30歳・馬場ふみかの自然体な価値観 SNSのキラキラした生活と比較し「不幸と感じるのはもったいない」

俳優の馬場ふみかが、映画『愛されなくても別に』(7月4日公開、井樫彩監督)で南沙良演じる主人公・宮田陽彩と出会い、静かに心を通わせていく同級生・江永雅を演じている。過去に傷を抱えながらも強く生きるキャラクターと向き合いながら、自身の日常や考え方にも変化があったという。馬場が語る、“今”の価値観とは。

インタビューに応じた馬場ふみか【写真:藤岡雅樹】
インタビューに応じた馬場ふみか【写真:藤岡雅樹】

バスケボール観戦でリフレッシュ「余計なことを考えずに済む」

 俳優の馬場ふみかが、映画『愛されなくても別に』(7月4日公開、井樫彩監督)で南沙良演じる主人公・宮田陽彩と出会い、静かに心を通わせていく同級生・江永雅を演じている。過去に傷を抱えながらも強く生きるキャラクターと向き合いながら、自身の日常や考え方にも変化があったという。馬場が語る、“今”の価値観とは。(取材・文=平辻哲也)

 ここ数年、馬場がリフレッシュのために友人と足を運んでいるのがバスケットボールの試合観戦だ。

「親友がWリーグのファンで、誘われて見に行ったのがきっかけです。最初はルールもよく分からなかったんですけど、見ているうちに少しずつ理解できて、選手のかっこよさに魅了されました。試合に集中していると、余計なことを考えずに済むのもいいですね」

 自身もピラティスやパーソナルトレーニングに通い、身体を整える日々を送っている。そんな生活の中で、SNSを通じた“見せる幸せ”についても考えるようになった。

「SNSにキラキラした生活を投稿している人たちは、それも一つのエンタメだと思います。でも、それがすべてじゃない。見せていない部分や本音は本人にしか分からないから、それを見て『自分は不幸だ』と感じるのは、すごくもったいない」

 他人と比べるより、自分の心に正直でいたい――そんな馬場の価値観は自然体だ。

「私も、“いいな”と思うことはあります。でも、その人にはその人なりの苦労や背景があると思うと、比べることに意味はないなって。結局、自分がどうすれば幸せになれるかの方が大事だと思います」

 今回の作品では、陽彩と雅という異なる境遇の若者が、コンビニでのアルバイトを通じて出会い、少しずつ心を通わせ、同居もしていく。馬場も上京当初は社長の家に居候し、その後、事務所の先輩とルームシェアをしていた経験がある。

「最初の頃は、事務所の先輩たちにどう接すればいいのか分からなくて、私との距離の取り方をみんなで会議してくれてたらしいんです(笑)。今となっては笑い話ですけど、当時の私は結構めんどうくさい存在だったかもしれません」

6月に30歳を迎えた馬場ふみか【写真:藤岡雅樹】
6月に30歳を迎えた馬場ふみか【写真:藤岡雅樹】

東京に住む父と頻繁に食事「家族とは昔から仲が良い方だと思います」

 プライベートでは、家族との距離も近い。

「母と姪っ子は新潟に住んでいて、月に1~2回くらい東京に遊びに来ます。父は東京にいて、よく焼き鳥を食べに行ったり。学生の頃から、父と2人でランチに行くこともありました。家族とは昔から仲が良い方だと思います」

 映画のタイトル『愛されなくても別に』に込められたテーマに対しても、強い共感を口にする。

「“愛されないと生きていけないのか?”って考えさせられますよね。でも、そうじゃないって思えるのが雅の魅力。私も“私は私として生きていく”という考え方には共感します。誰かに愛されることを押しつけるような価値観には、気をつけたいです」

 どこか“少しひねくれた”キャラクターに縁がある馬場だが、それを前向きに受け止めている。

「ありがたいことに、そういった役をいただくことが多くて。以前、監督に『あのシーンがオーディションだった』って言われたこともあります。毎日の仕事がオーディションのようなものだとは思っていましたけど、やっぱり驚きますよね」

 6月に30歳を迎えた。朗読劇など新たな挑戦にも積極的だ。

「30代になっても、あまり意識しすぎず、流れに身を任せて進んでいけたらいいなと思っています。新しいことにも、どんどん挑戦していきたいですね」

 浮き沈みの激しい時代に、自分自身の足で立ち続ける。そんな自然体の姿勢が、今の馬場ふみかを支えているのだろう。

□馬場ふみか(ばば・ふみか)1995年6月21日生まれ、新潟県出身。映画『パズル』(2014年/内藤瑛亮監督)で女優デビュー。テレビ朝日系『仮面ライダードライブ』(14年)で敵女幹部・メディックを演じて話題となり、映画『黒い暴動』(16年/宇賀那健一監督)で初主演を果たす。映画『恋は光』(22年/小林啓一監督)では演技が評価され、第44回ヨコハマ映画祭にて最優秀新人賞を受賞。主な出演作に、『劇場版 コード・ブルー ‐ドクターヘリ緊急救命‐』(18年/西浦正記監督)、映画『糸』(20年/瀬々敬久監督)、映画『ひとりぼっちじゃない』(23年/伊藤ちひろ監督)、映画『愛に乱暴』(24年/森ガキ侑大監督)などに出演。

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