「この天気でも走るドライバーが凄い」悪天候の東京で起こった逆転劇 EVレース制したのは「日本LOVE」のナイスガイ

世界最高峰の電気自動車(EV)レース、「ABB FIA フォーミュラE世界選手権」シーズン11第8戦が17日、東京・有明の特設サーキットで行われ、悪天候の中、マセラティのストフェル・バンドーン(ベルギー)が優勝。マセラティは昨年の東京大会に続く連覇を果たした。18日には第9戦が行われる。

11チーム22台が東京を駆け抜けた【写真:(C)フォーミュラE】
11チーム22台が東京を駆け抜けた【写真:(C)フォーミュラE】

有明の市街地コースで熱戦

 世界最高峰の電気自動車(EV)レース、「ABB FIA フォーミュラE世界選手権」シーズン11第8戦が17日、東京・有明の特設サーキットで行われ、悪天候の中、マセラティのストフェル・バンドーン(ベルギー)が優勝。マセラティは昨年の東京大会に続く連覇を果たした。18日には第9戦が行われる。

 東京初開催で成功を収めたフォーミュラEが1週末2レースのダブルヘッダーに規模を拡大。エントリーは11チーム22台で、コースは東京ビッグサイト周辺の一部公道に設置された。18のコーナーと3本のロングストレートで構成され、1周2582キロ35周(今レースはアディショナルラップを加えて38周)で争われた。

 あいにくの雨で予選が中止となる中、フリー走行2回目の結果により日産フォーミュラEチームのオリバー・ローランド(英国)がポールポジションを獲得。決勝でもトップを快走する走りを見せたが、14周目にDSペンスキーのマクシミリアン・ギュンター(ドイツ)のマシンが停止し、レースは赤旗中断となる。

 これが明暗を分ける。今レースでは「ピットブースト」の導入により、各車、30秒間の急速充電が義務化され、どのタイミングで充電するかが一つのポイントになっていた。バンドーンは唯一充電を行っていた。赤旗中断ではタイム差がリセットされるため、再開後、バンドーンは一転してトップに立つ。地元凱旋を狙うローランドも濡れた路面を果敢に攻めたが、逆転することはできなかった。

 2022年4月のモナコ大会以来の勝利を手にしたバンドーンは、「私たちが一番最初にピットインしたのですが、赤旗中断という幸運に恵まれ、フィールドが再び混戦状態になりました」と話しつつも、“大バクチ”を否定。「私たちの計画がうまくいって本当にうれしいです。序盤に多くのエネルギーを消費するという、非常に大胆でアグレッシブな戦略を決断しました」と作戦勝ちを強調した。

優勝したストフェル・バンドーン【写真:ENCOUNT編集部】
優勝したストフェル・バンドーン【写真:ENCOUNT編集部】

「今日みたいに、時々大雨が降ります」

 ベルギー生まれの33歳。

「日本の文化が好きです。2016年にはスーパーフォーミュラで日本でレースをしていました。だから、ここで多くの時間を過ごしました。ええ、素晴らしい場所です。今日みたいに、時々大雨が降ります。でも、私はいつも日本に行くのが好きなんです」

「焼肉を愛している」というナイスガイは、慣れ親しんだ日本でその“雨”も味方につけ、栄冠をたぐり寄せた。昨年に続いて2位のローランドは、「できる限りのことをしました。これはレースの一部で、時々起こることです」と受け止め、第9戦での“3度目の正直”を誓った。

「電気自動車のF1」と呼ばれ、風を切り裂く独特のモーター音や激しいバトルが特徴のフォーミュラE。ネット上には、「この天気でも走るドライバーが凄い」「これこそ本物のeスポーツなのでは!?」「マリオカートの加速みたい」など今年もさまざまな反応が書き込まれた。

 世界に比べ、日本ではEVの普及は後手に回っているが、モータースポーツのイベントとしては環境に優しく、企業の理解も受けやすいという利点もある。今シーズンからは、日産に続き、ヤマハ発動機もローラ・ヤマハABTフォーミュラEチームとして出場。今後どんな発展を遂げるのか、注目が集まりそうだ。

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