パチスロを複雑化させる「有利区間」とは スマスロ登場で数年前を彷彿とさせる一撃性が実現

パチンコ・パチスロの歴史をたどると、規制と緩和が繰り返されていることが分かる。ことパチスロに限定してみると、4号機から5号機、5号機から6号機といった「号機」が移行するタイミングで、厳しい規制を強いられたことでゲーム性が大きく制限されてきた。そんな中であっても各メーカーが知恵を振り絞ることで、幅広いゲーム性を実現させている。昨今では、スマスロの登場で4号機時代を彷彿とさせるかのような一撃性の高い機種がユーザーからの支持を集めているが、その一方で「有利区間」の存在がそのゲーム性を複雑化させている。今回は、長年にわたり専門誌のライターとして活動を続ける濱マモルが「有利区間」のからくりを解説する。

パチスロにおける「有利区間」の存在とは?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
パチスロにおける「有利区間」の存在とは?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

現行のルールでは「有利区間」の存在によって多種多様なゲーム性が実現

 パチンコ・パチスロの歴史をたどると、規制と緩和が繰り返されていることが分かる。ことパチスロに限定してみると、4号機から5号機、5号機から6号機といった「号機」が移行するタイミングで、厳しい規制を強いられたことでゲーム性が大きく制限されてきた。そんな中であっても各メーカーが知恵を振り絞ることで、幅広いゲーム性を実現させている。昨今では、スマスロの登場で4号機時代を彷彿とさせるかのような一撃性の高い機種がユーザーからの支持を集めているが、その一方で「有利区間」の存在がそのゲーム性を複雑化させている。今回は、長年にわたり専門誌のライターとして活動を続ける濱マモルが「有利区間」のからくりを解説する。(文=濱マモル)

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 このところ、SNSで有利区間の是非に関する議論を見かける。

 有名YouTuberさんの動画に端を発したと思われるこの議論では、有利区間について否定的な意見を述べている人が多い印象。一撃の出玉に上限はあるし、昨今は、有利区間が切れた後のいわゆる“ツラヌキ”を機に上位トリガーへ突入するゲーム性が主流であることから、よりメリハリのある勝負を強いられるケースも増えたが、だからといって「有利区間をなくせ」というのは、あまりも乱暴ではないだろうか。

 そもそも、有利区間とはなんなのか。パチンコ・パチスロ専門サイトではないので、ざっくりと説明すると、有利区間とはパチスロ「5.9号機」から採用された出玉と抽選の制限区間だ。この間は出玉誘発機能であるAT・ART抽選を、文字通り“有利”に受けることができる。

 逆に、非有利区間中はAT・ART抽選を受けられないが、基本的に設定変更後、有利区間到達後は数ゲームで有利区間へ移行する。現行のAT・ART機は、1日の大半が有利区間に滞在していると捉えて差し支えはない。

 当初、1つの有利区間の最大上限ゲーム数は1500Gだった。かなりゲーム性の幅は狭かったが、これが6.2号機では3000G、6.5号機では4000G、6.6号機では6000Gに変化。コインレスのスマスロは無制限となった。

 また、6号機からは1つの有利区間の枚数上限を最大2400枚に設定。6.5号機及びスマスロは差枚2400枚に緩和された。つまり、仮に1つの有利区間内で2000枚飲まれたとすると、最大4400枚の放出までは継続できるわけだ。

 難しい話はこれくらいにして、ここで重要なのは有利区間がなければ、現行のルールではAT・ART機を作れないということだ。ボーナスタイプがメインだった3号機時代からパチスロをたしなみ、現在もハナハナシリーズやニューパルサーシリーズを好んで打つ身としては、それでも別に構わないのだが、AT・ART機が市場から消えてしまっては、多くのユーザーが落胆するのではないだろうか。

 6号機は、5号機と比べて射幸性を抑えるべく、ボーナスの払い出し枚数や出玉率の上限が低下し、出玉試験に中短期1600Gの項目が追加された。これは遊技機の規則で定められたことで、「号機」が移行するタイミングでなければ改定はできない。

 一方、有利区間はメーカー団体・日本電動式遊技機工業協同組合、通称「日電協」の自主規制。5号機中期、ハイスペックAT機の乱立を国家公安委員会に指摘されたことによる射幸性抑止のアピールなわけで、自主規制が故に撤廃は不可能ではないだろうが、これを破ると、7号機は現行以上に厳しい規則が加えられる確率が飛躍的に高まる……かもしれない。

 時代は繰り返す。そんなことをよく言うが、同じ轍は踏んでほしくないと、いちパチスロファンとしては願うばかりである。

□濱マモル(はま・まもる)フリーライター。1976年2月4日、神奈川県横浜市出身。大学卒業後、レコード会社勤務を経て、2002年に攻略誌「パチスロ必勝ガイド」でライターとしてのキャリアをスタート。パチンコ・パチスロやギャンブル系を中心に、音楽・野球・街情報など、幅広い分野で執筆する。趣味は飲酒、特技は料理。バンドマンとしての顔も持つ。

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