青木真也、YouTubeは「素人のもの」と斬った3年前 いま始めたワケ「俺の価値がまた上がれば」
総合格闘家でプロレスラーの青木真也は昨年末にYouTubeチャンネルを開設した。これまでは距離をとっていたYouTube。ブームが落ち着きつつあるプラットフォームになぜいま飛び込んだのか話を聞いた。
![青木真也【写真:山口比佐夫】](https://encount.press/wp-content/uploads/2025/02/07084139/d37b80fe9cd2b3b490aeadcd2266160a.jpg)
目指すのは「学生時代にただただ見てたニコ動」
総合格闘家でプロレスラーの青木真也は昨年末にYouTubeチャンネルを開設した。これまでは距離をとっていたYouTube。ブームが落ち着きつつあるプラットフォームになぜいま飛び込んだのか話を聞いた。(取材・文=島田将斗)
「ついに!頑なに拒否していた青木真也のYouTubeチャンネルが始動します!」(株式会社青木ファミリー)。昨年末に目を疑う発表が飛び込んできた。慌てて本人に連絡すると「ある種の革命だと思いますよ」と返ってきた。
青木を知る者ならば誰もが驚いたことだろう。さまざまな格闘家や格闘関係者がこれまでYouTubeに参戦するなか、青木は発表の通り「頑なに拒否」してきたからだ。
約3年前に「YouTube」をテーマに行ったインタビューでは「YouTubeは素人のもの。やりたいと思わない。どんどん苦しくなって安いものになっていくのが嫌」と言い切っていた。
いったいどんな変化があったのか。「素人のもの」という思いは3年たったいまも変わってはいない。動かしたのはメディア露出した際にあった違和感だった。
「なんで俺が始めたのかというと、いまどこ行ってもYouTubeの撮影とかしても切られるのよ。U-NEXT、ABEMAだって切る。まぁ言っちゃいけないことが多いんだよ俺(笑)。松本晃市郎(ジョビン)も結局切る。編集権が相手にあるんですよ。年末に松本と話したときに『お前でも切るんだ』って思ったんですよね。その瞬間に『自分でやれば切られねぇな』って」
現状、青木はXやインスタグラムのSNSのほか、音声プラットフォーム・Voicyやメディアプラットフォーム・noteを持っている。特にテキストを発信しているnoteは毎日更新、フォロワーも5万人超抱えている。ここにYouTubeが新たに加わった形だ。
「手が増えるわけだから負担ではあるんですよ。でも、これでYouTubeあって音声メディア(Voicy)あってnoteあって、自分の活動があると全部相乗効果あるなと。既存の利益だけじゃなくて、YouTubeがあることによってグッズもプロレスも格闘技も全部伸びていくなと。そういう座組が作れるなと思って、いっちょ動くかと」
格闘技界隈の情報は常に確認している。最近のYouTubeコンテンツの印象についてこう明かす。
「(格闘YouTuberが)減ったっすよね。更新していない人も多いじゃないですか。ただ流して広告だけもらおうってやつも多くなった印象。だからこそ能力、ディレクション、構成力を含めて“この人ケタ違いだな”っていうのをひとつ作った感じかな。青木真也っていう個体を出すことによって“どうだお前ら”と。俺の価値がまた上がればそこからいろいろ来るでしょ。能力が違うところを見せたかったんですよね」
チャンネルは運営スタッフと2人で切り盛り。業界内だけでなく、普段から広い視野を持っているうえに見せる軸が決まっているからこその自信だ。
「ずっといろんなコンテンツのしゃべりを見てきて、意見・論評に関しては格闘技界で誰にも負けませんよと思っちゃったんだよね。誰にも負けないよって。だったらそろそろ出ていってもいいかなと」
チャンネル開設から約1か月間で10本ほどコンテンツを配信し続けている。他のSNSとの違いはコメント欄が活性化していること。さらにXで見られるようなアンチも少ない。
「やってみてひとつ思うのはYouTubeってコミュニティーだね。自分にとってXに変わるものなのかもしれない。SNSって全てはその人についてる客。今後は何か本業がある人がやるものになっていくんじゃないかな」
青木の言った「ある種の革命」とはいったいどんな意味なのか。
「自分自身がYouTubeをやるっていうこともそうだし。いままでの格闘技界におけるYouTuberってもののただ試合の勝敗予想をするのではなくて、ターザン山本というか活字的な格闘技をやるって意味ではひとつの革命だと思うんだよ。
浅はかな表層だけでやってたYouTube。アテンション稼ぎの実のない話を続けるYouTubeに対して、無駄なんだけど、意味もないんだけど、だらだらしゃべっていくなかで学びがあるみたいな。考えさせる余白があるみたいな。学生時代にただただ見てたニコ動みたいな感じかな。30分とか1時間、2時間だらだら見てたじゃん? コメント欄に書き込まれつつさ。それがコンセプトかな」
ファン受けのいいものをやっていくのではなく、あくまで主導権は自分にある。「ただ発信し続けていく。思考とかイズム的なものを出していきたいよね。○○やってみたとかロケするやつとか、ああいうのはやりたくないんですよね。なんかただひたすらしゃべり続けていきます」と青写真を描く。新たなスタートを切った青木は楽しそうにしていた。
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