目の病に一度は絶望 仮面ライダーで怪演…173cmの高身長女優・千歳まちが嫌いだった個性に自信を持てた訳

173センチの高身長にハスキーボイス。個性が光る俳優の千歳まちが、注目度を高めている。放送中のテレビ朝日系『仮面ライダーガヴ』(日曜午前9時)で強烈な悪役を演じており、同作のイベントに出席すると、女性ファンから感激の悲鳴が上がるほどの人気ぶり。コスプレイヤー・ゲーム実況者としても存在感を発揮している。多彩な活躍を見せるが、目の病気に苦しみ、自分の“武器”がコンプレックスだった時期も。“話題の人”の素顔に迫った。

173センチ高身長&ハスキーボイスが魅力の千歳まち【写真:増田美咲】
173センチ高身長&ハスキーボイスが魅力の千歳まち【写真:増田美咲】

仮面ライダーガヴで悪役 「監督からは『暴力担当だよ』と言われています(笑)」 脚本家の横顔も

 173センチの高身長にハスキーボイス。個性が光る俳優の千歳まちが、注目度を高めている。放送中のテレビ朝日系『仮面ライダーガヴ』(日曜午前9時)で強烈な悪役を演じており、同作のイベントに出席すると、女性ファンから感激の悲鳴が上がるほどの人気ぶり。コスプレイヤー・ゲーム実況者としても存在感を発揮している。多彩な活躍を見せるが、目の病気に苦しみ、自分の“武器”がコンプレックスだった時期も。“話題の人”の素顔に迫った。(取材・文=吉原知也)

 スラッとしたシルエット、放たれるクールなオーラ。一方で、実際に話してみると、「赤ちゃんみたいってよく言われるんですよ」と人懐っこく笑みを浮かべる。いい意味でギャップがあるのが印象的だ。

 令和仮面ライダー最新シリーズの仮面ライダーガヴではグロッタ・ストマック役を務め、テレビドラマ初出演。妖艶な衣装を身にまとい、悪者を体現する怪演が反響を呼んでいる。「監督からは『暴力担当だよ』と言われています(笑)。仮面ライダーのヒーローぶりを際立たせるためにも、悪役の存在は大事だと考えています。視聴者の子どもたちに『怖い』と思ってもらえるように、アクションを含めて全力で演じています」と、熱い思いを語る。

 実力派俳優の堺雅人に憧れ、大学時代は演劇部に所属。20歳の時に文化祭でスカウトされた。夢の芸能界入り。小劇場の舞台に立ち、切磋琢磨(せっさたくま)で演技力を磨いてきた。また、文学部出身で、授業で小説を書いた経験をきっかけに、脚本執筆にも取り組むように。絵本の舞台化など、ファンタジーを得意とする脚本家としての顔も併せ持つ。

 歴史ある仮面ライダー作品への抜てき。大きな一歩を踏み出したが、持って生まれた体格と声に悩んできた過去があるという。

「高校生の頃には身長170センチ以上あったのですが、声が低いことも含めて、いじられることが多かったです。『ジャイ子みたい』と言われたこともありました。『ここで私がめそめそしていたら、周りが引いちゃう』と思い、その時は笑って過ごしていましたね。私はイヤなことがあると、へらへら笑ってしまうんです」

 しかし、役者の世界に入ると、嫌いだった自分の個性が評価されるように。「声を褒めていただくことが多かったんです。そのうち、『こんな声でもいいのかな』と自信を持てるようになりました。今回の仮面ライダーガヴでは、アニメコンテンツでもアフレコをしているのですが、すごく楽しくて、声優のお仕事にも興味を持っています。撮影では約15センチのピンヒールを履いているのですが、もともとの身長と相まって、『迫力がある』と評価していただいています。今は身長があってよかったな、と心の底から思っていますよ。しっかり自分の個性を生かしていきたいです」。充実の表情を浮かべる。

 愛犬家でお笑い好きで多趣味。ゲームは『逆転裁判』シリーズが好きで、今はホラーゲームにもハマっており、YouTubeでゲーム実況に取り組んでいるという。芸能界に入った頃には、コスプレに興味を抱くように。「実はコスプレもコンプレックスが関わっています。当時は自分のことが好きになれず、他人の人生としての時間を過ごしたくて、コスプレを始めたんです」。本格的な衣装はオーダーすることもあれば、自分で作ることも。今ではすっかりライフワークで、仕事にもなっている。「公式としてアプリゲームの男性キャラのコスプレを務めさせていただいています。東京ゲームショウによく行っていて、コミケ(コミックマーケット)は、夏はたまに、冬は確実にいますよ(笑)」。オタクぶりも全開だ。

「当時は『このまま目が見えなくなったらどうしよう』と絶望しました」

 笑顔の裏には、紆余曲折がある。バドミントンに熱中していた中学3年の時、ある日突然、シャトルがうまく見えなくなり、打てなくなった。診断されたのは「黄斑変性症」という目の病気だった。「右目の真ん中が見えていない状態です。10代では珍しいらしく、当時は『このまま目が見えなくなったらどうしよう』と絶望しました」。家族の支えもあり、自分の運命を向き合い、ある人生観に行き着いた。「『このままあきらめて何もしないのはよくない。人生を楽しみ切ろう』と。太く短く生きる、これが私のモットーになりました。だから、お芝居に出会えたことで、楽しく全力で取り組んでいます」。完治は難しいといい、これ以上悪化させないように治療を続けている。

 仮面ライダーガヴのイベントでは、登場時やキャラクター公式曲の歌唱時に、女性ファンの黄色い声援を浴びた。「同性の方々に注目をしていただき、うれしいです」。ファンの存在は心の支えになっており、「ファンの皆さんから『明日仕事を頑張れる』『元気になった』と言葉をかけていただくことがあります。私のことを応援してくださる方々にとって、私自身が励みの存在であり続けられるよう、頑張っていきたいです」と誓いを立てる。

 今後の夢も膨らむ。「福田雄一監督の作品に出演したいです。NHK大河ドラマ、TBS日曜劇場に出ることも目標です」。そこには、いつも応援してくれる両親への恩返しの思いもある。目の病気で絶望した時に何より支えてくれたのが、母だった。「仮面ライダーガヴに出演させていただいていることで、両親が『娘がこれに出てるんだ』と自慢に思っているということを聞きました。母はドラマが大好きなので、母がテレビを見ていて『あっ、ウチの子が出てる』と驚いてもらえるように、いろいろな作品にもっともっと出続けていきたいです」。力強く前を見据えた。

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