不登校でも貰えた評価「5」が希望に 佐倉綾音、エンタメへの憧れ育んだ10代「唯一無二の時間」
アニメ『進撃の巨人』などで知られる声優・佐倉綾音が今夏開催の学生によるアートスポーツ『LIMITS全国学生選手権大会』のスペシャルサポーターに就任した。出題テーマに対し制限時間内でデジタルアートを描き上げるライブペイントバトルで、7月19、20日のオンライン審査・結果を経て、8月31日に神奈川・横浜ランドマークホールでファイナルラウンドが行われる。佐倉自身、10代からエンタメの世界に身を置き、夢に向かって歩み続けており、インタビューでは自身と芸術への“縁”や、夢を持って打ち込む若者への思いを語った。

アートスポーツ『LIMITS全国学生選手権大会』のスペシャルサポーターに就任
アニメ『進撃の巨人』などで知られる声優・佐倉綾音が今夏開催の学生によるアートスポーツ『LIMITS全国学生選手権大会』のスペシャルサポーターに就任した。出題テーマに対し制限時間内でデジタルアートを描き上げるライブペイントバトルで、7月19、20日のオンライン審査・結果を経て、8月31日に神奈川・横浜ランドマークホールでファイナルラウンドが行われる。佐倉自身、10代からエンタメの世界に身を置き、夢に向かって歩み続けており、インタビューでは自身と芸術への“縁”や、夢を持って打ち込む若者への思いを語った。(取材・文=大宮高史)
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今回の大役就任に「みなさんのパワーを間近で感じ、全国、そして世界にこのアートスポーツを広げられるきっかけとなるよう、熱い思いを持った大人のひとりとして精一杯サポートします」と誓った佐倉。10代で声優活動をスタートさせ、趣味のラジオでレギュラー番組を持つまでに。そのラジオで不登校の経験を明かすなど、10代は多感な時期を過ごした。そんな中、アニメや映画、ドラマなどのエンタメからは力をもらい、制作現場には興味があったようだ。
「昔から、作品の本編と同じくらい、その裏側を映したメイキング映像を見るのが好きでした。フィクションってまやかしというか幻の世界じゃないですか。でもそれを作っている人たちは、自分と同じように呼吸をして生きているんだなと実感できて。メイキングのプロセス自体がアートに見えていました」
――それは、創作の現場が、身近に思えてきたということでしょうか。
「そうですね。すてきな作品を作るあこがれの方々が、例えばメイキング映像の中で普通にマグカップでお茶を飲みながら仕事をしている姿があったりします。すると『私もマグカップでお茶を飲むこともあるな』と考えて、同じ人間に見えてくるんですね(笑)。私もこういう現場に入って、エンタメ作りに携わることができるかも……と、素朴な思いつきでしたが、エンタメに惹かれていくきっかけになりました」
――ほかに、芸術や創作にまつわる思い出はありましたか。
「あまり学校に行っていなかったので、学校の授業でみんなと一緒に、という経験はほとんどなく……。ただ、ある時美術の先生が『学校に来られなくても、課題を提出したら点数をあげるよ』と言ってくださったんです。それで、家でデッサンやポスター制作の課題を一生懸命やって提出したら、通知表で『5』をもらいました。過程だけでなく、ちゃんと結果を評価して点数をくださったことに、ちょっと救われた気分でした」
――確かに学校や教育の場は、どちらかというと結果よりも過程を重んじるような風潮がありますね。その先生は佐倉さんが学校に来なくてもちゃんと作品を評価してくれたんですね。
「努力や忍耐を学ぶという意味でも『過程が大切』と教えられるのは分かります。ただ、結果が重視される方が私の性には合っていたのかもしれません。そういう評価もあると、学生の時に教えてもらったことに感謝しています」
オーディションに落ちても…結果が出ない時の発想転換
―― 一方で、世の中は過程はおろか結果すらちゃんと見ないこともあります。そんな時、佐倉さんはどう考えて“次”を見据えてきましたか。
「結果が思い通りでなくても気にしないことです。自分が本番までに準備してきたことに自信を持つことを習慣にすると、失敗してもへこたれなくなります。そして、その時は結果につながらなくても、人との縁で意外な道が開ける時があります。私自身、オーディションに落ちても、『今回の役には合わなかったけど、すごくいいと思った』と声をかけてもらえることもあって、次こそは一緒にお仕事ができるように頑張ろう、と思えます。すぐ結果にはつながらなくても、自分の表現が誰かの心に届いたんだ、という手応えにもなります」
アート、スポーツ、エンタメ、そして勉強……興味があるモノに熱くなり、全力投球するのも10代ならでは。「もし、学生時代に戻れるなら?」と聞くと、自信をもって言い切った。
「学生時代は自分なりに唯一無二の時間を過ごした、という自覚があって、思い出も含めてとても気に入っているんです。でも一方で、青春や芸術に全身全霊を賭ける青春時代も過ごしてみたかったかな、と思います」
――では最後に、今回の『LIMITS』の参加者や学生に伝えたいことは。
「今、みなさんは多感な時期で、刺激だらけの毎日を送っていると想像します。もしくは、ぬるま湯のような毎日の中で、どうやって将来に向けて進んでいけばいいか分からない、と感じている人もいるかもしれません。でもこの『LIMITS』であれ、他の何かであれ、必ず人生が変わるきっかけがあると思います。それは結果という目に見える形ではないかもしれません。手応えもあったりなかったりそれぞれです。ただ、人との縁だったり、目に見えないものが今後や成長につながったりします。そんな青春を、たくさんの人に送ってほしいです」
□佐倉綾音(さくら・あやね)1月29日生まれ、東京都出身。2010年に声優デビュー。主な出演作品は、『僕のヒーローアカデミア』の麗日お茶子、『ご注文はうさぎですか?』シリーズのココア、『五等分の花嫁』の中野四葉、『進撃の巨人』のガビ・ブラウン、『【推しの子】』鮫島アビ子、『ダンダダン』白鳥愛羅など。ほか、ラジオでも活動し、文化放送『矢作・佐倉のちょっとお時間よろしいですか』(12~15年)、文化放送『佐倉としたい大西』(16年~23年)などでレギュラー番組を持つ。25年は、4月からTBSラジオ『佐倉綾音 論理×ロンリー』(水曜午後10時)がスタートした。同じく4月に始まったフジテレビ系アニメ『TO BE HERO X』(日曜午前9時30分)にロリ役で主演している。
