つるの剛士、壮絶ないじめ経験 彫刻刀で切られ「今でも傷は残ってます」…教育現場で学んだ“学校に行かない”選択肢
タレント・つるの剛士が5児の子育てや夫婦円満の秘けつをつづった著書『つるのの恩返し』(講談社刊)を6月25日に発売した。1994年に俳優としてデビュー。その後、歌手やタレントなどと幅広く活動しており、近年は子どもの教育にも力を入れている。その原動力は、子どもの頃に受けたいじめだったという。今年3月に東京未来大学こども心理学部通信教育課程を卒業し、認定心理士の資格を取得した、つるのが令和のいじめについて語った。

著書『つるのの恩返し』で自らの半生をつづる
タレント・つるの剛士が5児の子育てや夫婦円満の秘けつをつづった著書『つるのの恩返し』(講談社刊)を6月25日に発売した。1994年に俳優としてデビュー。その後、歌手やタレントなどと幅広く活動しており、近年は子どもの教育にも力を入れている。その原動力は、子どもの頃に受けたいじめだったという。今年3月に東京未来大学こども心理学部通信教育課程を卒業し、認定心理士の資格を取得した、つるのが令和のいじめについて語った。(取材・文=福嶋剛)
――まずは、『つるのの恩返し』を書こうと思ったきっかけを教えてください。
「ウェブマガジンに連載していたら、編集者の方に『本を出しませんか』って、お声掛けいただいたんです。でも最初は別に自分の家庭のことなんて話すことないですし、恥ずかしいからってお断りしたんですけど、編集の方にすごく熱心にオファーしていただいたので、『自分も50歳の節目だし、棚卸しとしてやってみようかな』と思いました。『約30年芸能界にいる、つるの剛士はこんな人間です』という、そのくらいな感じで書きました」
――著書では父親としてのつるのさんの様子が多く描かれていますが、つるのさんの子どもの頃についてお聞きします。
「僕は、ずっといじめられっ子だったんですよ。親父が銀行員で北九州、広島、大阪、東京といろんなところに引っ越しました。12歳の時に東京に越して来ましたが、そこでのいじめがひどかったんです。クラスで無視されるのは当たり前だったし、彫刻刀で切り付けられたりもしました。今でもその傷は残っています。まあ辛かったですけど、『絶対あいつらには負けねー』『いつか見てろよ!』と思って生きてきました。その後、成人式の時にいじめたやつらが『つるの、あの時はごめんな』って謝ってくれたんです。いじめを美化するつもりは全くないですが、『その経験を通して奮起したことで今の自分がいるのかな』と思ったりもしますね」
――いじめを乗り越えられた理由は何だったのでしょう。
「仲のいい友達がいたことが大きかったですね。あとは音楽に救われました。僕の学生時代はバンドブームで、ロックバンドを組んだり、それが楽しかったから学校に通えたんだと思います」

頑張るって「生きる」ってこと
――つるのさんは保育士の資格を取得して、大学では子どもの心理学も学びました。教育現場を経験して、改めて子どもがいじめに遭った時に大人はどう対応すればいいと思いましたか。
「僕は無理して学校に行かなくていいと思いました。家族は子どもの話を聞いてあげて、『あなたの味方だよ』ってちゃんと伝えてあげることが大切だと思います。いろんな専門機関もありますし、学校と話しながら対応すれば、今は学校に行かないという選択肢もあると思います」
――子どもにとっても「行かなくていい」という言葉に救われますね。
「例えるなら、思い切りバネを縮めている時期で、僕はめちゃくちゃ大切な時間だと思います。その縮めた分だけ、いつか自分の力で高くジャンプできますから。もし子どもの方から『行きたくない』と言ったら、僕はすごいって褒めてあげたいです。だって行きたくない理由が分かっているということじゃないですか。勉強だって協調性だって後からいくらでも学べますよ。僕がそうじゃないですか(笑)。40代から大学に行って勉強したんですから」
――つるのさんの中で「頑張る」という言葉はどんな風に受け止めていますか。
「頑張るって、単純に『生きる』ってことだと思います。『活きる』でもあります。そう、だから生きるんですよ。これに尽きるんじゃないですか」
――改めて教育現場で学んだつるのさんに「子どもとは」という質問をさせてください。
「子どもは未来です。未来でしかない。僕は自分の子どもだけじゃなくて、世の中の子どもたちが大好きです。子どもたちと接していると、いろんなことを教えてくれますし、自分が子どもだった頃にもらったたくさんの感動や夢を思い出させてくれるんです」
□つるの剛士 1975年5月26日生まれ。福岡県北九州市出身、藤沢市在住。1994 年にテレビ朝日系『青春の影』で俳優デビュー。1997年にTBS系『ウルトラマンダイナ』の主人公・アスカ隊員を好演し話題に。フジテレビ系『クイズ!ヘキサゴンII』(2007年)で、「おバカタレント」として人気を博す。翌08年、番組で結成した、野久保直樹、上地雄輔とのアイドルユニット・羞恥心のリーダーとして活躍。09年、カバーアルバム『つるのうた』をリリースし、オリコン1位を記録した。同年2男3女の父親として『ベスト・ファーザー賞』を受賞し、イクメンの代表的存在となる。22年、短大卒業とともに幼稚園教諭二種免許を取得。同年12月には国家資格となる保育士試験に合格し、「保育士証」を手にした。翌23年4月、系列大学(東京未来大学/こども心理学部通信教育課程)の3年に編入し、25年に卒業。同年2月にはSNSで認定心理士の資格取得を報告した。他にも将棋、釣り、楽器、サーフィン、野菜作りなど趣味も幅広い。
