Suchmos、フレデリック、ナンバーガール…世代を超えて仲間に愛されるSCOOBIE DOの30年「俺のカリスマ」
4人組ロックバンド・SCOOBIE DOが9月6日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で結成30周年記念ライブ『ダンスホール渋公』を開催する。ファンクとロックを融合させた圧倒的なライブパフォーマンスで知られ、コヤマシュウ(ボーカル)、マツキタイジロウ(ギター)、オカモト“MOBY”タクヤ(ドラム)、ナガイケジョー(ベース)のメンバー自らが音楽レーベルを設立。高い独立性を持って今なお精力的に活動し、今回の記念ライブは過去最大規模で行う。そこで、バンドを立ち上げたリーダーのマツキが30周年を記念しENCOUNTに特別手記を寄せた。また最後にバンドの恩師でもある向井秀徳(ZAZEN BOYS、exナンバーガール)らのメッセージも紹介する。

SCOOBIE DOをけん引するリーダー・マツキタイジロウが結成から30年を回想
4人組ロックバンド・SCOOBIE DOが9月6日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で結成30周年記念ライブ『ダンスホール渋公』を開催する。ファンクとロックを融合させた圧倒的なライブパフォーマンスで知られ、コヤマシュウ(ボーカル)、マツキタイジロウ(ギター)、オカモト“MOBY”タクヤ(ドラム)、ナガイケジョー(ベース)のメンバー自らが音楽レーベルを設立。高い独立性を持って今なお精力的に活動し、今回の記念ライブは過去最大規模で行う。そこで、バンドを立ち上げたリーダーのマツキが30周年を記念しENCOUNTに特別手記を寄せた。また最後にバンドの恩師でもある向井秀徳(ZAZEN BOYS、exナンバーガール)らのメッセージも紹介する。(構成=福嶋剛)
1995年にバンドを結成して今年30年を迎えました。バンドとしては大成功も大失敗もなくて、何とか音楽をやってきたという感じのバンドなので、率直に「30年よくやってきたな」という感想です。ピンポイントで見ていくと長い時間でしたけど、俯瞰(ふかん)で見ると30年はあっという間でした。こういう機会をいただかないとなかなか振り返ることもないので今回は僕の視点から見たSCOOBIE DOを紹介したいと思います。
最初にバンド結成までの話をします。僕とコヤマくんは、神奈川県の西南部にある二宮町の近所で共に野球少年だった幼なじみです。僕はプロを目指してピッチャーをやっていたのですが高校1年の時に肩を壊して、人生最初の挫折を味わいました。小学生の頃から野球漬けだったので心にポッカリ穴があいて、学校から帰ると家にあったギターを弾いたり、音楽を聴く毎日が続きました。そんな時にコヤマくんのお兄さんが僕に大きなきっかけを与えてくれました。音楽にとても詳しいお兄さんで、ある時、僕を日本のモッズバンドの集まるイベントに誘ってくれました。モッズバンドとは、1960年代初頭のイギリスで生まれた若者の文化に影響を受けたバンドのことです。僕はそのライブでショックを受けて、それからコヤマくんの家に遊びに行くとお兄さんからいろんな音楽を聴かせてもらいました。
コヤマくんも自然とお兄さんの影響で僕と音楽の趣味が似てきて2人で好きな曲をカセットテープに録音して交換しながら、ブリティッシュロックや60年代のリズム&ブルースにのめり込んでいきました。2人とも1年間浪人している時、「大学に入ったら一緒にバンドを組もう」と話をして、僕は立教、コヤマくんは早稲田に入り、そこで初めてバンドを組みました。インターネットがまだない時代で欲しいレコードを探すためにコヤマくんと関西から取り寄せたカタログを眺めていた時、カルヴィン・アーノルドというミュージシャンの曲名が目に留まり、「これすごくかっこよくない?」と言ってバンド名にしたのがSCOOBIE DOです。1995年に結成し、最初は女の子がドラムを叩いていましたが、コヤマくんが「この人ドラムを叩けるよ」と言って連れてきた1歳下の同級生がMOBYでした。
僕とコヤマくんは初心者だったので高校の頃から作っていたリズム&ブルースの簡単な3コードのオリジナル曲やカバー曲をライブハウスで演奏しながらスタートしました。当時は、スタイル重視だったので、古着のベルボトムを履いてマッシュルームカットやロングヘアーといった、いわゆる60年代とか70年代のファッションを意識しながら、モッズバンドとしていかにカッコよく見せるか、お客さんを踊らせるか、そんな感じでやっていました。
でもあの頃の無骨さ、ワイルドさ、素朴さといった部分は、今でも大事にしている部分で、小編成でなおかつ生々しいサウンドを奏でて聴く人を踊らせるというのが、僕たちらしさなのかなと思いながらやっていました。
一方で「俺たちは他のバンドとは違う」という差別化を図ることでマニアックになり過ぎてしまい、集客の難しさという部分や「やっていることがよく分からい」みたいな言われ方をされたこともあったり……。そんな危うさを含みながら30年やってきたというところもあって、もしかしたらもっと上手なやり方があったのかもしれないんですが、自分たちがやりたい音楽に特化し続けてきた結果、今があるので仕方ないのかなと思っています。
2001年にコヤマくんとMOBYの大学の後輩だったナガイケがベースに加わり、現在の編成になりました。そして翌2002年から約5年間、ビクターのSPEEDSTAR RECORDSでメジャーでの活動を経験しました。メジャーが決まると喜ぶミュージシャンも多い中、僕たちはバンドのスタイルがメジャーで求められているスタイルと大きく違っていたこともあって初めは不安で、そこに合わせていく葛藤がありました。やっぱりビジネスの世界なので売れる商品を作るためにはという今までとは違う考え方でしたけど、それによって学ぶことが多く、僕たちもそんな環境下で必死に頑張っていたと思います。
2006年暮れに契約が終了して、その頃のバンドってインディーレーベルと契約し直すか、移籍するか、解散するかくらいの選択肢しかなかったんです。それでみんなで話し合い「自分たちでやっていくのが一番カッコよくない?」という意見で一致しました。自分たちの音楽レーベル「CHAMP RECORDS」を立ち上げ、向井秀徳さん(ZAZEN BOYS、exナンバーガール)のお力をお借りして向井さんのスタジオでCHAMP RECORDS第1弾のミニアルバム『トラウマティック・ガール』をレコーディングして今に至ります。ここ最近は、結成当初のルーツに戻ったようなサウンドの曲を作りたいと思い新曲を発表しています。演奏もシンプルなバンドサウンドで自分たちが7インチレコードで買いたいと思えるような曲を作ってみようというのが僕の中でのコンセプトです。
改めて、この4人で30周年を迎えられて良かったと思っています。やっぱり僕以外の3人が人間的に本当に素晴らしいから続いているんだと実感します。ステージ上でのコヤマくんは、どんな場所、どんな状況下においても1人で場の空気を変えてしまう他に類を見ない能力を持ったキャラクターです。MOBYはバンドのマネジメント役としても力を発揮していて、MLBの解説もやったり、多岐にわたって全力で活動できる才能を持っているので人としての魅力をすごく感じます。同じくらいドラマーとしても日々努力していて常に進化しているなって見ていて感じます。ナガイケはベースプレイヤーとしてすごく卓越した技術のある人だなって。テクニカルな部分に加えて、ステージ上でのパフォーマーとしての見せ方が長けていてお客さんを引き込む力を持っているのでバンドにとってものすごくプラスになっています。他にもグッズとかのデザインやイラストレーターとしても力を発揮していて個人的にはイラストレーターとしての魅力も多くの人に知ってもらえるといいなと思います。
僕はリーダーとか代表という肩書きですが、個人的には3人がやりやすい環境を作るのが僕の役目だと思っていて、感情的にならずに常に穏やかでいることを心掛けています。もちろん30年やっているとメンバー内でもいろいろありましたけど、やっぱり3人の人間性が素晴らしいから、何かあったときにお互いに話し合いで修正できる組織としてとても強いバンドだと思います。だから「じゃあもうこれで終わり」というのが一度もないんです。
9月6日には、東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で結成30周年記念ライブ「ダンスホール渋公」を開催します。もちろん記念ライブなので全力でみんなを踊らせたいと思っています。みなさんは、イスがある大きなライブハウスだと思って、いつもと同じように踊って楽しんでもらえたらうれしいです。初めて見に来る人には「これがSCOOBIE DOです」というライブをお見せしますので、ぜひ遊びにいらしてください。
僕は、人生で一番やりたいことを大切な3人の仲間と一緒にSCOOBIE DOというバンドでやっていると確信しています。結局、生きているうちにやりたいことをやるのが一番なんです。

ZAZEN BOYS向井秀徳、フレデリック三原健司、Suchmos YONCEのメッセージ
向井秀徳(ZAZEN BOYS、exナンバーガール)
彼らのビートは回転している。ナガイケ・ジョーのベースとマツキ タイジロウのギター・カッティングは比較的スクエアでマシーンのような安定感があるが、MOBYのドラム・ビートはぐるぐると回転している。これは、キックを若干前のめりに突き刺しながら、スネアドラムのゴースト、「タイコ上で残響をスベらし、ざわざわとした気分にさせる」という彼特有の手グセに他ならない。そして、ここにコヤマ シュウの歌が粘りつく。粘着質である。「うるし」くらいに粘っこい。これらがからみあって、この人間たちにしか鳴らせない独特のグルーヴが回転するのである。とても気持ちがいい。
三原健司(フレデリック)
まだフレデリックを組む前に神戸のCDショップで『Royal-Funk-a-lismo!?LIVE at 日比谷野外音楽堂』のDVDを手に取り、音源をはるかに超えるグルーヴとステージングに魅了されたのがFUNKY4(SCOOBIE DOの愛称)との出逢いです。9年前、札幌 旭川 帯広とツアーに呼んでくださりライブハウスの遊び方を教えてくれた兄さん方。コヤマさんは俺のカリスマです。まだまだ共に転がり続けていきましょう。
YONCE(Suchmos/Hedigan’s/OLD JOE)
SCOOBIE DOとの出会いは、高校3年の時。
リアルタイムのバンド音楽は良くも悪くも実に多様で、ドラム、ベース、ギターにハンドマイクだけで演奏を完結する彼らは自分の目にはとても刺激的に見えた。
奇しくも、その頃結成したOLD JOEというバンドのスタイルに、そしてステージで動き回る自分のフロントマンとしてのスタイルに大きな影響を与えたのは言うまでもない!
言葉を尽くすより、ライブチャンプはライブで体感してください!
□SCOOBIE DO(スクービー・ドゥー) 1995年に結成した4人組バンド。メンバーは、マツキ タイジロウ(ギター/リーダー)、コヤマ シュウ(ボーカル)、オカモト “MOBY” タクヤ(ドラム)、ナガイケ ジョー(ベース)。ロックとファンクを融合させた圧倒的なライブパフォーマンスで知られ、その豊かで高い音楽性から “LIVE CHAMP”の異名を持つ。2007 年にメジャー契約終了後、自主レーベル「CHAMP RECORDS」を立ち上げる。“完全自主運営”的なインディペンデント精神は多くの音楽ファンに支持されている。2025年9月6日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で結成30周年記念ライブ「ダンスホール渋公」を開催する。
