乃木坂46を卒業し4年…堀未央奈、キラリと光る俳優業「正解のないお仕事をつき詰める作業はすごく楽しい」
俳優でモデルの堀未央奈が、2月21日公開の映画『死に損なった男』(田中征爾監督)に出演する。芸人事務所で働く一般社員の役柄ながら、その言動一つひとつが気になる存在として作品を彩っている。乃木坂46を卒業して4年。近年、顕著な活躍を見せる俳優業への思いなどについて話を聞いた。
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映画『死に損なった男』で芸能事務所の社員役を熱演
俳優でモデルの堀未央奈が、2月21日公開の映画『死に損なった男』(田中征爾監督)に出演する。芸人事務所で働く一般社員の役柄ながら、その言動一つひとつが気になる存在として作品を彩っている。乃木坂46を卒業して4年。近年、顕著な活躍を見せる俳優業への思いなどについて話を聞いた。(取材・文=大宮高史)
『死に損なった男』は、お笑いコンビ・空気階段の水川かたまりが映画初主演するオリジナルコメディー。水川演じる主人公、構成作家の関谷一平は、憧れだったお笑いの仕事に就けたものの、ネタの質や事務所の人間関係に疲弊し、駅のホームで自殺を考えるが、人身事故の発生で思いとどまり帰宅する。するとその事故で死んだ中年男の森口友宏(正名僕蔵)の幽霊に取りつかれ、「娘に付きまとっている男を殺してくれないか?」という奇妙な依頼を受け……という物語。堀の役どころは、関谷が所属する芸人事務所の同僚社員の竹下希。疲れた顔をして事務所にやってくる関谷に、なじるように話しかけるところが初登場シーンになる。
「いきなりな感じで、ちょっときつく見える場面かもしれません。希は真面目だけど、担当している芸人さんら周囲にもまれて働いているので、生き急いでいる性格だと思いました。せっかちな性格として田中監督にアイデアを出したりしてキャラクターを作っていきました。テンポ感の早いシーンでもあるので、余計に早口でせっかちに見えたかなって」
そんな希の周りには、個性的な人物が顔を揃える。関谷をはじめ、幽霊の森口の娘・森口綾(唐田えりか)、彼女に付きまとう元夫の若松克敏(喜矢武豊)、関谷の事務所の売れっ子作家の沢本(森岡龍)らが登場し、人間模様を繰り広げる。その中で、希は芸人との契約を切られたり、災難に見舞われる関谷を次第に気遣っていく。
「この作品はとにかく癖の強い人が多いです(笑)。私は物事をはっきりと言う希に一番共感できて、悩まずに役に入れました。話が進むとちょっとずつ希の人柄も見えてきます。本当は穏やかで優しいところも持っているので、仕事で疲れていた彼女の顔が優しくなっていくよう、そんな変化を意識しました」。ちなみに自身も希のように「ハキハキ言いたいことは言ってしまいますし、仕事に手は抜きたくないですね」と明かし、希の性格と重なる部分があるという。
主演の水川とは今回が俳優として初共演となり、共演シーンでは刺激を受け勉強にもなった。
「かたまりさんは、お芝居にすごく温かみがありました。バラエティーでご一緒した時の空気感を残しつつ、主演という近寄りがたい雰囲気もなくて。役の関谷さんが、かたまりさんそのものだったと納得してしまうくらい、自然に役になりきっていました。その雰囲気に乗って私も演じられたので、かたまりさんの『そこにいるだけで作品のアクセントになる力』を学ばせてもらいました」

王道作品は苦手「意外性のあるエンタメが好き」
また一つ経験を重ね、ステップアップする堀。乃木坂46時代には『ホットギミック ガールミーツボーイ』(2019年)で映画初主演を飾り、突然やってきた恋に揺れ動く高校生を等身大で演じた。その後も映像作品への出演を続け、今年1月に公開された映画『遺書、公開。』では、序列が作られたクラスで1位になるが突然自殺してしまう姫山椿役を好演した。スター性のあるキャラクターから、今作の希のような一見平凡に見えてキラリと光る役まで幅広く演じ、画面をつい見入ってしまう。「俳優・堀」の存在がまぶしい。
「自分の人生ではない(役として)誰かの時間を過ごしているのが今でも不思議ですが、役者という正解のないお仕事をつき詰める作業はすごく楽しいです。本当は人見知りしでもあるんですが、現場ではとにかくコミュニケーションを取って意見を聞きます。スタッフさんにメイクさんにスタイリストさん…演者側とは違った角度で作品を理解していて、私のことも客観的に分析してくださっているので、新しい発見があります」
そして、「意外性のあるエンタメが好きです」と話す堀。「ホラーもコメディーもアクションも、ジャンルを問わず見ているんですが、結末が想像できてしまうよりも『何が起こるんだろう?』と見ていられる作品の方がワクワクできて好きです」と打ち明けた。
バラエティーでは快活な雰囲気で盛り上げ、YouTubeではメイクやファッションの情報を次々と発信。フランクで精力的な活動ぶりも、ファンの憧れになっている。
そんな堀に、俳優としての今後を聞くと、「まだ、自分の俳優像を定義したくない気分です。役者としての得手不得手は自分で決めてしまうより、人から評価されて変わっていくものだと思います。出会う作品ごとに変わっていきたいですね」と話す。
予定調和の人生に興味はない。飾らずに自分の意志を大切に生きるスタイルを貫くー。
強い目力と凛とした姿勢が、それを現していた。
■堀未央奈(ほり・みおな)1996年10月15日、岐阜県生まれ。2013年に乃木坂46の2期生オーディションに合格。7thシングル『バレッタ』(15年)で初センターを務める。グループ在籍中から映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』(19年)、ドラマ『ザンビ』(19年、日本テレビ系)などに出演し、2021年に卒業。卒業後はドラマ『理想ノカレシ』(22年、TBS系)、『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』(22年、日本テレビ系)、今年1月公開の映画『遺書、公開。』などに出演。3月からは主演ドラマ『女優めし』がFODなどで配信予定。
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