37歳・辻希美の妊娠、第4子以降の不妊治療はレアケース 産婦人科専門医が明かす“年齢の影響”や実情
37歳で第5子を妊娠した元モーニング娘。でタレントの辻希美が、3~4年にわたる不妊治療を受けていたと明かし、大きな話題になっている。実は過去に出産経験があっても、なかなか次の子宝に恵まれず、治療を始める女性は少なくない。不妊治療の現状について、杉山産婦人科グループの杉山力一理事長に聞いた。

妊娠のしやすさには年齢も大きく影響する
37歳で第5子を妊娠した元モーニング娘。でタレントの辻希美が、3~4年にわたる不妊治療を受けていたと明かし、大きな話題になっている。実は過去に出産経験があっても、なかなか次の子宝に恵まれず、治療を始める女性は少なくない。不妊治療の現状について、杉山産婦人科グループの杉山力一理事長に聞いた。
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辻は2007年6月にタレントの杉浦太陽と結婚。同年11月に第1子となる長女・希空(のあ)、10年12月に第2子長男・青空(せいあ)、13年3月に第3子次男・昊空(そら)、18年12月に第4子三男・幸空(こあ)を出産した。
現在17歳の希空は、昨年11月に芸能事務所への所属を発表し、芸能活動をスタート。婦人科に通院していた辻は、努力しても妊娠に至らないこともあって、「希空がデビューすることになって忙しくなるから、5人目は諦めるべきなのかな……」と迷いながらも、飲み薬の服用は続けていた。多忙のあまり病院に通えない時期もあったが、そんな中で妊娠検査薬を試したところ、陽性反応が確認された。
ネット上では祝福とともに、不妊治療を受けていたことへの驚きの声が続出。「4人も子供がいて不妊治療なんて聞いたことなかったから、びっくりした」「辻ちゃん不妊治療頑張ったのすごいな」「3年も不妊治療しながら周りから5人目は? って聞かれるのめっちゃしんどかったやろーな」「やはり年齢が上がるのと妊娠のしやすさは反比例して行くんだな」「私も辻ちゃんの報告見て、もう1人欲しい欲強まった」など反応が寄せられている。すでに4人の子どもを持つため、なかなか恵まれずに受ける印象が強い不妊治療とのギャップが大きかったようだ。
ただ、杉山理事長は、過去に自然妊娠の経験があっても、第2子以降で不妊治療を受ける人は少なくないと話す。
「第2子、第3子が不妊になる方は、たくさんいらっしゃいます。ご年齢であったり、仕事や育児で性交渉が難しくなったりするケースです」
特に育児の大変さは産んでみないと分からないもの。授乳や日々の世話に忙殺されるあまり、睡眠時間を削られ、いつの間にか妊活そのものから遠ざかってしまうのはよく聞く話だ。
「第4子以降で不妊治療をご希望なさるケースはあまりいらっしゃいません」と辻が“レアケース”であることは付け加えたが、育児をしながら治療を受けることは今や当たり前になっているという。
また、妊娠のしやすさには年齢も大きく影響すると杉山理事長は解説する。
「第○子とかかわらない前提でしたら、当院にいらっしゃいます患者様の70%は35歳以上になります」
一般的に35歳以上は高齢出産と言われ、妊娠の確率が下がることが知られている。辻自身も「35歳までに授かりたい」との思いを抱き、年齢との闘いを意識していたことを明かしている。出産経験があれば妊娠しやすいかどうかについては、「年齢のこともあるので、一概に数値は難しい」と前置きしつつ、「出産後1年程度なら、第1子と比較し、さほど(確率は)低くはならないかと思います」との見解を示した。
厚生労働省の「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック」によると、不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の割合は「約4.4組に1組」。22年から不妊治療は保険適用になり、かつてに比べて治療は受けやすくなっているものの、自治体による助成制度には回数制限(治療開始時の妻の年齢が40歳未満の場合、通算助成回数は6回まで)があるため、経済的な理由や夫婦の価値観により治療を続けるかどうかの判断はさまざまだ。
妊娠・出産という明確な目標に向けて取り組んでも、必ずしも妊娠に至るとは限らない。不妊治療において、早期に結果が出る場合と、長期間の治療を続けても妊娠に至らない場合があるが、その違いにはどのような要因が関係しているのだろうか。
杉山理事長は、治療の種類によっても異なるとし、「体外受精でしたら、受精卵のクオリティーが問題であることが多くを占めます」と話した。
不妊治療は、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精の4種類がある。成功率の違いについては、「一般的に1回あたりの妊娠率は、タイミング5~8%程度、人工授精7~12%程度、体外、顕微授精40~50%程度」と説明。年齢や体の状態によっても変わるという。
一方で、辻は飲み薬の服用や注射を打ち、「薬の副作用もあって結構しんどい時期もあった」と吐露した。副作用は避けられないものなのだろうか。
杉山理事長は「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)かと推測します」と話しつつ、「もしそうであれば、体外受精などで、排卵誘発剤を使用し、卵子がたくさん育った際の症状です。腹痛、吐き気、下腹部膨満感などです」と続けた。
不妊治療を受ける女性は近年増加。日本産科婦人科学会によると、22年は54万3630件の治療が行われている。不妊は女性だけでなく、男性側に問題がある場合もあり、一定期間で授からない場合は、一度検査を受けるのも一つの方法だ。
杉山理事長は、妊娠を望む患者が気をつけるべき生活習慣として「適度な睡眠、運動」「規則正しい生活リズム」「節酒、禁煙」とアドバイスした。
