丸山隆平「この形でやる意味あるのかと悩んだ」 SUPER EIGHTが“屋号を残す”決断に込めた覚悟
長編アニメーション映画『アズワン/AS ONE』(8月22日公開、静野孔文監督)で、SUPER EIGHTの丸山隆平が声優に初挑戦した。演じたのは、ヒロイン・ラコの父であり、惑星・巡星の未来を左右する研究者・ルロワ博士。声だけで“親”を演じるという難役に挑みながら、丸山が見つめていたのは、家族の関係性、そして自身が歩んできたグループの20年だった。

『アズワン』のアフレコ収録は1人で実施
長編アニメーション映画『アズワン/AS ONE』(8月22日公開、静野孔文監督)で、SUPER EIGHTの丸山隆平が声優に初挑戦した。演じたのは、ヒロイン・ラコの父であり、惑星・巡星の未来を左右する研究者・ルロワ博士。声だけで“親”を演じるという難役に挑みながら、丸山が見つめていたのは、家族の関係性、そして自身が歩んできたグループの20年だった。(取材・文=平辻哲也)
アニメの中で描かれるルロワとラコの親子関係に触れた時、丸山は年齢的にも「自分に子どもがいてもおかしくない」と話し、友人や仕事仲間の家族と接する中で、“父親とは何か”という問いが身近になってきたと語る。
「家庭によってルールも違うし、父親の立ち位置も違う。自分の中に『父とはこうあるべき』っていう理想はあるけど、それを作品に持ち込むとエゴになる。今回は、ルロワという人間がどういう感情を抱えているかを丁寧に考えることで、人間としての輪郭が見えてきた。結果的にそれが“父”になると思ったんです」
ルロワ博士は、娘に対して過酷な訓練や状況を課すが、それをただの冷酷さとは捉えなかった。
「彼自身も揺れてるし、自分の判断が正しかったのかをずっと考えてる。『自分が狂ってしまったんじゃないか』と思う瞬間もあったと思う」
アフレコ収録は1人で行われ、完成前のアニメ映像を前に「この表情だったら、どんな声で話すか」を想像しながら演じた。最初は作り込んだ声を試したが、途中から「このままの声でいってみましょう」と監督に提案されたという。
映画『アズワン/AS ONE』の主題の一つは、“思いをつなぐ”こと。他者と価値観が違っても、信じることでつながれる。丸山にとってそれは、グループ活動とも地続きのテーマだった。
SUPER EIGHT(旧・関ジャニ∞)は、2004年9月22日にCDデビュー。20周年を迎えた2024年2月、グループ名を「SUPER EIGHT」と刷新。周年ツアー「超DOME TOUR 二十祭」を京セラドーム大阪など3都市で開催し、ファンとの節目を祝った。
「10代や20代の頃は、『このまま楽しい世界が続く』って思ってた。でも気がつけば、エンタメもすごくシリアスになってる部分もある。そんななか、“続ける”こと自体に意味があるんじゃないかって考えるようになりました」
声優業にも意欲「また声の仕事にも挑戦したい」
当初8人だったが、グループとしての活動が変化し、メンバー構成も揺れた。それでも、“屋号を残す”という思いを貫いた。
「『この形でやる意味あるのかな』って思ったこともありました。でも、『屋号は残そう』という話はしていたし、自分たちが納得できる美学があれば、続けられると思った」
現在の5人体制での関係性については、こんなふうに語る。
「誰かが折れそうになったら、誰かが支えるし、ふっと力を抜けるタイミングを作ってあげられる。そんな関係になれたことが、20周年を迎えられた理由かもしれないです。最近はようやく、自分たちで“よくやったな”って言えるようになりました。昔だったら絶対、そんなこと言えなかったのに(笑)」
本作『アズワン/AS ONE』は、惑星・巡星(メグリボシ)を舞台に、少年少女たちが世界の危機に立ち向かうSFアニメーション。ヨウとラコという対照的な子どもたちを中心に、国家、研究、希望、そして親子の物語が交差していく。
「ジャンルとしてはSFだけど、テーマはすごく普遍的。国とか力とかじゃなく、『人と人がどうつながるか』が描かれてる。そういう重たいテーマを、ちゃんとエンタメとして成立させてるところがすごい。言ってみれば“離乳食”みたいな作品。最初の一歩として食べやすく作られてるから、どんな人でも入り込めるんです」
声優という新たな挑戦を終えて、今後の展望について尋ねると、こう語った。
「もっと深く表現できるようになりたいし、また声の仕事にも挑戦したい。次はもっと自由に、もっと深く演じられる自分でいたいですね」
節目の20周年を経て、グループの名を変え、改めて歩き出したSUPER EIGHT。その一員である丸山隆平が、声だけで“父親”という役と向き合った本作は、表現者としての彼の“今”を強く物語っている。
□丸山隆平(まるやま・りゅうへい)1983年11月26日生まれ、京都府出身。2004年、シングル『浪花いろは節』でCDデビュー。歌手、ベーシスト、俳優として活躍。主な出演作は、『フリーター、家を買う。』(2010)、『ストロベリーナイト』(12)とその映画化(13)、『エイトレンジャー』シリーズ(12・14)、『泣くな、はらちゃん』(13)、『地獄先生ぬ~べ~』(14)、『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(14)、『誘拐法廷~セブンデイズ~』(18)、『よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~』(19)、『大江戸グレートジャーニー ~ザ・お伊勢参り~』(20)、『着飾る恋には理由があって』(21)、『金子差入店』(25)など。舞台では、ブロードウェイミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(22)、『浪人街』(25)などに出演。
ヘアメイク:中嶋竜司(HAPP’S.)
スタイリスト:伊藤省吾(sitor)
