Perfume、全23公演ツアーを完走 壮大なアルバムの世界観を表現…“続編”は9月に東京Dで開催【ライブレポート】

3人組テクノポップユニット・Perfumeが20日、11か所23公演の全国ツアー「Perfume 10th Tour ZOZ5 “ネビュラロマンス” Episode 1」のファイナル公演を千葉・La La arenaTOKYO-BAYで開催した。

「Perfume 10th Tour ZOZ5 “ネビュラロマンス” Episode 1」のファイナル公演が開催された【写真:木村泰之】
「Perfume 10th Tour ZOZ5 “ネビュラロマンス” Episode 1」のファイナル公演が開催された【写真:木村泰之】

「Side A」はMCナシでアルバム曲順にパフォーマンス

 3人組テクノポップユニット・Perfumeが20日、11か所23公演の全国ツアー「Perfume 10th Tour ZOZ5 “ネビュラロマンス” Episode 1」のファイナル公演を千葉・La La arenaTOKYO-BAYで開催した。

 大阪万博NTTパビリオンのメインコンテンツ「IOWN x Perfume」で、未来のライブ体験を提供し、話題となっているPerfume。今年はメジャー・デビュー20周年、グループ結成25周年が重なることもあり、約5か月におよぶ全国ツアーを開催してきた。

 アーティストの周年ツアーと言えば、代表作、人気曲でメニュー構成するのが常だが、今回のPerfumeはまるで違った。ツアーに先立ち、昨秋には、SF超大作を思わせるコンセプト・アルバム『ネビュラロマンス -前篇-』をリリース。今ツアーはその新作を携えてのものとなる。すでに『後篇』の発売も発表されているなど、大規模なプロジェクトとなっている。

 待ちきれない手拍子が最高潮に達する頃、ディープブルーに包まれた会場は、一気に近未来の世界へ。正面のLEDには、物語の鍵を握る宇宙の危機的状況が映し出された。緊迫感はどんどん増し、突然隕石が落ちてきたような衝撃音。次の瞬間、ステージ中央には生身の3人が降り立った。カーキに近い制服風のコスチュームと白いショートブーツ。響いたのは眩い光に満ちた『The Light』。1曲目から観客は「Wow oh oh」の歌詞に合わせて手を揺らすなど熱狂の渦に巻き込んで、謎多きSF巨編が幕を開けた。

『Cosmic Treat』で「無重力で~」ポーズをとったPerfume【写真:上山陽介】
『Cosmic Treat』で「無重力で~」ポーズをとったPerfume【写真:上山陽介】

 楽曲を縫い、ナレーションで物語の背景が明らかに。20年戦争で月が「ロボットアーミー」に占拠され、奇跡的に脱出した少女3人が、地球でコールドスリープから目覚めたのだという。語り部は、3人を見守り、育てている「キキモ」。記憶もなく地球で人生を歩むことになったヒロインたちは、なぜかダンスに夢中になり、今や「Mr.MIC SHOW」の看板アーティスト「Perfume」として誰からも愛される存在になっている。

 クールな幾何学模様の映像を背に『ラヴ・クラウド』、「Mr.MIC SHOW」のビビッドなセットに彩られた『Cosmic Treat』、降り注ぐ星雲の中で踊る『Starlight Dreams』とアルバムの曲順通りに楽曲を展開していった。

 さらに、驚くべきはここまでPerfumeのライブの代名詞ともいえるMCがナシということだった。続く楽曲は、華やかなショーの裏側からそれぞれのバスルームが現れた『Morning Cruising』。さらに少女の頃に失っていた記憶が、3人の中で密かによみがえっているかの演出の『タイムカプセル』は昨年8月から10月にかけて東京・虎ノ門ヒルズ TOKYO NODEで行われていた「Perfume Disco-Graphy 25年の軌跡と奇跡」を彷彿とさせる演出となっていた。

 そして会場がブラックアウトすると、雨音と共に天からキラキラと無数の星を散らして降りてきたのは、ほのかな桜色の巨大な花だった。歪んだ時空を漂うようなデチューンされた鐘の音にライトカーテン。『時空花』を歌いながら、花と同色の羽衣をまとった3人が暗闇からゆっくり現れる。嵐の前の静けさを表現し、続くはアルバムのラスト曲『メビウス』だ。観客から手拍子が起こると、「キキモ」のナレーションで、3人が戦士としての宿命を果たすべく立ち上がったことが明かされる。帰還しない3人を心配して「キキモ」が口にした「嫌な予感」。ラストでは、一番の敵であるらしい「カキモト」が登場。さらには「TO BE CONTINUED…」の文字。ファイナルのこの日は、「後篇」が9月22、23日に東京ドームで行われることが告知され、会場は地響きのような歓声に包まれた。

「Side A」はアルバムの曲順通りに披露された【写真:上山陽介】
「Side A」はアルバムの曲順通りに披露された【写真:上山陽介】

 ここまでMCなしの緊張感あふれる演目であった「Side A」に対し、「ARE YOU READY?」で始まった「Side B」では、3人も観客も大盛り上がり。レーザーが四方八方から出るド派手なライティングの『Cling Cling』では、「ジャンプ、ジャンプ」と叫ぶ3人の声につられ会場が揺れた。その後も『NIGHT FLIGHT』、さらには懐かしの楽曲『コンピューターシティ』と続けた。「Side B」は、23公演ですべて異なるセットリストをここまで披露してきた。新旧の楽曲を織り交ぜて、「Perfumeの煩悩の数だけ」毎回その日限りのセットリストを届けてきた。それも「楽しいことが大好き」なPerfumeらしい挑戦だ。

 MCではおしゃべり好きも爆発。あ~ちゃんは「Side A」の内容について、「実写化として観ていただきました。みんなの想像と交わっていたでしょうか?」と問いかけ、「今日を後悔しないように魂一緒に燃やしてくれますか?」と最大級のボルテージで観客をあおる。のっちは「ストーリーを体感するライブ」を心を込めて解説。「壮大すぎて解説が長い」と自分にツッコむ姿も見られた。生まれ月の違う3人がこのツアー中は同い年だったとのことで、かしゆかは「同い年の瞬間を楽しんでます」と笑顔を浮かべた姿も印象的だ。

 おなじみの「P.T.A.」のコーナーでは、他アーティストの楽曲に勝手にダンスを提案して盛り上がるというテーマで、この日はサカナクションの『新宝島』をセレクト。観客たちも3人に合わせて見よう見まねで踊り切った。

 ダンスで盛り上げた後は、ライブ定番曲『FAKE IT』で会場の熱気は最高潮に。『ワンルーム・ディスコ』とキラーチューンを続け、『ナチュラルに恋して』では、ステージ上で見事にミュージックビデオの世界観を再現した。そして、『Miracle Worker』で会場を揺らすと、最後のMCに入った。

9月には『後篇』が東京ドームで開催される【写真:木村泰之】
9月には『後篇』が東京ドームで開催される【写真:木村泰之】

 今回のツアーは、回転式のステージでパフォーマンスを披露してきたが、あ~ちゃんは、「あれ、人の手で回してくれてます。すごくない?」と、裏方のスタッフたちの仕事ぶりを讃え、会場からは大きな拍手が巻き起こった。「わーっ、名残惜しい!」と珍しく叫ぶかしゆか。「みんなの気合いに満たされました」とのっち。そして、25年を振り返ってあ~ちゃんは、「まさかの未来を歩いています。3人が3人のファンでい続けています。これからも変わらないで変わっていきます」と宣言した。

 ラストはまさにその心境を歌った『Flow』。ここでライブも終わりかと思った観客だったが、歌い終わりに3人が縦にフォーメーションを組んだ。会場がどよめく中、関西万博・NTTパビリオンでも話題の新曲『ネビュラロマンス』をツアー初披露。満員の観客が惜しみない拍手を3人とスタッフに送り、約5か月にもおよんだツアーが幕を閉じた。

 次なる舞台は5年前にコロナ禍でライブが当日中止となってしまった因縁の地でもある東京ドーム。『後篇』の展開にも期待が膨らむ千秋楽となった。

○Perfume 10th Tour ZOZ5“ネビュラロマンス” Episode 1
M1.The Light
M2.ラヴ・クラウド
M3.Cosmic Treat
M4.Starlight Dreams
M5.IMA IMA IMA
M6.すみっコディスコ
M7.Morning Cruising
M8.タイムカプセル
M9.時空花
M10.メビウス
M11.Cling Cling
M12.NIGHT FLIGHT
M13.コンピューターシティ
「P.T.A.」のコーナー
M14.FAKE IT
M15.ワンルーム・ディスコ
M16.ナチュラルに恋して
M17.Miracle Worker
M18.Flow
M19.ネビュラロマンス

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