高畑充希、『ウェイトレス』4年ぶり再演と舞台への思い「舞台をやっていないと、自分を見失う感覚に」
俳優の高畑充希(33)がミュージカル『ウェイトレス』(2025年4月9日から30日まで東京・有楽町の日生劇場、以降は愛知、大阪、福岡で公演予定)に主演する。本作は2015年からブロードウェイで上演された人気作で、2021年以来、4年ぶりの再演となる。高畑がコロナ禍だった前回公演を振り返りながら、再演への意気込みを語った。
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4年前はコロナ禍でマスク稽古「初めて尽くしの思い出深い作品」
俳優の高畑充希(33)がミュージカル『ウェイトレス』(2025年4月9日から30日まで東京・有楽町の日生劇場、以降は愛知、大阪、福岡で公演予定)に主演する。本作は2015年からブロードウェイで上演された人気作で、2021年以来、4年ぶりの再演となる。高畑がコロナ禍だった前回公演を振り返りながら、再演への意気込みを語った。(取材・文=平辻哲也)
本作は2007年公開の映画『ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた~』(脚本・監督:エイドリアン・シェリー)を原作に、2015年にブロードウェイで初演され、今もロングランを続ける作品。グラミー賞受賞アーティストのサラ・バレリスが作詞作曲を手掛けた、ポップでキャッチーな楽曲が魅力だ。
主人公は、夫からのDVに苦しみながらもダイナーでパイ職人として働くジェナ。妊娠が判明し、未来に希望を抱けなくなった彼女が、ポマター医師との出会いを通じて、自分の本当の気持ちや生きる意味を見つけていく……。
「ブロードウェイで初めて観劇したとき、甘いパイの香りが劇場全体に漂い、観客との一体感がすごく印象的な作品でした。その後、ロンドン公演、ニューヨークで再度観劇し、ジェナを演じる俳優によって違うメッセージが生まれるという点にも惹かれました。キャッチーな楽曲、ポップな衣装、そしてシビアなテーマが絶妙に融合しているところに心を奪われ、『日本でもぜひやりたい』と強く思いました」
2021年に日本初演が行われたが、当時はコロナ禍だった。
「多くの制限がありました。お客様にも客席で声を出すことは控えていただいていましたし、稽古中はマスクをしながらでした。翻訳や歌詞調整など初めて尽くしで大変でしたが、みんなで一致団結して完成させた思い出深い舞台です。今回は普通の状況でできることがとても嬉しいですし、前回とはまた違った作品になると思います」
再演でも、翻訳・演出には、ブロードウェイ版の演出家ダイアン・パウルスが引き続き参加。日本版ならではの魅力が加わりつつ、オリジナルのエッセンスを忠実に再現。相手役のポマター医師には森崎ウィン、同僚のオタクなウェイトレス・ドーン役にはソニンが新たに務める。
「森崎さんの洋楽的なリズム感が、この作品のポップスナンバーにぴったり。ソニンさんの新しいドーンも楽しみです」
高畑が語る『ウェイトレス』の魅力は、まず楽曲の素晴らしさだ。
「4年経っても色褪せない、キャッチーで楽しい楽曲です。また、女性たちが集まって作った作品ですが、性別や年齢を問わず楽しめるところも魅力的です」。演じるジェナについては「普通に一生懸命働きながら、人生を変えたいけど変える勇気を持てない女性。その姿に共感しますし、彼女の個性が強くない分、周囲のキャラクターとのバランスを取るのが難しい役です」と語る。
「再演は、初演時の思い出や経験がベースとなり、新たな深みを見いだせるのが醍醐味です。『ウェイトレス』はシビアなテーマとともに、笑顔や希望を届けられる作品。観客の方々が劇場を後にする時、少しでも明日を生きる力を感じてもらえたら嬉しいです」
ドラマ、映画と幅広く活躍する高畑だが、舞台は『ピーター・パン』や『奇跡の人』などでキャリアを重ねてきたホームグラウンドだ。
「舞台をやってない時間が続くと、私は自分を見失うような感覚になります。悩むことも多いですが、それ以上に舞台に立てる喜びを感じます。本当に好きな仕事なんだと改めて実感しています。24年はゆっくりし、エネルギーを貯めることができたので、25年はちょっと面白いことをいろいろ頑張っていくつもりです」。コロナ禍を乗り越え、さらなる進化を遂げる『ウェイトレス』に注目が集まる。
□高畑充希(たかはた みつき)1991年12月14日生まれ、大阪府出身。2005年デビュー。ミュージカル「ピーターパン」では2007年から2012年まで8代目ピーターパンを演じる。2013年にNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」に出演し注目を集め、2016年NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」ではヒロインを務めた。2020年、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』にて第43回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。近年の出演作に舞台『奇跡の人』、『ミス・サイゴン』、『宝飾時計』。ドラマ『過保護のカホコ』、『忘却のサチコ』、『にじいろカルテ』、『ムチャブリ!わたしが社長になるなんて』、『unknown』、大河ドラマ『光る君へ』。映画『ヲタクに恋は難しい』(20)、『明日の食卓』(21)、『キャラクター』(21)、『浜の朝日の嘘つきどもと』(21)、『怪物』(23)『ゴールデンカムイ』。現在Primevideoにて『1122 いいふうふ』配信中。6月6日映画『国宝』公開予定。
ヘアメイク:小澤麻衣(モッズ・ヘア)
スタイリスト:菅沼愛
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