ジュンスカ、リーダーの還暦祝福 ライブハウスは超満員…結成45周年に「想像もできなかった」

バンド結成45周年ツアーを開催中のJUN SKY WALKER(S)(通称・ジュンスカ)が9日、東京・LIQUIDROOM(恵比寿)で「森純太 還暦記念ライブ」を開催。会場は超満員となり、ツアーとは異なるこの日だけのスペシャルプログラムでリーダーの誕生日を盛大に祝った。

結成45周年ツアーを開催中のJUN SKY WALKER(S)【写真:根本風太】
結成45周年ツアーを開催中のJUN SKY WALKER(S)【写真:根本風太】

JUN SKY WALKER(S)『森純太 還暦記念ライブ』レポート

 バンド結成45周年ツアーを開催中のJUN SKY WALKER(S)(通称・ジュンスカ)が9日、東京・LIQUIDROOM(恵比寿)で「森純太 還暦記念ライブ」を開催。会場は超満員となり、ツアーとは異なるこの日だけのスペシャルプログラムでリーダーの誕生日を盛大に祝った。

 トップバッターは、森がボーカルを務める3ピースバンド・BARBIE ATTACK DOLL(S)が務めた。意外にもジュンスカとは初の対バンだという。ドラムは結成からのメンバー・水尻善幸、そしてベースはジュンスカ初代ベーシストの伊藤毅が担当。メンバーがステージに登場するとBGMがかき消される程の歓声が起こり、1曲目の『未来に向かって』で幕を開け、ヘヴィーでポップなサウンドを次々と披露した。

 演奏を終えると「純太~!」「おめでとう!」とファンの声が会場に響き、森は「今日はこんなにたくさん駆けつけてくれてありがとうございます。すげーうれしいよ」と笑顔で返した。

 森は「俺が中学2年の時に、新入生で伊藤と宮田(和弥)と小林(雅之)が入ってきて、意気投合してブラック・サバスとかUFOといった洋楽をコピーしていたんだけど、ここ何年か(伊藤に)BARBIE ATTACK DOLL(S)もやってもらっています」と伊藤を紹介した。

 ここでBARBIE ATTACK DOLL(S)のゲストボーカルとして宮田をステージに呼び込むと「森純太、おめでとう!」の第一声で登場。「まさか還暦になるまで伊藤ちゃんとステージに立てるなんて中1の寮生活では思わなかったよねー」と宮田もしみじみ。

 そんな宮田がゲストとして歌った曲は、森が作曲し、シンガーの大槻真希(現・大槻マキ)に提供した曲『memories』(フジテレビ系アニメ『ONE PIECE』のエンディングテーマ)だった。この曲について宮田は「僕の息子が小さかった頃、夕飯時に一緒に『ONE PIECE』を見ていて、最後にこの曲が流れて『いい曲だなあ』って思ったよ。そしたらクレジットの最後に『作曲・森純太』って出てきてね。あの頃(バンドが)解散して純太と仲が悪かった時だから、それを見た瞬間にテレビを消した(笑)。それは冗談だけど、真希ちゃんの歌詞も素晴らしくて大好きな曲です」とエピソードを披露すると会場からドッと笑いが起きた。

 森も「最近、若い世代のライブを見に行くとよく『ONE PIECEの曲を書いたんですよね?』って聞かれてさ。『こんなに影響力があるんだ』って思ったよ」と明かした。約45分間のライブを終えると森は「6月にBARBIE ATTACK DOLL(S)でツアーやるんでよろしく!」とメッセージを残して一旦ステージを降りた。

 インターバルの後、いよいよJUN SKY WALKER(S)のステージがスタートした。ボーカルの宮田、ギターの森、ドラムの小林、そしてサポートメンバーでベースの市川勝也の4人がステージに上がると、割れんばかりの拍手が起きた。

 1曲目は『キライな奴ら』で始まり、序盤からアップテンポなナンバーで畳みかける。小林と市川のリズム隊による力強いビート、森の重厚で美しい音色のギター、そしていつまでも変わらない宮田の唯一無二のパワフルな歌声――。結成から45年という時間を全く感じさせないステージに観客も拳を高く上げながら、あの頃にタイムスリップしていく。

 中盤に入ると市川に代わり、伊藤がベースを持ち、結成メンバーの4人でステージに立った。

 宮田は「僕と伊藤と小林が自由学園という学校で知り合い、寮生活をしていた中学3年の時に、高校1年だった森純太とバンドを結成して(バンドは)今年で45年を迎えます。今日は伊藤がベースだった時の曲をやります」と思い出話を添えて3曲を披露した。

 最初に『ガールフレンド』を演奏した。レコード会社を移籍して再び伊藤がベースを担当した1994年のナンバーだ。次に披露したのは『Nigel』(ナイジェル)。伊藤が高校生だった時に作詞作曲し、83年に渋谷のライブハウス・La.mama(ラママ)で初めてバンドレコーディングした思い出の曲だ。未成年だった伊藤が書いたとは思えない大人っぽい歌詞に宮田は「30年早かったよ」と言って観客を笑わせた。そして伊藤との3曲目『Rock & Roll City』は、ジュンスカがビートパンク系と呼ばれる前に演奏していたハードロックチューンだ。「もしこの曲が(1stアルバム)『全部このままで』に入っていたら僕たちは売れてなかったと思う」と宮田が明かした。

 伊藤のコーナーが終了すると、市川が再びステージに登場。すると宮田が「市川くんが僕たちをつないでくれて、支えてくれているから今のジュンスカがここまで輝くことができている」と大切なメンバーを丁寧に紹介し、仲間やスタッフ、ファンに支えられて今のバンドがあることをあらためてみんなに伝えた。

 そのまま後半になだれ込み、観客のボルテージも最高潮に達したところで本編最後の『全部このままで』へ。観客の大合唱がリキッドルームに響きわたる中、ステージ前方では宮田と森が肩を並べて歌う。すると森が記念すべき一夜を盛り上げてくれた宮田に感謝を込めてほほにキスをした。思わぬサプライスにこの日一番の歓声が上がった。

 アンコールの拍手の中、宮田、小林、市川が登場すると小林は「森くん誕生日おめでとう!」と叫び、森に続いて5月13日に下北沢シャングリラで「小林雅之 還暦記念ライブ」を開催することをファンに報告。「みなさん、ぜひ来てください!」と呼びかけた。そしてみんなで森を呼び込むと豪華なバースデーケーキが用意され、会場全員でハッピーバースデーを大合唱。森の還暦を祝った。

 宮田は「中学生からこうやってバンドで立っていることに感謝です。そんな中、純太とぶつかったことや人間関係でいろいろあったりもしました。きっとみんなも今までいろいろと経験してきたと思う。だけど、コツコツやりながらずっと続けていけば、こうやってみんなで集まれるんだなって思った。そんな思いを噛みしめながら45周年の全国ツアーを回っています。これからもよろしくお願いします」と感謝を伝え、最後に『MY GENERATION』を歌い、幕を閉じた。

(左から)宮田和弥(ボーカル)、小林雅之(ドラム)、森純太(ギター)【写真:根本風太】
(左から)宮田和弥(ボーカル)、小林雅之(ドラム)、森純太(ギター)【写真:根本風太】

宮田和弥と森純太が終演後にメッセージ

 終演後に森と宮田がENCOUNTにこの日の感想を語ってくれた。

森純太「今日は感謝しかないです。俺たちが作ったバンドでずっとやり続けて、一度は解散したけど、それでも60歳になってまた同じバンドでステージに立てたんです。しかもお祝いまでしてくれるお客様がたくさんいてね。そんな状況でステージに立てていることが信じられないですし、想像もできなかったです。結成45周年ツアーはまだまだ続くけれど、今日は特別でしたね。楽しかったです。ありがとうございました!」

宮田和弥「僕らの時代って『ロックは不良だ』と呼ばれていた時代でね。45年前はロックバンドを組むのも難しかったんだ。でも学校の音楽室で音を鳴らしていたやつらとこの歳になっても一緒にステージに立てるっていうのは奇跡だし、とても幸せなことです。それもこれもお客さんがずっとジュンスカを愛していてくれたおかげです。

 また、同級生の伊藤毅が来てくれたってことも大きかったですし、市川くんもいい空気を作ってくれた。そう思うとJUN SKY WALKER(S)は人に恵まれていますよね。心からそう思いました。45周年ツアーは始まったばかりなんで、これからも健康第一で(笑)。先輩にはザ・ローリング・ストーンズやレッド・ホット・チリペッパーズがいますし。70歳、80歳とまだまだロックンロールを続けていきたいと思います」

 JUN SKY WALKER(S)は、バンド結成45周年の全国ツアーを開催中だ。またバンド結成45周年を記念して5月24日(土)に彼らの母校である自由学園(東京都東久留米市)で初の凱旋ライブを開催することを発表した。チケットの詳細は公式サイトでチェックできる。

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