ORANGE RANGE、古巣に戻って“バズり”を経験 令和世代にも支持される理由「ユーモアとノリ、あとは軽さ」

今、沖縄出身の5人組ロックバンド・ORANGE RANGEが熱い。今年4月、15年ぶりに古巣のレコード会社・ソニーミュージックに復帰すると、最近はTikTokで『おしゃれ番長 feat.ソイソース』(2009年)が大バズリ。『イケナイ太陽』(07年)の令和版ミュージックビデオ(MV)も話題で、7月16日には新曲『裸足のチェッコリー』を配信リリースした。来年結成25周年を迎えるベテランバンドが、令和世代を中心に若い世代に支持されている。そんな“新たな章”を迎えたバンドの魅力を探るべく、ギターのNAOTOとボーカルのYAMATOの2人に話を聞いた。

上段左 YOH(Ba)、NAOTO(Gt)、下段左 YAMATO(Vox)、RYO(Vox)、HIROKI(Vox)【写真:増田美咲】
上段左 YOH(Ba)、NAOTO(Gt)、下段左 YAMATO(Vox)、RYO(Vox)、HIROKI(Vox)【写真:増田美咲】

TikTokやYouTubeでバズったが「SNSとかに疎い」「若い人に教えてもらってばかり」

 今、沖縄出身の5人組ロックバンド・ORANGE RANGEが熱い。今年4月、15年ぶりに古巣のレコード会社・ソニーミュージックに復帰すると、最近はTikTokで『おしゃれ番長 feat.ソイソース』(2009年)が大バズリ。『イケナイ太陽』(07年)の令和版ミュージックビデオ(MV)も話題で、7月16日には新曲『裸足のチェッコリー』を配信リリースした。来年結成25周年を迎えるベテランバンドが、令和世代を中心に若い世代に支持されている。そんな“新たな章”を迎えたバンドの魅力を探るべく、ギターのNAOTOとボーカルのYAMATOの2人に話を聞いた。(取材・文=福嶋剛)

――今年4月に『マジで世界変えちゃう5秒前』(テレビアニメ『戦隊大失格』2nd シーズンオープニングテーマ)を配信リリース(5月に約12年ぶりにCDリリース)し、15年ぶりに古巣のソニーに復帰となりました。

NAOTO「デビューの時にお世話になったレコード会社だから、原点回帰というか、それもありつつ、プラスアルファもありつつという感じですかね」

YAMATO「またこうやってソニーのチームと一緒にできることが何よりうれしいですし。一緒にできたからこそ、とことんやりたいことをやっていきたいです」

――デビュー当時の取材では“元気一杯”という印象でしたが、インタビュー前に全員で撮影した時、「さすがにみなさん落ち着いたな」って思いました。

NAOTO、YAMATO 爆笑

NAOTO「もう俺たちアラフォーですから(笑)」

YAMATO(足をさすりながら)「節々のいろんなところが痛くなってきましたよ(笑)」

――それはおおげさです(笑)。

NAOTO「でもライブが終わった後はぐったりしてますよ。昔はそんなことなかったのに。な?」

YAMATO「うん。もう今はライブの前と後はいつもマッサージを受けてますから」

NAOTO「あとは、終わったらすぐに飲みに行くというパターンが、なくなりましたね。楽屋で軽くビールで乾杯して、後は次の日の準備しようぜって」

――でも、ライブパフォーマンスはデビューした時から全く変わらないですよね。

YAMATO「確かに。それすら意識したこともなかったので、言われてみれば自分としてはデビュー当時から何も変わってないですね。でも、それは、僕たちを支えてくれているたくさんのスタッフさんたちの応援や、若いスタッフの新鮮なアイデアとかのおかげだと思います。僕たちはそこに乗っけてもらっているだけなので」

――最近、TikTokで『おしゃれ番長 feat.ソイソース』がバズったり、お笑いコンビ・マユリカとコラボで制作した『イケナイ太陽』の令和版MVが公開からわずか10日間で1000万回再生超を記録するなど、注目を集めています。いつの時代も若い世代に支持されているところがレアなバンドだなって思います。

NAOTO「もう単純にうれしいです。全く狙ってやっている訳ではないので、正直今の状況に驚いています。僕たちは、SNSとかに疎いので、改めて古巣に戻って、若いスタッフに『今はこういう人やこういうことが流行っています』って教えてもらうんです。それを聞いて面白そうだなと思ったら、やってみるとか。そうやって自由に楽しませてもらっている感じです」

――SNSに疎いという答えは意外でした。

YAMATO「もう分からないことだらけです」

NAOTO「昔って情報源が限られていたんだけど、今は選択肢の数がものすごいじゃないですか」

YAMATO「だから若い人に教えてもらってばかりですよ」

――ちなみに、『イケナイ太陽』の令和版MVを作ったきっかけは、なんだったんでしょう。

NAOTO「まさにその話の流れで、『マユリカさんとやったら絶対面白いです』というスタッフのアイデアのたまものです。やっぱり自分たちだけでやっていると、凝り固まって、なかなか新しい発想が出てこないから、第三者の意見は必要だなと改めて思いました。これからは若い人に乗っかっていきます(笑)」

YAMATO「周りの仲間からの反響は結構バロメーターになっています。『シェアしたよ』とか連絡をもらうと、初めて『ちゃんと届いているんだな』って思ったりします」

「気づいたら24年経っているみたいな感覚」【写真:増田美咲】
「気づいたら24年経っているみたいな感覚」【写真:増田美咲】

レコーディングもライブも全然昔と変わってない

――7月16日にリリースした新曲『裸足のチェッコリー』は、歌詞、トラック、ジャケットのアートワークまで全てORANGE RANGEらしいアゲアゲのナンバーです。前作『マジで世界変えちゃう5秒前』の曲名も含めてソニーミュージック復帰後の振り切り具合が半端ないですね。

NAOTO「そう言ってもらえるとうれしいですけど、このままで大丈夫ですかね(笑)」

YAMATO「好き勝手やらせてもらっているんでありがたいです」

NAOTO「『裸足のチェッコリー』は、全く悩むことなく『ORANGE RANGE風の曲を作ろう』って思って書きました。メロディーが浮かんだ時に、僕らが子供の頃によく歌っていた『チェッコリー』っていうフレーズが頭に浮かんだので仮歌で入れました」

YAMATO「その仮歌が僕のところにきて、『まさかチェッコリーのままいかないよな』と思っていたんですけど、やっぱりそれを超える響きがないくらい強力なので『これだ』ってなりました」

――ORANGE RANGE風ってどんな感じですか。

NAOTO「なんか無意識にそうしているのかもしれないですけど、あんまり深く考えて作っている感覚はなくて。とりあえず今やりたい曲を作るという感じです」

YAMATO「レコーディングもライブも全然昔と変わってないですし、それを繰り返して、気づいたら24年経っているみたいな感覚ですね」

NAOTO「アゲアゲの曲は、ユーモアとノリ、あとは軽さがあるかを、1つの基準にしているかもしれないです。もちろんシングルとアルバムでは曲の作り方は違うんですけど『裸足のチェッコリー』は、新しいことやろうとか全く考えていなくて、『上海ハニー』(2003年)をちょっとつまんで合わせてみたり、ORANGE RANGEのセルフサンプリングのような感覚で作りました」

――一般的にみなさんは、J-POP、ヒップホップ、電子音楽など、さまざまな音楽を混ぜた楽曲は“ミクスチャー系”と呼ばれていますが、聴いただけですぐにORANGE RANGEの曲だと分かる強みは、他にはまねできないオリジナリティーを感じます。

NAOTO「確かに『僕たちの音楽はこれです』っていう王道がないかもしれませんね。急に前の曲と全然違うものを作ったりすると他のアーティストだったら『え? どうしたの?』ってザワザワすると思うんですけど、僕たちがそれをやっても『あいつらはそんな感じだから』って思われる。やっぱりやり続けてきた意味があるのかなとは思ったりしますね」

□ORANGE RANGE(オレンジ・レンジ) YAMATO(Vox)、YOH(Ba)、RYO(Vox)、NAOTO(Gt)、HIROKI(Vox)からなる沖縄出身の5人組ロックバンド。2001年に結成し、03年にシングル『キリキリマイ』でメジャーデビュー。ジャンルにとらわれない自由かつ高い音楽性が話題となり、『上海ハニー』『ロコローション』『花』『イケナイ太陽』など数々のヒット曲を生んだ。25年4月に新曲『マジで世界変えちゃう5秒前』を配信リリースし(5月にCDリリース)、同作品で約15年ぶりに古巣のソニー・ミュージックエンタテインメントに復帰した。7月16日に『裸足のチェッコリー』を配信リリース。9月6日から全国8都市9公演で全国ツアーを開催する。2026年に結成25年を迎える。

【動画】「夏はやっぱりORANGE RANGE」「相変わらず意味わからん歌詞」 ORANGE RANGE『裸足のチェッコリー』MV

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