動物たちが歌って踊るスーパーアイドルに 監督が明かす映画制作エピソード…「聞き惚れた」声優陣の歌

1978年の発売開始以来、47年の歴史を持つロングセラーお菓子「たべっ子どうぶつ」が初めて映画化された。公開中のフル3DCGアニメ映画『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』(竹清仁監督)だ。スクリーンの中では、おなじみの動物たちが歌って踊るスーパーアイドルになり、“最凶”の「わたあめ軍団」と戦うことに。竹清監督に制作の舞台裏を聞いた。

取材に応じた竹清仁監督【写真:ENCUOUNT編集部】
取材に応じた竹清仁監督【写真:ENCUOUNT編集部】

仕掛け人は『ポプテピピック』プロデューサー

 1978年の発売開始以来、47年の歴史を持つロングセラーお菓子「たべっ子どうぶつ」が初めて映画化された。公開中のフル3DCGアニメ映画『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』(竹清仁監督)だ。スクリーンの中では、おなじみの動物たちが歌って踊るスーパーアイドルになり、“最凶”の「わたあめ軍団」と戦うことに。竹清監督に制作の舞台裏を聞いた。(取材・文=大宮高史)

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 映画の舞台となるのは、おかしと人間が仲良く暮らすスイーツランド。そこでは、らいおん、うさぎ、かば、ぞう…といった、たべっ子どうぶつのビスケットでお馴染みのどうぶつたちが、歌って踊るスーパーアイドルになっている。ところが、全てのおかしを排除して世界征服を企む“最凶”の「わたあめ軍団」によって、映画オリジナルキャラクターのぺがさすちゃんが捕らわれてしまう。そのため、仲間を救おうと、かわいいだけで“戦闘力ゼロ”のたべっ子どうぶつたちが立ち上がり知恵を絞って戦いに挑んでいくという展開だ。作品は癒し系“モフモフ”のフル3DCGアニメに仕上がった。

 本作の仕掛け人は、TVアニメ『ポプテピピック』(2018年)などを手掛けたプロデューサーの須藤孝太郎氏。近年、お菓子「たべっ子どうぶつ」のキャラクターが若者を中心に人気となり、須藤氏が「たべっ子どうぶつ」のキャラクターのステッカーが貼られた営業車を見て直感し販売元のギンビス社に映画化を打診、実現へこぎつけた。

 そして、3DCG制作に長けた映像作家として竹清監督に白羽の矢が立った。竹清監督は短編アニメやCMなどの演出を手掛け、2012年に映像の企画・制作会社「モンブラン・ピクチャーズ」を設立。同年に監督を務めた長編アニメ映画『放課後ミッドナイターズ』が海外の映画祭にノミネートされた実績を持つ。脚本は『吉祥寺ルーザーズ』『ゴッドマザー~コシノアヤコの生涯~』などを手掛けるほか、俳優としても活動する池田テツヒロ氏(俳優名は池田鉄洋)が担当するなど、選りすぐりのスタッフが集結した。

 竹清監督は自身も「たべっ子どうぶつ」のファンだったといい、今回の映画化において、まずは物語のベースについてエピソードを明かした。

「僕自身『たべっ子どうぶつ』は子どもの頃から食べていて、思い入れもありました。実は、もっと人間が活躍するプロットも候補にありましたが、須藤さんや池田さんと一緒に『やっぱりお菓子のキャラクターそのものの魅力を活かそう』と考えました。ただ彼らを動物として活躍させるだけだったら『たべっ子どうぶつ』を物語にする意味がない。だから『お菓子は、人を笑顔にするもの』と考えて、たべっ子どうぶつたちも人を笑顔にするアイドルグループとして活躍させようと思いました」

 一方、敵となるのは“わたあめ”で、その経緯も語った。

「池田さんが『皆がかわいいと思っているものが敵で、曲がった性格だったら面白いよね』と思いつき、シンプルなわたあめに、外見と性格のギャップを作っていきました」

ぺがさすちゃん・高石あかりの歌に聞きほれた

 中学生の頃に観た米映画『スター・ウォーズ』が、映像表現に憧れた原体験だという竹清監督は今回、3DCGで夢のある世界を構築することにこだわったという。

「3DCGは、実写と手書きアニメの中間的な表現手法で、物語の主な舞台となる『スイーツランド』をリアルで説得力のある世界として作っていけました。どうぶつたちのモフモフ感にも相当こだわりましたし、原色に近い色のキャラクターたちなので、チープな感じにならないように、背景の配色も細かく決めていきました。迫力ある映像になったと思いますので、お菓子のキャラクターであるどうぶつたちと同じ目線で冒険気分に浸ってほしいですね」

 そんなどうぶつたちに命を吹き込む声優陣にも注目だ。リーダーポジションのらいおんくんには、Travis Japanの松田元太、らいおんくんの理解者で大らかな性格のぞうくんに水上恒司、映画オリジナルのぺがさすちゃんに高石あかり。天真らんまんなさるくんにオリエンタルラジオ・藤森慎吾、ムードメーカーのかばちゃんに蒼井翔太、わたあめのボス・キングゴットンを大塚芳忠が務めるなど、多彩な顔ぶれがそろった。

「松田さんは、自身の人柄をらいおんくんの声にのせて、とてもチャーミングなキャラクターを作ってくれました。いい意味でちょっとおっちょこちょいなところまで、松田さんらしさが出ていましたね(笑)。水上さんの、聞いていて心地よく落ち着いた声のお芝居は、優しく知的でりりしいイメージのぞうくんにぴったりでした。時折見せるユーモアも品があって好きでしたね。高石さんのぺがさすちゃんは、お芝居はもちろん、歌のシーンがとにかく素晴らしくて、聞き惚れました。声優の皆さん(蒼井、大塚ほか)は実力は揃いのさすがのお芝居で、こちらからはほとんど何もオーダーを出さずに自由に演じてもらいました」

 お菓子から生まれた、ファンタジックな本作。竹清監督は「発想がユニークで目の付け所が素晴らしい人」と、須藤プロデューサーの手腕に改めて感心し、「一見子ども向けに見えて、大人も楽しめる映画」と胸を張った。

 最後に映画のポイントを教えてくれた。

「敵のわたあめは、どんどん分裂して小さくなっていくんですが、そのうちの1体が、らいおんくんにくっついていつも一緒にいることになる。そこで心の交流が生まれるんです。ただかわいいだけの映画ではなく、完璧じゃない彼らが協力して問題に立ち向かっていくことで、自分らしさを見つけるストーリーでもあるので、そこが伝われば。すがすがしくて感動できる作品になったと思います」

 商品登場から半世紀近く。レトロな絵柄で愛されてきた、「たべっ子どうぶつ」のどうぶつたちが、お菓子箱を飛び出して、今、新たな冒険を始める――。

※高石あかりの「高」の正式表記ははしごだか

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【作品情報】
『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』5月1日(木)公開

キャスト:らいおんくん/松田元太(Travis Japan) ぞうくん/水上恒司 ぺがさすちゃん/髙石あかり さるくん/藤森慎吾  かばちゃん/蒼井翔太 うさぎちゃん/小澤亜李 ねこちゃん/水瀬いのり きりんちゃん/東山奈央 わにくん/立木文彦 ひよこちゃん/間宮くるみ
ペロ/大野りりあな ゴッチャン/関智一 マッカロン教授/大塚明夫 キングゴットン/大塚芳忠

原作:ギンビス
監督:竹清仁
脚本:池田テツヒロ
企画・プロデュース:須藤孝太郎
クリエイティブプロデューサー:小荒井梨湖
音楽:羽柴吟
音楽制作:TBSテレビ 音響制作:グロービジョン 音響監督:横田知加子
アニメーションプロデューサー:宇井正人
CGスーパーバイザー:堺井洋介 
アートディレクター:亀井清明 
ラインプロデューサー:高橋弘樹(※“高”は、はしごだかが正式表記)
アニメーション制作:MARZA ANIMATION PLANET INC.
製作幹事:TBSテレビ 配給:クロックワークス TBSテレビ
(C)ギンビス (C)劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

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