「30代独身=余りもの」は本当か? 年収・親の反対・こだわり…婚活現場のリアル
いまだに残る「30代独身=余りもの」という偏見。だが、婚活の現場では今、静かな“変化”が起きている。結婚相談所の現場では「女性余り」どころか、若年男性の入会が急増。さらに「女性の年収を重視する男性」や「親の反対で破談になるケース」など、これまであまり語られてこなかった婚活のリアルが浮かび上がってきた。結婚相談所を自ら運営する“仲人弁理士”梅澤崇さんに、婚活市場の実情とこれからの結婚のかたちについて聞いた。

結婚相談所で重視されるのは「会話の相性」と「体型」
いまだに残る「30代独身=余りもの」という偏見。だが、婚活の現場では今、静かな“変化”が起きている。結婚相談所の現場では「女性余り」どころか、若年男性の入会が急増。さらに「女性の年収を重視する男性」や「親の反対で破談になるケース」など、これまであまり語られてこなかった婚活のリアルが浮かび上がってきた。結婚相談所を自ら運営する“仲人弁理士”梅澤崇さんに、婚活市場の実情とこれからの結婚のかたちについて聞いた。
日本最大級の結婚相談所連盟「IBJ」の成婚白書によると、2024年の結婚相談所などを介した成婚組数は1万6398組と過去最多を記録。これは日本全体の婚姻数(約48万組)のうち、およそ30組に1組がIBJ経由で結ばれた計算になる。特に注目すべきは若年層の増加だ。20代の新規入会者は19年比で約2.5倍、30代も約1.8倍と伸びており、利用者の低年齢化が進んでいる。
かつて「婚活市場は女性余り」と言われたが、現在は様相が変わりつつあるようだ。
「2019年と比べると、特に若年層を中心に男性の入会が明らかに増えています。かつては女性の方が多かったですが、男女比がかなり縮まってきました」
背景には、コロナ禍による出会い機会の減少や、マッチングアプリの一般化があった。
結婚相談所で重視されるのは「年齢」と「性格」。特に会話がかみ合わないと、どれだけ条件が良くても断られる傾向があるという。
「明るさというよりも、この人と話してて話がかみ合わないみたいな感じになると、お断りみたいな感じです。逆に見た目と話がかみ合えば、ほぼ決まる感じなんですよ。コミュニケーション能力が高い人は、そんなに年収が低いってこともあんまりない。女性の場合、男性の身長を気にするかという問題はありますが、基本的に話が合って、見た目がちゃんとしていればほぼ成立します」
IBJに登録する男性会員のうち、年収500万円以上は約84%、600万円以上が約62%と、世の平均より高年収層が多い。
一方で最近は、男性側が女性の年収を気にするケースも増えてきたという。
「女性の年収が高い方を中心に申し込んだりしている傾向は明らかに感じられます。男性が自分の収入だけで賄えないか、あまり自信がないということが言えると思います」
結婚後もフルタイムで働く夫婦が増え、専業主婦が減少。男性だけの年収ではなく、世帯年収で考える時代に突入している。そのため女性の年収も相手を選ぶ上で重要視されているというわけだ。
デート代についても変化が見られる。お見合いでは男性が支払うルールがあるものの、交際後は「割り勘が増えてきた」と梅澤さん。価値観の変化が、結婚観にも影響を与えている。
「30代独身は余りもの」なのか?
いまだにネット上では、30代の未婚者に対して「選ばれなかった人」「売れ残り」といった偏見が根強い。しかし、梅澤さんは現場感覚としてこう語る。
「基本的に年齢が上がるほど優柔不断であったり、こだわりが強かったり、そういうのは感じます。また、20代と30代でも違います。20代の方が思い切りがいい気がします」
興味深いのは、男性が「妥協できる条件」だ。
「『顔は妥協できる』という男性は多いんですが、『太っているのは無理』『年齢が上すぎるのは難しい』という声が目立ちます。許容できない順番としては、体型・年齢・性格みたいな感じです」
婚活で厄介なのが、当人同士が合意していても、親の反対で破談になる“親ブロック”。
「親が『片親はダメ』と反対したり、親の希望と本人の選択が合わずに悩んでしまったりするケースは意外と多いです」
マッチングアプリの普及や価値観の多様化の中で、結婚相談所の立ち位置はどう変わっていくのか。
「単純に増えていくと思います。ある程度本人の認証がちゃんとされているマッチングシステムというふうに捉えています。そういったものがどんどん普及していくのではないかなという気はしています」
最後に、仲人としてのやりがいを尋ねると、梅澤さんはこう答えた。
「やっぱり人が人を選ぶ基準が、世の中に流れている情報と一致するとは限らないので、それに気づいた時に面白いなと感じますね」
結婚のかたちの変化とともに、婚活市場も変わってきているようだ。
