ドラマやCMで話題の藤崎ゆみあ、“芝居の父”は岡田准一「信頼度の違いには学ぶものがありました」
全国高校サッカー選手権の応援マネジャー、オロナミンCのCMと“若手俳優の登竜門”を経験したショートカットの美少女。今、日に日に注目度が増しているのが、17歳の藤崎ゆみあだ。広島から上京して3年目、若手のホープのルーツを探った。

芸能界入りのきっかけは『チア☆ダン』との出会い
全国高校サッカー選手権の応援マネジャー、オロナミンCのCMと“若手俳優の登竜門”を経験したショートカットの美少女。今、日に日に注目度が増しているのが、17歳の藤崎ゆみあだ。広島から上京して3年目、若手のホープのルーツを探った。(取材・文=小田智史)
藤崎は姉のすすめで地元・広島のモデル事務所に入り、芸能活動をスタート。2023年に現事務所に移籍し、同年春に上京することになるが、芸能界を目指すきっかけとなっていたのは、両親との映画館での時間だった。
「小さい頃から両親と映画館に行くのが好きでした。うちは6人家族。父と母は忙しい中で映画館に行く時間を作ってくれました。特に覚えているのは『チア☆ダン』(『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』/2017年)。広瀬すずさんら出演されている俳優の皆さんがいいお顔で、活気あふれるエネルギッシュな様を見て、『こんなキラキラしたふうに自分もなりたい』と思ったんです。大きなスクリーンに出て、誰かの楽しみの一部でありたいと思ったのが最初のきっかけでした」
部活動をしていなかった藤崎にとって、大きな目標に向かって努力していく姿を描いた『チア☆ダン』の感動青春ストーリーはまぶしく映ったという。「俳優になった今、もう一回改めて『チア☆ダン』を見てみても、皆さんいいお顔がすてきだなと見入っちゃいました」。その世界観と雰囲気にシンパシーを感じると話す。
ドラマデビュー作は、2023年7月期の日本テレビ系連続ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』。成績優秀な優等生・阿久津由利を演じた。「上京してきてすぐの作品で、自分の“戒め”の一つというか、柱の中心になるものだと感じています」と、ターニングポイントの一つに挙げる。
「まだお芝居も全然したことがないし、現場に全く行ったことがない状態で現場に入った時に、松岡茉優さん、芦田愛菜さんを筆頭に、小さい頃からテレビで見てきたいろんな俳優さんを目の当たりにして、その中で一緒にお芝居するという環境と日々がすごく楽しかったです。もっともっと勉強して、対等に隣に立ちたいという気持ちが一気に高まった瞬間でした。同時に未経験の世界だったので、自分がテレビで見てきたもの、想像してやってきたものが全く違って、他の共演者さんとのエネルギーの違いには悔しさも感じました」

憧れの俳優は小松菜奈
まだデビュー3年目の17歳。自身が発展途上だと自覚した上で、俳優業に打ち込むにあたっては父親からの言葉を大切にしていると明かす。
「父からも『準備が全て』とよく言われてきたので、いかに現場に入るまでに俳優として突き詰められるか、だと思っています。まだ作品数、やってきた役の数は少ないんですけど、『芯があるね』『しっかりしてるね』と言っていただけることが多いです。自分は迷いながらもちゃんとやるべきことはやるタイプで、やると決めたことはやり通したい。その役の思考と自分のやりたいこと、シチュエーションがかみ合えばうまく行きますけど、そこに至るまではまだまだ難しくて。水とかいっぱい飲みながらという感じです(笑)。お芝居のバリエーションはまだまだ勉強中です」
藤崎が「憧れの俳優」に位置づけるのが小松菜奈だ。「今も昔も変わらず、小松菜奈さんが一番好きです」と笑顔で語る。
「ぱっと画面に出た時の引き込まれ方だったり、魅力の度合いがすごいと思ってよく見ています。小松さんは真っ直ぐ見るだけでも伝わる何かの強さがある。そこに何を込めているかはまだ分からないんですが、表現に対する姿勢を高めていきたいと思っています。写真の撮影一つとってもポージングとかもあるはずなので、そこは実戦を重ねていくしかないです」
一方で、俳優として最も影響を受けた共演者は岡田准一だという。岡田は、藤崎も出演するNetflixシリーズ『イクサガミ』(11月公開予定)で主演・プロデューサー・アクションプランナーを務めている。
「一番お芝居について教えてくださったのは岡田准一さん。芝居の父かのように、私が聞いたら『もっとこうした方がいい』『自分はこうしてやっているよ』と事細かく教えてくださいました。(藤井道人)監督の演出に対する受け答えは100発100中。信頼度の違いには学ぶもの・得るものがありました。清原(果耶)さんも支えてくださることが多くて、女優として役に没頭する様を横で見ていて圧巻でした。撮影の合間にはすごく柔らかく対応してくださって、『映画観ました』と伝えると『ありがとう!』と返してくれたり、『かや姉』って呼ばせていただいているんですけど(笑)、お姉ちゃんのように優しくしてくれます」
8月10日に最終回を迎えたNHKプレミアムドラマ『照子と瑠衣』には、第8話に由奈役でゲスト出演。思い出深い作品の一つだという。
「2週間だけ長崎に行ったんですけど、それまでスタッフさんたちは長野で3か月間ほど撮影をしていて、長崎が最後という局面。ドキドキして撮影現場に入って、悩みが多い少女の役だったので、波の一番高ぶることで、自分のやりたいことと、今の思いが一致した時に、ちゃんと目に景色と同化しながら言葉が出てきた時はすごく刺激的だなと思いました。大九(明子)監督とご一緒したのも初めてで、『女性の監督はどんな現場・演出なんだろう』とドキドキしながら入ったら、合っていることは合っているし、違うことは違うとはっきり言ってくださったのでやりやすかったです」

親交の深い當真あみからも刺激
藤崎の経歴で目を引くのが、高校サッカー選手権の応援マネジャー。堀北真希、新垣結衣、北乃きい、川島海荷、川口春奈、広瀬すず、永野芽郁らそうそうたる俳優を輩出してきたなかで、2023年度大会の応援マネジャーを務めた。「目標としていた登竜門の一つに、まさか上京1年目で選んでいただけるとは思ってもいませんでした」と当時を振り返る。
「『最高の教師』をやって、応援マネジャーが決まった時には、驚きとうれしさ、不思議さでまるで小説を読んでいるかのような気持ちでした。中学時代はまだコロナ禍で学生生活もあまり送れていなかったので、実際にサッカーをやっている全国の高校生の皆さんと対話できたのがすごくうれしくて、真っ直ぐに戦う姿に感動しました。広瀬(すず)さん、清原(果那)さん、森七菜さんとか大好きな皆さんが歴代応援マネジャーだったので、そこに並べるのは、自分の中でまた新たな一歩を踏み出せたんじゃないかなと思いました。もともと、『自分もああなりたい』と思ってこの世界に入ったので、少しずつ追いかけるぞという気持ちはもう満タンです(笑)」
過去の上戸彩、清原や森が出演したオロナミンCのCMも貴重な経験だった。『イクサガミ』の現場で、共通点の多い清原との距離が縮まるきっかけにもなったという。
「『イクサガミ』で清原さんと共演できて、清原さんが『応援マネジャーをやってたよね!」「オロナミンCのCMもやってるよね!』と声をかけてくださって、仲良くしてくださってすごくうれしかったです。オロナミンCは私の知らないところで周りのみんながすごく飲んでいるのを初めて知りました(笑)。春から1年間やらせていただいて、『私、毎日、帰り際に買ってるよ』と言われて『毎日?』となったり、『オロナミンCっておいしいよね』とか、改めて子どもの頃によく飲んでいた味を共感し合えて、『この時間いいな』と思っていました」
日本テレビ系連続ドラマ『ちはやふる-めぐり-』で連続ドラマ初主演を務める當真あみとは、『最高の教師』での共演歴もあり、プライベートでも仲がいいという。「すごく刺激になります」。當真の姿を見るたびに「自分ももっと一つの作品を大切にしたり、いろんな作品に出たい」という気持ちが高まると話す。
そんな藤崎が思い描く今後の俳優キャリアとは――。
「日本アカデミー賞を目指して、映画でちゃんとお芝居を見てもらえる俳優になりたいですし、いろんな俳優さんの中でも、『藤崎さんが出ているんだ。その作品、面白そうだね。観に行こう』と、出演しているだけで作品に色を作れる人、変えられる人になりたい。広瀬さん、小松さん、杉咲(花)さんは絶対にチェックしています。あと、山本奈衣瑠さんもすごく魅力的な方。絶対に見ようと思う俳優さんには憧れます」
17歳の藤崎が、他の俳優の“憧れ”になる日も決してそう遠くはないだろう。
※藤崎ゆみあの「崎」の正式表記はたつさき。
□藤崎ゆみあ(ふじさき・ゆみあ)2008年2月16日、広島県出身。2023年、日本テレビ系連続ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』でドラマデビュー。若手俳優の登竜門に位置づけられる高校サッカー選手権応援マネジャー(2023年度)やオロナミンCのCM(24年)も経験。表情の振り幅や、役ごとに異なる空気をまとう演技力に定評があり、テレビ・映画・CMなど幅広く活動している。
