今年1月、スターダムのリングでデビューした姫ゆりあ。同期の鉄（くろがね）アキラは1日違いのデビューで、「絶対に負けたくない」ライバルでもある。しかし鉄は姫より先に自力初勝利、ユニット入りを果たした。一方で姫は痛烈なプロレスラーの洗礼を浴びることに……。（取材・文＝橋場了吾）

　5月9日の新木場1stRING大会。姫ゆりあは鉄アキラと同期対決を行った。互いに自力初勝利がかかった試合で、鉄がハーフハッチスープレックスホールドで姫から3カウントを奪った。

「お互い気が強くて、言い過ぎちゃうこともある同期なんですけど、あと腐れはないですしストレートに伝えられる相手なので楽ではあります。やっぱりずっと隣で頑張っているのを見ていたので、素直に『おめでとう』という気持ちもあるんですが……悔しさの方が強いですね。プロレスは負けから始まる、とも言われますが、自分は自我が強いので、アキラに注目が集まっているのも面白くないですし、先にユニット（鉄は鈴季すずが立ち上げた『Mi Vida Loca』に加入）に入られちゃいましたし、嫉妬しちゃいますね」

　姫は自身のインスタグラムで、ファンからの質問に答える期間を作ったことがあった。その中でダントツで多かった質問が「どのユニットに入りたいですか？」だった。

「最初はごまかしていたんですけど、最後の方はちょっとだけ匂わせました(笑)。もともと入りたいのはそのユニット一択だったのですが、実は今は迷っているところです。自分が加入して、力になれるユニットに入りたいですね」

　4月27日の横浜アリーナ大会は、中野たむが上谷沙弥に敗北し引退。IWGP女子王座を失った岩谷麻優が退団、舞華が長期欠場を決断し、FWCがSTARS離脱を匂わせるなど今後のスターダムにとって重要な大会となった。5月11日の後楽園ホール大会では玖麗さやかが上谷のワールド・オブ・スターダム王座に初挑戦するも惜敗、羽南がFWCのSTARSからの離脱を認め、スターダムの動きは加速している。そんな中、姫は横浜と後楽園の間の九州遠征において、飯田沙耶から2試合連続で強烈なチョップの洗礼を受けた。胸元は内出血によりどす黒く腫れ上がってしまった。ある意味、飯田が姫をプロレスラーとして認めたからこその洗礼だったのかと飯田に聴くと……。

「そうですね、それはありますね。やっぱりチョップってシンプルに一番痛い技なんですよ、皮膚の痛みなので。このチョップを逃げずにしっかり受けられるか受けられないかって、レスラーとしての技量が試されるんですよね。今回ゆりあにめちゃくちゃ打ったのは、そこを逃げるか逃げないかを見たかったんです。ゆりあはおっとりしていてマイペースなので、私には闘志がイマイチ見えていなかった。でも、逃げないで受けきったので、プロレスラーとしての意思があって、私と向き合って受けているんだなっていうのをしっかり見られたのは良かったですね」

　飯田は姫に「親分」と呼ばれているのだが、人数が減ってしまったSTARSへの加入は歓迎するとも話した。この話を姫にすると……。

「チョップを受けているときの記憶が全然ないんです、痛すぎて。逃げずに受けなきゃ、という気持ちしかなかったですね。でも、自分の運の良さなのかなって思って。飯田さんのチョップを受けて皮膚が赤くなっている選手を見て、羨ましく思っていた部分もあったので、カード変更で飯田さんとタッグで当たって、その2日後にシングルになって、ここまで内出血することは逆にないなと（笑）。

　皮膚が人より薄いらしくてあざができやすいんですが、チョップを受けたって一発でわかるのは、レスラーとしてはある意味美味しいのかなとも思います。（ユニットに関しては）親分の言うことは絶対、なんですかね（笑）。STARSってフレッシュな元気なイメージであるので、自分はそんな感じではないかなとも思いますし、しっかりと考えたいですね」

　最後に姫に、今後の目標を聴いてみた。

「ゆりあは誰ともかぶらないように……正面跳びドロップキックを使っているのも、それが理由です。キックボクシング経験があるのですが、キックを使う選手は多いのであえて使っていない部分もあります。コスチュームも素肌が見えていいデザインのところにシースルーを入れて、少しでも違う部分を出せたらと。プロレスラーとしては白川未奈さん（スターダムを退団し現在はAEWに所属）が目標です。前職も同じですし、大人っぽい色っぽさを出せるレスラーになりたいと思っているので、白川さんが獲ったことのあるベルトは全部獲りたいです。そして、アキラよりも先にベルトを巻きたいですし、最終的にはスターダムにある王座のグランドスラムを達成したいですね。グラビアは……プロレスラー・姫ゆりあとしてお話があったら、ぜひまたやってみたいです」