続く披露興行は9月1日、上野・鈴本演芸場で大初日を迎える。

さえる一之輔節、柳家やなぎ「“0.3喬”」に「いいオチ」
落語協会(柳家さん喬会長)の真打ち昇進襲名披露会見が25日、東京・上野で行われ、新真打ちの柳家やなぎ(35)、林家なな子(43)、吉原馬雀(よしわら・ばじゃく=43)、入船亭遊京改め入船亭扇白(いりふねてい・せんぱく=37)、金原亭馬久改め金原亭馬好(きんげんてい・ばこう=40)が抱負を語った。メディアの取材に神妙な面持ちの5人は「“0.3喬”ぐらい頑張りたい」(やなぎ)、「二面性を見せたい」(なな子)、「自分を拾ってくれた師匠朝馬のおかげ」(馬雀)、「白米のような落語でコメ不足の世の中を照らしたい」(扇白)、「六代目という名前をもっと大きく」(馬好)と発信。11月まで続く披露興行は9月1日、上野・鈴本演芸場で大初日を迎える。(取材・文=渡邉寧久)
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会長として5人の新真打ちの誕生に立ち会う柳家さん喬(77)はメディアに対し「ご批判とご支援」を願った後に、自分の弟子のやなぎについて「近年では新作落語をやっています。新作と古典は若い噺家さんの間では当然のことのようでございます。両方やることは結構なことですが、やはり5代目柳家小さんの流れをくんでいる一門ですので、古典落語がよかった、と同時に新作もなかなかやるなと言われる噺家に育ってほしいと思います」と期待を寄せた。
師匠の言葉を神妙に聞いていたやなぎは「披露興行ではほんのちょっとでも師匠の香りを高座で出したいのですが、さん喬のようにはできませんので“0.3喬”ぐらい頑張りたいと思います」と、渾身のしゃれを披露。司会を務める春風亭一之輔(47)に「いいオチ付けますね」と褒められると、しきりに照れていた。
なな子の師匠の林家正蔵(62)は「うちの一門の長女です。本当に気立てがよくて、気が強くて、優しくて、何かあったらなな子に任せておけば頼りになる弟子です」と全幅の信頼を寄せる。「なな子の武器は声です。ラジオのお仕事もいただいています。私にできないような地噺、古典落語を軸足に高座を勤めている。これを弾みにさならる高みへ上ってくれたらうれしく思います」とエールを送った。
なな子は「中身も表も磨きながら自分なりの高座を見せていきたい。うちの師匠のように高座に上がるだけでお花畑が広がるように高座を目指しながら、違った林家なな子、二面性のあるなな子をお届けできるようにさらに精進していきたいと思います」と表明。一之輔に「不良の出です」といじられると「とんでもないです」と恐縮したが、一之輔に「別にほめてじゃないんで」と笑いでかわされていた。
「まだ2年と2か月の師弟関係でございます」という吉原朝馬(76)は、「落語への情熱ですね、自前の落語を披露したい、たくさんの人に喜んでもらいたい、楽しんでもらいたい、という落語愛を感じ師弟になったわけですございます」と、2年前に弟子に受け入れた経緯を説明。
創作落語を手掛ける馬雀は「お客様の声あってここまでたどり着くことができたと思っています。うちの師匠の朝馬が拾ってくださったと思います」と、新しい師弟関係に感謝した。
入船亭扇遊(72)の弟子評は「裏表のない人間だと思っています。お客さんにもかわいがられている」としたうえで「ただ最近どうも、酒の癖がよくないようで、飲むといろいろしゃべるようで、そういうところだけが私に似ておりまして」と笑いに変換。「扇白という名前になりましたが、これからは決して後悔しないようにつとめてもらいたいと思います」とビシッと決めると、さん喬会長にすかさず「(披露興行の)口上そのまんま。予行演習みたい」と突っ込まれ、会場の笑いを誘った。
扇白は「大師匠(9代目入船亭扇橋)に、白っていうのは何にも染まらなくていいんだよ、とおっしゃってくださって、それが心に残っている。お客様に頭で色を塗っていただけるような落語を目指したい。また飽きのこない、白米のような落語で、このコメ不足の世の中を明るく照らしたいと思っています」と世情に絡めてあいさつすると、会場には苦笑がさざ波のように伝播。一之輔に「コメ不足の件は要らなかったんじゃないか」と軽くダメ出しされると本人も照れるばかりだった。
「江戸時代から伝わる名跡、この間亡くなった師匠がちょっとヘンテコな方だった。ですから、この機に馬好を名乗りまして、江戸時代から伝わる本当の江戸の香りがするような落語をやると思います」の弟子の名跡に路線の修正を期待する金原亭馬生(77)は、「気持ちいい人間になりなさい、笑わせることよりも心持ちよくさせるのが落語の基本だと思います。六代目馬久が見事にこたえてくれると思います」と大いに期待。馬久は「弟子入りして15年になります。師匠に噺家としての、人間としての生き方を教わりました。六代目という名前をもっと大きくできるように精進していきたいと思います」と誓った。
