スタートダッシュ成功の『Shadowverse: Worlds Beyond』 運営型ゲームの宿命“インフレ”とどう付き合っていくのか

Cygamesの次世代スマホカードゲーム『Shadowverse: Worlds Beyond(シャドバWB)』(iOS / Android / PC)は6月17日に待望のリリースを迎え、先日には豪華ストリーマー/VTuberが参加する『CR Streamer League Shadowverse』がスタートするなど、継続した盛り上がりを見せている。新規プレイヤーも多く、前作『Shadowverse(シャドバ)』後期を知るプレイヤーからすると隔世の感がある。

『シャドバWB』は”超進化”がド派手なバトルを演出する【画像:(C) Cygames, Inc.】
『シャドバWB』は”超進化”がド派手なバトルを演出する【画像:(C) Cygames, Inc.】

『シャドバWB』はバトルの派手さとインフレ抑制を両立し続けられるのか

 Cygamesの次世代スマホカードゲーム『Shadowverse: Worlds Beyond(シャドバWB)』(iOS / Android / PC)は6月17日に待望のリリースを迎え、先日には豪華ストリーマー/VTuberが参加する『CR Streamer League Shadowverse』がスタートするなど、継続した盛り上がりを見せている。新規プレイヤーも多く、前作『Shadowverse(シャドバ)』後期を知るプレイヤーからすると隔世の感がある。

 そして、8月28日に第3弾カードパック『絶傑の継承者』がリリースされることも発表された。カードが増えていけば、それだけ環境の制御も難しくなる。『シャドバWB』は、どのようにしてゲームバランスを維持していくのか。ここまでの状況を踏まえ、考察していく。

 前提として、『シャドバWB』はいわゆる“インフレ”(カード能力の急激な上昇)をかなり慎重にケアしている印象だ。全体的なカードのスタッツ(数値面)はすでに『シャドバ』終盤と比べても大きくなっているものの、特に低コスト〜中コスト帯に単体で勝敗を決めてしまうほどのパワーカードは存在しない(例えば《マナリアフレンズ・アン&グレア》は突出した能力を持つが、あくまで中盤をつなぐカードだ)。今後、そうしたカードが登場する可能性もあるものの、少なくとも現状では意図的にパワーが抑えられているように感じる。

 ただ、運営型ゲームの宿命として、ユーザーのプレイ意欲を継続させるためにも、ある程度の派手さは求められる。特にカードゲームにおいて、切り札をプレイした際の高揚感は非常に重要なファクターだ。あえて単純化すると、この2つの要素(インフレ抑制と派手な能力)の両立が大事だということになる。

 そのなかで、第1弾カードパック『伝説の幕開け』、第2弾カードパック『インフィニティ・エボルヴ』を経て感じるのは、“1試合の中でのインフレ”を体験として提供することへの意識だ。

 序盤は細かな盤面のやり取りで主導権争いを繰り広げ、中盤はもう少しスタッツの高いカードを駆使して切り札のためにお膳立て、終盤には高コストカードのド派手な効果の応酬……。序盤と中盤にもそれぞれの役割があり重要である一方、高コストカードに超進化(※)を切ると一気にゲームが動くため、ゲーム体験に欠かせない高揚感も生まれる。「切り札に超進化権を使うと、そのターンだけインフレする」という構造があり、初心者から熟練者まで平等にバトルを楽しめる一因にもなっている。

※『シャドバWB』のバトルシステムの一つ。後攻4ターン目/先攻5ターン目から「進化」が、後攻6ターン目/先攻7ターン目から「超進化」が可能で、さまざまなフォロワーが「進化」「超進化」に対応した効果を持つ。

 現在の『シャドバWB』では超進化権を回復する手段はない(《静寂のアナテマ・ギルダリア》は条件を満たせば超進化するが、あくまで例外的)。あくまで試合中に「瞬間的なインフレ」を起こせるのは各プレイヤー2回であり、この仕組みを可能な限り維持することによって、ゲームバランスを壊すような「全体のインフレ」を防ぐことになっていくのではないだろうか。

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