ORANGE RANGE、『花』誕生秘話「若さならではの勢いだった」 バンドの危機は全くなし「ずっと学生のノリ」

今年結成24年を迎えた沖縄出身の5人組ロックバンド・ORANGE RANGEが、7月30日にYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で代表曲『花』(2004年)を披露した。公開からわずか1週間で再生回数280万回超を記録するなど、話題となっている。『花』は、映画『いま、会いにゆきます』(04年)の主題歌となったバラードで、シングル売上では最大のヒット曲に。それまで『上海ハニー』『ロコローション』などアゲアゲナンバーだったバンドの音楽性をさらに高めた曲でもある。そこで、作曲を担当したNAOTOと作詞に携わったYAMATOに『花』の思い出やメンバー5人の関係性などを聞いた。

YOH(Ba)、NAOTO(Gt)、下段左 YAMATO(Vox)、RYO(Vox)、HIROKI(Vox)【写真:増田美咲】
YOH(Ba)、NAOTO(Gt)、下段左 YAMATO(Vox)、RYO(Vox)、HIROKI(Vox)【写真:増田美咲】

原点回帰の最新シングル『裸足のチェッコリー』をリリース

 今年結成24年を迎えた沖縄出身の5人組ロックバンド・ORANGE RANGEが、7月30日にYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で代表曲『花』(2004年)を披露した。公開からわずか1週間で再生回数280万回超を記録するなど、話題となっている。『花』は、映画『いま、会いにゆきます』(04年)の主題歌となったバラードで、シングル売上では最大のヒット曲に。それまで『上海ハニー』『ロコローション』などアゲアゲナンバーだったバンドの音楽性をさらに高めた曲でもある。そこで、作曲を担当したNAOTOと作詞に携わったYAMATOに『花』の思い出やメンバー5人の関係性などを聞いた。(取材・文=福嶋剛)

――「THE FIRST TAKE」で、一発撮りでパフォーマンスした『花』が盛り上がっていますね。「泣ける」とか「色褪せない」といったコメントが多数寄せられています。

YAMATO「ありがたいですね。でもやっぱり緊張感はありましたね」

――一発撮りですので、間違えてはいけないやつですね。

YAMATO「仕上がったものを見て、やっぱり『ああした方が良かったかな』とか思うんですよ。でも、そこが味というか、等身大の僕らで表現できているっていうのがいいのかなって。まだ『花』を聴いたことがない人に見てもらえる機会でもあるので、純粋に楽しんでいただけたらいいのかなって思います」

――では、『花』を作った時のことを振り返ってみて。

NAOTO「有名なのは、HIROKIがキムチを食べて歌ったというエピソードですよね」

――そのエピソードは本当ですか。

YAMATO「『花』の歌い出しのところを、いろいろと試行錯誤していたんです。それでハスキーな声を出すために『ちょっと他の何かに頼ろうか』みたいな流れになり、『辛いものを食べた方がいいんじゃない?』という話になって、HIROKIがキムチを食べて歌入れしたというエピソードです」

NAOTO「それが、いい結果につながりましたという話なんですけど、当時はノリノリな『イェーイ!』という感じの曲ばかりだったので、やったことのないバラードっぽい曲で、ちょっと不安になりながらも作っていました」

YAMATO「ガチャガチャやってるバンドが、いきなりクールなバラードをやって大丈夫かな?ってね」

NAOTO「だからHIROKIの歌い方とかも難しかったですし、完成するまでは『ちゃんとできてるかな?』と思っていました」

――『花』はシングル最大のヒット曲になりました。そこからノリノリな曲以外の楽曲も期待されることが多くなったと思います。プレッシャーはありませんでしたか。

NAOTO「なかったですね」

YAMATO「もう『どんどんやろう』みたいな。20代という若さならではの勢いだったかもしれないですね」

NAOTO「僕も『これもありなんだ』って味をしめた感じでした(笑)」

YAMATO「今振り返ると恐ろしいですけど」

NAOTO「この曲を30歳でリリースしていたら絶対ビビってた(笑)」

YAMATO「いや若いって素晴らしいよね」

NAOTO・YAMATO 笑い

――でも、そのノリの良さは今も変わらないですね。7月16日にリリースした配信シングル『裸足のチェッコリー』は、まさに、“らしさ”を感じますよね。

YAMATO「確かにそのまんまノリですね。僕たちは本当に何も変わってないから、スタッフさんたちが、変わらない良さを見てくれて、いい具合に僕らをデザインしてくれている感じがありますね。ライブで歌うのが楽しみです」

「僕らが続けている一番の理由はライブです」【写真:増田美咲】
「僕らが続けている一番の理由はライブです」【写真:増田美咲】

2026年に結成25周年を迎える

――そして来年は結成25周年ですが、過去にバンドの危機みたいなのは……なさそう、ですね。

YAMATO「全くないですね」

――いつまでも昔の同級生のままですか。

NAOTO「そうですね。ずっと中学生の感覚はありますね」

YAMATO「確かにずっと学生のノリで今もやっている感覚はあります」

――楽屋で話すことと言えば学生時代の思い出話と同級生の話、みたいな?

NAOTO「その通りです。だってそれしかネタないんですから(笑)。さっきも同級生の話をしてたよね」

YAMATO「してた」

――ではORANGE RANGEは、誰かが動かなくなるまで続けていくということですね。

NAOTO「鉄の掟とかないですから、現状のまんまでやっていきます」

YAMATO「ルールもなければ、ゴールもない」

――抱負を聞かれても。

NAOTO「最近はずっと『いつまでも健康で』という答えしか言ってないです」

YAMATO「健康でいつまでもライブができますようにとか。新曲出せますようにとかもうそれだけでありがたいですよ」

――健康の秘けつはライブということですね。

YAMATO「そうです。やっぱりそれが活力ですから。僕らが続けている理由の一番はライブですからね」

NAOTO「ライブって、やっぱりその時その空間だけの面白さがあるんですよね。間違おうがアクシデントがあろうが、全てがライブだから成立するという」

YAMATO「5人とお客さんがライブの2時間だけ同じ空間で無心になって一緒に楽しむことって、奇跡だなって思うんですよ。そう思ったらメンタルも幸せになるし」

NAOTO「リハーサルは真面目にやって本番は、無心になるっていうね」

――それから、ORANGE RANGEのライブは、いつの時代も若いファンが多いですよね。

NAOTO「うれしいです。特に目立つのが、『お父さんお母さんと娘3人で来たよ』とか『親子3代で見にきました』という方もいらっしゃって、長く続けてみるもんだなって思います」

YAMATO「やっぱりみなさんのエネルギーをもらうと、こっちも冷静じゃいられなくなるくらい盛り上がりますし、それってライブならではのことですよね」

――では、結成24年を迎えた5人は、どんな感じですか。

YAMATO「僕自身はステージ上で、あんまりしゃべらなくなりましたね。『MCは他の人に任せてどうぞ』という感じで、しっかり歌ってパフォーマンスができればいいかなって」

NAOTO「僕は、気負いがなくなったというか、余計な力が抜けて楽に演奏できるようになりました。心の余裕というか、ボーカル3人の動きを後ろで見ていて楽しませてもらっていますし、すごく良い関係性だと思います」

YAMATO「なので健康第一でいきたいですね」

NAOTO「そうね。ぜひライブに遊びに来ていただいて、一緒に楽しみましょう!」

□ORANGE RANGE(オレンジ・レンジ) YAMATO(Vox)、YOH(Ba)、RYO(Vox)、NAOTO(Gt)、HIROKI(Vox)からなる沖縄出身の5人組ロックバンド。2001年に結成し、03年にシングル『キリキリマイ』でメジャーデビュー。ジャンルにとらわれない自由かつ高い音楽性が話題となり、『上海ハニー』『ロコローション』『花』『イケナイ太陽』など数々のヒット曲を生んだ。25年4月に新曲『マジで世界変えちゃう5秒前』を配信リリースし(5月にCDリリース)、同作品で約15年ぶりに古巣のソニー・ミュージックエンタテインメントに復帰した。7月16日に『裸足のチェッコリー』を配信リリース。9月6日から全国8都市9公演で全国ツアーを開催する。2026年に結成25年を迎える。

【動画】「夏はやっぱりORANGE RANGE」「相変わらず意味わからん歌詞」 ORANGE RANGE『裸足のチェッコリー』MV

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