LA移住の日本人女性アナも正装で取材、「中止すべき」の声もあったアカデミー賞授賞式の現場レポ

昨夏から、31歳のフリーアナウンサーが米ロサンゼルス(LA)で暮らしている。富山、埼玉のテレビ局でキャリアを積んだ菅久瑛麻(すがひさ・えま)。彼女は現地の大学院に留学した夫をサポートし、自身も語学学校に通っている。1度、仕事に区切りをつけての移住ゆえにともに無収入。果たして、日本では考えられない程の物価高にある米国でやっていけるか……。そんな不安もある中で感じた驚き、戸惑い、感動をつづる不定期コラム「フリーアナ・菅久瑛麻、物価高にあ然…初めての米国生活」の第11回テーマは「アカデミー賞授賞式」。

アカデミー賞授賞式を取材した菅久瑛麻アナウンサー【写真:矢口亨】
アカデミー賞授賞式を取材した菅久瑛麻アナウンサー【写真:矢口亨】

フリーアナ・菅久瑛麻のコラム連載

 昨夏から、31歳のフリーアナウンサーが米ロサンゼルス(LA)で暮らしている。富山、埼玉のテレビ局でキャリアを積んだ菅久瑛麻(すがひさ・えま)。彼女は現地の大学院に留学した夫をサポートし、自身も語学学校に通っている。1度、仕事に区切りをつけての移住ゆえにともに無収入。果たして、日本では考えられない程の物価高にある米国でやっていけるか……。そんな不安もある中で感じた驚き、戸惑い、感動をつづる不定期コラム「フリーアナ・菅久瑛麻、物価高にあ然…初めての米国生活」の第11回テーマは「アカデミー賞授賞式」。

 皆さん、こんにちは。今回は今月2日(現地時間)、ロサンゼルスのハリウッドで行われたアカデミー賞授賞式についてお伝えします。

 まず、今年の授賞式はこれまでとは違った側面があるイベントとなりました。1月に発生した大規模な山火事がその要因でし。特に被害が大きかったパシフィックパリセーズやアルタデナでは、5割以上の建物が焼けました。また、多くのセレブが家を失いました。司会を務めたコナン・オブライエンのパシフィックパリセーズにある自宅は無事だったようですが、いまだに自宅には戻れていないそうです。

 そんな中、「授賞式を中止にすべき」との声も上がりましたが、主催団体は「経済効果」と「復興の象徴」を理由に開催を決めました。アカデミー賞がロサンゼルスにもたらす経済効果は、1億7500万ドル(約259億円)とされています。アカデミー賞授賞式は、会場周辺の交通機関やレストラン、ホテルの利用も促すからです。実際、火災発生時には閑散としていたハリウッド周辺に、授賞式に合わせて多くの観光客が訪れ、写真撮影などを楽しむ姿が見られました。そして、式は「復興」へのメッセージが込められたものとなりました。

反対の声もある中、開催されたアカデミー賞授賞式の会場
反対の声もある中、開催されたアカデミー賞授賞式の会場

消防士も招待され、観客から拍手

 私は当日、レッドカーペットの様子を取材するチャンスに恵まれ、2日にドルビーシアターを訪れました。式の開始は午後4時ですが、同0時30分ごろからハリウッドスターや関係者たちが会場に到着し、メディアに対応していました。この日は俳優陣だけでなく、スタッフや取材陣もドレスやタキシードで着て来るというルールがあり、とても華やかな雰囲気でした。アリアナ・グランデやデミ・ムーアらが通ると、大きな歓声が上がっていました。また、山火事で消火活動に尽力した消防士の方々も招待され、観客から拍手を受けるシーンもありました。

 日本からは東映アニメーション制作の『あめだま』が短編アニメーション部門、伊藤詩織監督の『Black Box Diaries』が長編ドキュメンタリー部門、山崎エマ監督の『Instruments of a Beating Heart』が短編ドキュメンタリー賞にノミネートされていました。授賞式前の皆さんの表情は晴れやかで、『あめだま』の西尾大介監督、鷲尾天プロデューサーが作品に出てくるキャラクター「ドンドン」と「グズリ」のフィギュアを手に、「レッドカーペットを歩いているなんて、何だかフワフワした気持ち」と話していた姿も印象的でした。

 この3作品はいずれも受賞を逃しましたが、日本人監督が長編ドキュメンタリー部門にノミネートされたのは史上初。短編ドキュメンタリー部門に日本人監督による日本題材の作品がノミネートされたのも初で、日本映画の今後に期待が高まる結果でした。

 授賞式が終わり、作品賞の『アノーラ』や、主演男優賞に輝いたエイドリアン・ブロディが出演している『ブルータリスト』などは日本でも公開中です。ミュージカルで既に大人気の『ウィキッド』も、日本で上映が始まりました。私もあの華やかな式を思い出しつつ、オスカーに輝いた作品をあらためて鑑賞したいと思います。

□菅久瑛麻(すがひさ・えま) 1993年10月7日、ドイツ生まれ。白百合女子大文学部英語英文学科卒。2016年4月、富山県のチューリップテレビにアナウンサーとして入社。情報番組、報道番組のMCなどを担当し、20年3月末に退職。フリーアナウンサーに転身し、同年4月から23年3月まで、テレビ埼玉で情報番組のMCなどを担当。資格は温泉ソムリエ、食生活アドバイザー、防災士、証券外務員二種、MBAなど。162センチ。

次のページへ (2/2) 【写真】ドレスアップして会場入りした菅久瑛麻アナ
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