片岡仁左衛門、2013年以来の『仮名手本忠臣蔵』通し上演に思い「これが最後になるかも」
歌舞伎俳優の片岡仁左衛門が19日、東京・港区の泉岳寺で行われた3月歌舞伎座 松竹創業百三十周年「三月大歌舞伎『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』」のお参りに出席。さらに4月歌舞伎座「四月大歌舞伎『彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)毛谷村六助』の取材会も行った。
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4月は『毛谷村六助』で松本幸四郎とダブルキャスト
歌舞伎俳優の片岡仁左衛門が19日、東京・港区の泉岳寺で行われた3月歌舞伎座 松竹創業百三十周年「三月大歌舞伎『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』」のお参りに出席。さらに4月歌舞伎座「四月大歌舞伎『彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)毛谷村六助』の取材会も行った。
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『仮名手本忠臣蔵』は、亡き君主の仇討を見事果たして江戸を賑わせた衝撃的な事件「赤穂浪士の討ち入り」を題材とした、全十一段の大作。江戸幕府が、武家社会の事件をそのまま劇化することを禁じていたことから、時代設定や場所を変え、登場人物も実名から少し変えている。仁左衛門は『忠臣蔵』の大石内蔵助にあたる大星由良之助を演じる。今回はAプログラム・Bプログラムの2通りの配役で上演。昼の部・Bプロの大星由良之助を尾上松緑が勤め、けがで休養していた片岡愛之助が夜の部Aプロの大星由良之助を担当する。
今回のように同作が通しで上演されるのは、2013年11月・12月の新開場柿葺落公演以来。物語の発端から大詰めまでを上演する「通し上演」でなければ、塩冶判官の切腹シーンがある『四段目』や、討ち入りの場面の『十一段目』はなかなか見ることができない。泉岳寺には、大星由良之助のモデルとなった赤穂藩筆頭家老・大石内蔵助をはじめ赤穂義士四十七士らが眠っており、仁左衛門は作品ゆかりの地である泉岳寺でお参りした。
これまでに何度も大星由良之助を演じている仁左衛門は、大星由良之助という役について、「大勢の人の心を束ねる。それだけの人物になれるかどうかということですよね。それは一番大事ですね」と語り、「『四段目』以降、由良之助という名前は(本人が)登場しなくても必ず出てきますからね。それほどの人物ですから。それを任せられるだけのものができればなと思います」と意気込んだ。また「結局、忠義心ですよね。みなさん、忠義心はあるんですけれど、特に由良之助の場合は群を抜いているんじゃないかな」と、役柄の魅力を語った。
仁左衛門は、「この年になったら、何をやっても『今回が最後だ』と思う役が多いんです」と明かし、「それでも例えば、自分がどうしてもやりたいと思ったら、他の狂言であればできる。でもこれ(仮名手本忠臣蔵)ばっかりは、(通しで)全部そろって整わないとできないお狂言ですから。そういう意味では、『これが最後になるかもしれない』という、そういう悔いの残らないように勤めたいと思っています」と語った。
今回は大星由良之助に挑む松緑や愛之助を指導するが、「このお役の2人に関しては、若いといいましても、もうすでにみんな50代でいろんな体験もしていますし、ある程度、自分でやれる。だからアドバイスという形です」と説明。「心理と動きが一致しているかどうか。若手に教えるような手取り足取りというお稽古ではないですね。みんなそれぞれ、興行を受け持ってやっている人たちですから」と語った。
4月の『彦山権現誓助剱』では、人のいい剣豪・毛谷村六助を松本幸四郎とダブルキャストで演じる。六助について「純朴でお人よし。カッとなるけど親を大事にする。(彼の)人物が好きになっちゃってね」と語り、「芝居運びや芝居構成は見事。最後の追い込みや盛り上がりの付け方、義太夫狂言が素晴らしい」と作品の魅力を語った。
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