王位戦解説 藤井王位誕生で最年少二冠&八段昇格の偉業 真田八段が見た勝負の分かれ目

第61期王位戦7番勝負第4局2日目が20日、福岡市内で行われ、藤井聡太棋聖(18)が木村一基王位(47)に勝利。見事、4連勝で王位を奪取した。羽生善治九段(49)の最年少二冠、加藤一二三九段(80)の最年少八段昇格を18歳1か月で更新。またも歴史に残る快挙を成し遂げた。この王位戦7番勝負の戦いぶりは真田圭一八段(47)の解説によると、意外や、ストレートといえども藤井二冠も苦しんだ戦いだったという。真田八段に聞いた。

真田圭一八段【写真:本人提供】
真田圭一八段【写真:本人提供】

棋聖戦とは異なる七番勝負、二日制の戦いぶりは…

 第61期王位戦7番勝負第4局2日目が20日、福岡市内で行われ、藤井聡太棋聖(18)が木村一基王位(47)に勝利。見事、4連勝で王位を奪取した。羽生善治九段(49)の最年少二冠、加藤一二三九段(80)の最年少八段昇格を18歳1か月で更新。またも歴史に残る快挙を成し遂げた。この王位戦7番勝負の戦いぶりは真田圭一八段(47)の解説によると、意外や、ストレートといえども藤井二冠も苦しんだ戦いだったという。真田八段に聞いた。

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 藤井二冠、王位獲得で2冠達成、おめでとうございます。いよいよ本格的に超一流棋士への道を歩みはじめましたね。

 今回は棋聖戦と違い七番勝負、そして一局の将棋を2日かけて行う「二日制」と、同じタイトルでもかなり条件が違うので、藤井二冠の戦いぶりが注目されました。結果的に藤井二冠の四連勝で幕を閉じましたが、全体の流れなどを含めて振り返ってみたいと思います。

 まず、第1局は先手番を握った藤井棋聖が終始攻め続ける展開で快勝。読みの正確さが光る内容で、二日制にも違和感はなかったようです。

木村優勢をひっくり返した第二局が勝負の分かれ目に

 第二局。結果的に七番勝負としてはこの一局が大きい勝負となりました。藤井棋聖が意欲的な序盤を見せるものの、迎え撃つ木村王位が会心の指し回しで勝勢に。このまま押し切って1勝1敗となっていれば、シリーズの行方は分からなかったと思います。

 敗色濃厚の場面で、藤井二冠がモードを変えます。将棋というゲームは、プロレベルではリードした側が最善手を積み重ねれば、悪くなった側が自力で逆転することはできません。そこで逆転するためには、相手に悪い手を指してもらう必要があります。そのためにはさまざまなテクニックを使う必要があるのですが、棋士の才能が問われる分野でもあります。

 将棋界一の天才、羽生善治九段は、若い頃多くの逆転勝ちをして、その才能量を示していました。このことは実は、若手時代の羽生九段は序盤があまり上手ではなく、多くの不利な展開の将棋があったということです。

 その点、藤井二冠はプロになった時に既に、羽生九段並みの終盤と、序盤中盤もハイレベルで完成されていたことが高評価につながっていました。それはいきなりの29連勝が証明しています。羽生九段の若手時代との違いは、そもそも滅多に不利にならないので逆転のテクニックを発揮する機会が少なかったことです。その場面がタイトルの大舞台でやってきました。

次のページへ (2/2) 勝ちの展開を作られたことには藤井も危機感をもった
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