人気飲食店がインバウンド向け施策導入 「どんどんやったら良い」「マジでやめて」など反応さまざま
日本政府観光局(JNTO)によると、昨年1年間で日本を訪れた外国人旅行者は3687万人で、コロナ禍以前も含めて過去最高を更新した。空前のインバウンド需要を受け、国内の観光業や外食産業が活気づくなか、牛かつ専門店「牛かつ もと村」が店内に設置した“チップボックス”がSNS上で大きな話題を呼んでいる。実際にチップを入れる観光客はいるのか。売り上げや導入の経緯について、運営会社に話を聞いた。

牛かつ専門店「牛かつ もと村」が店内に設置したチップボックスが話題に
日本政府観光局(JNTO)によると、昨年1年間で日本を訪れた外国人旅行者は3687万人で、コロナ禍以前も含めて過去最高を更新した。空前のインバウンド需要を受け、国内の観光業や外食産業が活気づくなか、牛かつ専門店「牛かつ もと村」が店内に設置した“チップボックス”がSNS上で大きな話題を呼んでいる。実際にチップを入れる観光客はいるのか。売り上げや導入の経緯について、運営会社に話を聞いた。
先月19日、「牛かつ もと村」の店内に設置されたチップボックスの写真がSNS上で拡散。「Tip Box Thank you!!」と書かれた透明の箱には、多数の千円札や海外の紙幣が詰め込まれている。
投稿は5000件を超えるリポスト、9万件以上の“いいね”を記録。「これは有能」「インバウンドはこうやって活かしていかないと」「このやり方、なんか良いな」「ワイもこの前行ってびびったw」「これ、どんどんやったら良いと思う」「回転寿司屋とかも全部やれば儲かりそう」「チップを渡す時は紙幣がマナーってルールを逆手に取った方法とも言えるな」「これ帳簿的にはどうなるんやろ」「日本にチップ文化を持ち込むのマジでやめてほしい」「チップを乞うようになった日本の深刻さよ、、、、、、」など、さまざまな反応が寄せられている。
「牛かつ もと村」を運営する株式会社サンマルクホールディングスの広報IR担当者は、拡散した投稿について「(弊社の店舗で)間違いありません」と回答。昨年2月から、出店先の商業施設で禁止となっている場合を除き、全店舗にチップボックスを設置しているという。
背景には、近年の外国人観光客増加に伴い、スタッフが直接チップを渡される機会が増えているという事情がある。日本国内では税務処理上、チップは売上に該当し、受け取った本人が個人で確定申告をする必要があり、店員側も処理に頭を悩ませていたという。そこで、すでに海外で一般的なチップボックス制度の導入を検討。「店舗みんなの努力が認められたものとの認識から、みんなでありがたく受け取れるようにできないかという声があり、税法上のチップの正しい申告、運用をしていくために始めました」と経緯を説明する。
導入後の印象については「基本的には外国人が多く、中でもチップ文化のある国の方が入れていると感じている」と同担当者。チップは厳重に管理し、月1~2回集計、「店舗や月によってかなり変動はありますが、1店舗あたり1か月に約2~3万円ほど」が集まっているという。
今回の反響について「すでに海外の外食店舗では『Tips BOX』として一般化しておりましたので、Xでのバズり方は、文化的な違いが側面にあるのだろうと考えておりました」と同担当者。実際に集まったチップについては「雑収入に一旦計上し、納税後、店舗で慰労/感謝を目的とした福利厚生費として使用しています」とし、適切な処理のもと従業員に還元していると話した。
日本ではまだなじみの薄いチップ文化。インバウンドの高まりを背景に、今後は国内でも定着していくか。
