キッズモデル・アイドルからレースクイーンという異色の経歴を持つ広瀬晏夕（あんゆ）が、レースアンバサダー「ARTA GALS」の一員として、2年目のシーズンを迎えた。日本最大級のカーレース「SUPER GT」（5月3～4日、富士スピードウェイで第2戦）で今季、GT500クラスに参戦しているレースチーム「ARTA」。発足28年目となる名門チームを、明るく力強く支えている。自分らしさを大事に、「レースを楽しむ」と前を見据えている。（取材・文＝吉原知也）

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　小学生の時に好きなおしゃれ雑誌を読んでいて「ビビッときて」、自らオーディションに応募。芸能界入りは10歳からだ。10代はアイドルグループ『東京パフォーマンスドール』のメンバーとして飛躍の時を過ごした。休養を挟んで、2020年にRIZINガールとして表舞台に復帰。21年にレースクイーンとしてデビューを果たした。サッカーJ1清水エスパルスの広報部アンバサダーとしても多彩な活動を見せている。

　ARTA GALS 1年目として過ごした昨シーズン。「成長したと思う点は、さまざまな角度から物事を考えられるようになったことです。ARTAには大勢のファンの方々、そして素晴らしいチームの応援団もあります。私もその中の1人であるということ、レースアンバサダーとしての在り方を改めて学ばせていただく中で、チームへの愛がより一層深まりました」。課題も分析。「1年目でしたので先輩方が築き上げてきたARTA GALSとしての立ち振る舞いにこだわり過ぎたせいか、失敗を恐れてついつい慎重になり過ぎた部分があります。2年目の今シーズンではファンの皆さまと一緒に自分自身がもっともっとレースを楽しみながら業務をしたいと考えています」と実感を込める。

　目いっぱいの全力パフォーマンスが魅力。ただ、頑張り過ぎた失敗談があるという。「（昨年11月の）第8戦のもてぎの広場で、大勢のファンの皆さまに笑顔で手を振りながら歩いていた時に、縁石の段差に気が付かずそのまま派手に転んでしまいました。その時は何事もなかったかのようにすぐに立ち上がってクールにしていましたが、両膝からはかなり出血していました。その後はばんそうこうを貼り、コスチュームで隠して業務をしていましたが、けがの痛みよりもみんなの前で転んでしまって恥ずかしいという気持ちがとても強かったです（笑）。私が転んでしまった時のファンの皆様が口を開けて驚いていた顔を今でも覚えています（笑）。とても恥ずかしかった思い出です」。ファンにとっても“忘れられないハプニング”になっただろう。

　まさに快進撃と言える多忙ぶり。YouTubeチャンネル『らぶあんゆ』など、活躍の場をどんどん広げている。「私は10歳から芸能活動をしているので、人前でパフォーマンスすることは得意としています。特にステージ上でのPRについては、かっこいいARTAの魅力を最大限にアピールできる場として自分の得意分野であると考えています。レースアンバサダー5年目の今では、アイドル時代から私を応援してくださっている方、Jリーグファンの方、格闘技ファンの方、大勢の方がサーキットにも遊びに来てくださるようになっていて、アイドル時代からの女性ファンの方も私と一緒にARTAを応援しながら毎戦レースを楽しんでくださっています。子どもの時から一生懸命にやってきた経験がご縁となりカタチになっていることに幸せを感じています。今後も私が1つのきっかけとなり、スポーツの懸け橋的存在となれたらうれしいです」。ファンへのあふれる感謝を胸に、エンジン全開にしていくつもりだ。

　ARTA GALSは「Aggressive & Passion」を掲げ、美しさ・強さを表現する「BEAUTY」、姿勢や所作などを示す「PROFESSIONAL」、そして笑顔やおもてなしの「HOSPITALITY」の3つの構成要素の体現者として活動している。2025年シーズンは、真木しおり、広瀬晏夕、川瀬もえ、一之瀬優香の4人体制で、レース場に笑顔と元気を届ける。

　この4人で一致団結。「全員継続メンバーですので、昨シーズンよりもARTA GALSの結束を強くすること、チームの一員として自分の役割をしっかりと果たすこと、メンバーと共に目標に向かってチームの勝利、成果を表現して全力でサポートできるように日々精進して努めてまいりたいと思います。今シーズンもよろしくお願いします」と力を込めた。