路面電車でまさかの光景…話題になった“暑さ対策” 担当者が明かした家庭用エアコン導入経緯と評判

国内では連日の猛暑が続き、熱中症による救急搬送が多数報じられている。政府は適切なエアコン使用を呼び掛けているが、そんな中、SNSでは車内に家庭用のエアコンが設置された北海道の路面電車が話題となっている。運行する函館市企業局交通部(函館市電)に、設置の経緯と背景を聞いた。

函館市電に設置された暑さ対策が話題(写真はイメージ)【写真:写真AC】
函館市電に設置された暑さ対策が話題(写真はイメージ)【写真:写真AC】

1車両に2台エアコンが設置「『あまり涼しくない』という意見も」

 国内では連日の猛暑が続き、熱中症による救急搬送が多数報じられている。政府は適切なエアコン使用を呼び掛けているが、そんな中、SNSでは車内に家庭用のエアコンが設置された北海道の路面電車が話題となっている。運行する函館市企業局交通部(函館市電)に、設置の経緯と背景を聞いた。

 今月1日、フリーアナウンサーの堀若菜が「函館市電の暑さ対策、それは 車内にルームエアコン」とつづり、座席の上に家庭用エアコンが設置された函館市電の車内写真を公開。見慣れない光景に、SNSでは「これ知らんかった!!」「なんつーパワープレイw」「電車に取り付けできるんだ?!」「俄然乗りたくなってしまったw」「故障時に替えが効きやすそうだからいいよね」「我が故郷よ…そんなことになっていたとは」といった驚きの声が殺到、8日時点で16万件以上の“いいね”がつく反響を呼んでいる。

「最近、問い合わせが他にもチラッと来てるような感じはある」と話すのは、函館市電の担当者。車内にエアコンが取り付けられたのは、数年前に社内で全車両の大規模改修を行った時だといい、「該当の車両は他の車両に比べ、窓が少ししか開かない仕様であり、お客様や乗務員から『暑い』という意見が多く寄せられ、対応に苦慮しておりました」と導入の契機を明かす。

 対策として家庭用エアコンの設置を検討。国へ問い合わせると設置には問題がないと許可が下り、とさでん交通株式会社(高知県)など他の電鉄会社でも設置している前例があることが分かった。

「車両は平成2年から導入されたものです。それより後に導入された景勝電車や快適車両など、最初からついている電車もあります。該当の車両は車いすが1台だけ乗車できるため、せっかく車いすの方も乗れるのにどうにかならないものかということで、各所に相談して設置しました。簡単に言うと他社さんのまねをした感じになります」

 そもそもエアコンが設置されていない車両を導入したのはなぜか。該当の車両を導入した平成2年ごろは、函館では夏場にエアコンをつけるという概念自体がなかったという。担当者は「北海道の電車でも、今購入している車両は全てエアコン付きにはなりますが、昭和の終わりから平成の最初のころまでは、『北海道はエアコンなんていらないよ』『路面電車に関しては涼しいからいらないよね』という感じだったと思います」と当時を振り返る。

 苦心の末に生み出した暑さ対策。しかし、利用客からの意見は賛否両論だ。

「1両に2台エアコンが設置されているのですが、エアコンがついてないよりは当然マシ、という意見がある一方、やはり通常の電車についている業務用エアコンとは異なり出力が弱いこと、数百メートルに1回、駅でドアを数分間開閉することで車内が冷え切らず、お客様からは『あまり涼しくない』という意見もちょうだいしております」

 ちなみに、業務用と比較した際の電気代については、「函館市電は600ボルトで走っており、そこから電車内で100ボルトや200ボルトに変圧して走ったり、電気をつけたり、エアコンを回したりと使っているため、計算式が一般の家庭とは違います。エアコンの違いで何か影響があるわけではありません」と担当者。

 同じ型の他の車両については、車両変更の時期も間近に迫っていることから、今後新たな家庭用エアコン設置の予定はないとしている。

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