【青木真也の目】朝倉未来は「塩試合を名勝負に変えた」 青木真也が激賞…一方で懸念点も「気持ちが消耗する」
格闘技イベント「RIZIN男祭り」が4日、東京ドームで行われた。第15試合では引退を撤回してリングに上がった朝倉未来(32=JAPAN TOP TEAM)が前RIZINフェザー級王者の鈴木千裕(25=クロスポイント吉祥寺)に3R・1分56秒でTKO勝ちを収めた。“路上の伝説”の復活、この日一番東京ドームを沸かせた試合を日本総合格闘技界のトップを走り続けてきた青木真也が解説した。

鈴木千裕の異変を察知「強行出場であることが露呈した」
格闘技イベント「RIZIN男祭り」が4日、東京ドームで行われた。第15試合では引退を撤回してリングに上がった朝倉未来(32=JAPAN TOP TEAM)が前RIZINフェザー級王者の鈴木千裕(25=クロスポイント吉祥寺)に3R・1分56秒でTKO勝ちを収めた。“路上の伝説”の復活、この日一番東京ドームを沸かせた試合を日本総合格闘技界のトップを走り続けてきた青木真也が解説した。(取材・文=島田将斗)
ストライカーとの戦いが心配されていた朝倉だったが、ふたをあけてみれば一方的だった。朝倉は決着までのほとんどをグラウンド上でレスリング漬けにし、パウンドや肘で削っていく試合運びに。一方の鈴木はいつもの勢いがなく、トップポジションを奪われ何もできない時間が続いていた。
3月30日にはガルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)と壮絶な打ち合いをしたばかりの鈴木について、木はこう分析する。
「鈴木千裕がテイクダウンが切れなくて、なおかつ倒された後もずっとクローズドガードしてたのは、誰もがおかしく思いました。僕もおかしいと思っていて、考えられることとしてはコンディションが良くなかったのかなと思います」
ここで言うコンディションとは、減量などに影響されるものではない。前戦の古傷が現在も残っている可能性があることを指摘した。
「『どこかに負傷箇所があるんじゃないの?』って話。そう思っちゃうくらいの動きの悪さだった。僕も連戦したこともありますけど、連戦しただけじゃあんなにコンディション悪くはならないので。強行出場であることが露呈したなと」
3Rには得意の激しい打ち合いに入ろうとするも、攻めの手が止まってしまう瞬間もあった。「暴風雨になろうとしたときに踏みとどまっちゃうというか、そういう不安要素があったんじゃないかなって思います」と語り、鈴木について「彼は『けがしていました』とか言わないと思います。言わないと思うし、言わない方がかっこいいと思います。周りも言わない方がいいと思います」と言うにとどめていた。

大会中は解説生配信「とにかく長かったな」
朝倉は2023年4月29日の「RIZIN LANDMARK 5」の牛久絢太郎戦以来、736日ぶりの勝利。青木は珍しく激賞した。
「塩試合なんですよ。でも、勝負論と彼の勝ちへの執念が塩試合を名勝負に変えました。本当に僕はあっぱれだよって思いました。今回初めてそう思った。あれをやれるんだったら立派ですよ。これまではきれいに格闘技をやっていて圧勝というか、グラデーションがはっきりした試合をやってましたけど、それが初めてドロドロで勝ちたい試合をしたっていう部分が評価高いですよね」
一方で懸念点もあるようで「ああいうのって気持ちが消耗するので、あの戦いをすることでどこまで持つかは分からないね。気持ちは分かるけど、自分の身(メンタル)を削る戦いに突入したなって思いましたね」と予想した。
今大会、青木は自身のYouTubeチャンネルで解説生配信を行った。「とにかく長かったな……よくちゃんと仕事をしました」と疲労困ぱい。
ネット上では青木の言った通りの展開になることや、試合解説の分かりやすさが話題に。この反響に思わずニヤリと笑う。
「忖度なく言ったとおりになっちゃうだろ? そりゃあ使われねぇよな(笑)。面白くないことに面白くないって解説しちゃうんだからさ。U-NEXTとかABEMAの解説席なんか座れねぇよ。自分のメディアでしかできないから成立してるけど他じゃできないっすね」
そして最後に、オープニングファイトで尻を相手に向けるガードを見せた上田貴央について「あれが男祭り」と話を締めた。
