向田邦子賞は28歳・兵藤るり氏が史上最年少で受賞 大学中退の過去「その時は頭がおかしかった」
第43回(2024年度)向田邦子賞の受賞者発表会見が23日、都内で行われ、受賞脚本家の兵藤るり氏が登壇した。

『マイダイアリー』(テレビ朝日/ABCテレビ制作)で受賞
第43回(2024年度)向田邦子賞の受賞者発表会見が23日、都内で行われ、受賞脚本家の兵藤るり氏が登壇した。
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兵藤氏は、お茶の水女子大理学部数学科を4年で中退し、東京藝術大大学院映像研究科映画先行脚本領域に進み、2020年に『就活生日記』(NHK総合)で脚本家デビュー。主なテレビドラマ作品には、『恋に無駄口』(テレビ朝日/ABCテレビ制作、橋本夏氏・大歳倫弘氏と共同脚本)、『わたしの一番最悪なともだち』(NHK総合)などがある。
向田邦子賞は、24年10月20日から12月22日に放送された『マイダイアリー』(テレビ朝日/ABCテレビ制作)で受賞。1996年12月29日生まれ、28歳での受賞は同賞の最年少受賞記録となる。
審査員の一人・岡田惠和氏は、選考理由を「満場一致で決めさせていただきました。非常に書き込まれた日常を丁寧に鋭い角度で描かれていて、審査員一同、向田邦子賞にふさわしいということで今日お越しいただきました」と説明した。
兵藤氏は、受賞を受け「向田邦子賞という賞は、実績のある方がもらうべき、こんな若造がもらうなんてと思う方はたくさんいると思うのですけど、私もそのうちの1人でした。受賞の連絡をいただきまして、今日だけは胸を張ろうと思って今日ここに来ました」と吐露。「どうして、そう思えたかというと、自分のためにもらうのではなく、放送終了後に私のSNSにあたたかいコメントを残してくださった方々、最後まで私の脚本を信じて演じ切ってくださった役者の方々、スタッフの方々、その全員に対して自分の目は間違っていないんだと証明するためにもらうのだと思えたからだと思います」と話した。
脚本家として「昨今、少子化と言われながらも、小中高生の自殺の数が最多でしたり、理不尽な世の中になってきていると思っている。私はその中でそこに抗うような作品を作っていきたいと思っています。今日生きていることが辛いとか、生き切ることさえ辛いと思っているような人が、明日くらいは生きていてもいいかもしれないと思えるような作品をこれからも作り続けたいと思っています」と伝えた。
お茶の水女子大を中退した経緯を聞かれると、「中退して藝大に行ったと言うと、いい話に聞こえるのですが、けっこう落ちこぼれていました。3年生の終わりの時に教授に呼び出されて留年宣告を受けた時に、自分の人生をどうにかしないといけないという焦りが突如生まれました」と回想。「その時は頭がおかしかったので、留年するのだったら辞めて、今一番自分が学んでみたいこと、脚本の方に一旦行ってみてもなんとかなるのではないかと思って、あの時はどうかしていました」と苦笑いを浮かべた。
選考委員は、歴代の向田邦子賞受賞者である大森寿美男氏、岡田氏、大森美香氏、井上由美子氏、坂元裕二氏が務めた。
