「これは面白い売り方」 斬新な価格制度の無人販売所にSNS反響「センスいい値段設定」

とれたての農作物などを手軽に購入できる無人販売所。生産者から直接購入することで、小売店よりも割安に手に入れられるとあって、近年、野菜の高騰を背景に人気が高まっている。一方で、無人であることから商品の持ち去りなど防犯面での課題も……。そんな中、斬新な価格設定を導入した無人販売所がSNSで話題となっている。無人販売所を運営する投稿者に詳しい話を聞いた。

斬新な価格制度を導入した無人販売所が話題(写真はイメージ)【写真:写真AC】
斬新な価格制度を導入した無人販売所が話題(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「遊び半分で書いてみました」と導入のきっかけを明かす

 とれたての農作物などを手軽に購入できる無人販売所。生産者から直接購入することで、小売店よりも割安に手に入れられるとあって、近年、野菜の高騰を背景に人気が高まっている。一方で、無人であることから商品の持ち去りなど防犯面での課題も……。そんな中、斬新な価格設定を導入した無人販売所がSNSで話題となっている。無人販売所を運営する投稿者に詳しい話を聞いた。

 話題となったのは、旅人さん(@tanemaki_ojisan)の投稿。公開された写真には、たくさんのブロッコリーが積まれた無人販売所の様子が写っている。壁に掲げられたホワイトボードには、値段に関するとあるメッセージが記されている。

「貧乏な方 1かご 100円 お金持ちの方 1かご 200円 不労所得で暮らしてる方 1かご 300円 温泉・油田をお持ちの方 1かご 500円」「安く提供できる様 いい物を作りすぎないよう 努力しています」

 ホワイトボードの価格表示について、「累進価格制度導入」と説明された投稿では、「意外に200円いれる人いるのにビックリ! プライドとの戦いなんかな?」と、“お金持ち価格”で購入する人が予想よりも多いことがつづられている。

 買う人の心理をうまく利用したこの制度には「これは面白い売り方ですね!」「近くにあったら通いたい…」「1カゴ200円でも安いよ笑笑」「なかなかセンスいい値段設定だね」「温泉も油田も持ってないけど500円入れます!」「作った人への敬意っていうのも有ると思いますよ」など、称賛の声が相次いでいる。

 現在43歳で、建築関係の下請けをしているという旅人さん。明日の仕事があるか分からない世界のため、毎日自分で種をまき、明日の仕事を作れる農家の仕事に興味を持ち、家庭菜園を始めたという。野菜の出荷はせず、無人販売とフリマサイトで野菜や苗を販売、年々規模を大きくしている。

 栽培している青果は季節ごとに異なり、「春はスナップえんどう、玉ねぎ、ブロッコリーなど、夏はとうもろこし、ミニトマト、ナス、ピーマンなど、秋は落花生、さつまいも、かぼちゃ、青パパイヤ、冬はキャベツ、白菜、大根、ネギなどを育てています」。その他、みかん、レモン、柿、ぶどう、すもも、いちじく、ブルーベリーなどの果物も販売しているそうだ。

 画期的な累進価格制度については、「現在は1かご100円で販売していて、本当は150円に値上げしたいのですが、無人販売だとおつりが出せない。おつりが返せないと買う人が困るので、(金銭的に)余裕のある人が少しでも多く入れてくれたらラッキーと思い、遊び半分で書いてみました」と導入のきっかけを明かす。

 実際にこの制度を導入してから売上は2割ほど増加したそうで、「買っていくお客さんは、鮮度もいいしおいしいと言ってくれています。(客が)見たことのない野菜は、おいしくなかったと言われることもありますが、それでも皆笑顔で、食べたことがない野菜が食べられて満足と声をかけてくれます」とやりがいを語る。

 無人販売を始めて3年。客足が途絶えたことはないといい、「毎日お客さんが来るので、野菜を出し続けないといけない。大雨でも雪でも、置いてみたら売れなかったことはないので、毎日野菜を並べ続けています。種類は最低でも3種類、多いと10種類くらいは並べていますので、作付時期をずらしながら収穫時期を予想して、いつでも売れるものを持っていないといけないのですごく頭を使います」と大変さも吐露する。

「置けば置くほどお客さんが増えるので、うれしいですが生産が追いつかないのが現状です。買いに来る方も、安いから来る方と新鮮だから来る方、まんべんなく買ってくれる方、好きな野菜だけ大量に買われる方などさまざまいますので、何回かに分けて並べたり、先に来た方だけが得にならないように並べたりしています」と他にもさまざまな工夫があることを明かした。

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