『ひるおび!』気象予報士・森朗氏が明かす舞台裏 MC恵俊彰とは打ち合わせなし「アドリブとんでくる」
TBS系情報番組『ひるおび!』(月~金曜午前10時25分)で気象情報を伝える気象予報士の森朗氏。時折、MC・恵俊彰のツッコミに困った表情を見せるなど、親しみやすさとほんわかした雰囲気で視聴者の人気を得ている。テレビでは一見、近所のおじさん的な森氏だが、実は百数十人もの気象予報士を抱える大手気象予報会社ウェザーマップの社長でもある。意外と知られていない森氏の素顔と魅力に迫ってみた。
![インタビューに応じた森朗氏【写真:ENCOUNT編集部】](https://encount.press/wp-content/uploads/2025/01/29145241/6cb168785d18cac8eb42792fb5cf1945.jpg)
慶大の音楽サークルOG・竹内まりやの貴重な思い出も
TBS系情報番組『ひるおび!』(月~金曜午前10時25分)で気象情報を伝える気象予報士の森朗氏。時折、MC・恵俊彰のツッコミに困った表情を見せるなど、親しみやすさとほんわかした雰囲気で視聴者の人気を得ている。テレビでは一見、近所のおじさん的な森氏だが、実は百数十人もの気象予報士を抱える大手気象予報会社ウェザーマップの社長でもある。意外と知られていない森氏の素顔と魅力に迫ってみた。(取材・文=中野由喜)
まずは学生時代の様子から。慶応大時代は音楽サークル「リアル・マッコイズ」に所属していた。大物アーティストも所属した伝統あるサークル。
「たまたま同級生に誘われて入ったサークルです。僕はギターを担当し、バンド仲間と遊んでばかりでしたが、OG、OBには竹内まりやさんや杉真理さんがいます。お2人ともだいぶ先輩ですが竹内さんがサークルのたまり場になっているお店にふらっとお見えになって歌ってくれたこともありました。店のギターでビートルズの曲を目の前で歌ってくださったんです。すごかったです。贅沢な時間でした」
楽しかった大学卒業後は大手鉄鋼メーカーに就職した。
「入社13年たった35歳頃、バブルが崩壊して不況に。先行きを考え、手に職をと思ったんです。当時、新聞で気象予報士の制度ができて初めての試験が行われた記事を読みました。会社は災害復旧資材も作っていましたが、災害の前に何かできないかという気持が半分、あとの半分は、当時の趣味のマリンスポーツのために試験を受けました。土、日のどちらか風や波のコンディションのいい日に海に行きたいわけです。遊びのために気象予報士になるための学校に通いはじめたんです」
試験は難しく特に文系出身にはハードルが高い気もするが。
「高校時代、物理の試験で4点だったこともある僕が勉強を楽しく感じたんです(笑)。知識が付いてきたらマリンスポーツの遊びの計画をしっかり立てられるようになり、合格しなくても詳しくなればいい、という思いでした。天気に詳しくなるにつれ生活が豊かになると感じましたね」
ここで気象予報士を目指す人にアドバイスをお願いした。
「楽しんで勉強してください、ということでしょうか。勉強が苦しかったら多分、それを仕事にしても苦しいと思います。私は普段、毎日3時間以上は勉強しました。出張の時も移動中に本を読むとか勉強をゼロにせず毎日勉強しました」
こんな気象予報士でありたいという姿も語ってもらった。
「伝わる天気予報をやっていきたいです。人の役に立っていると実感できる仕事は少ないと思いますが、この仕事は実感があります。長くやっていますが、もっと人の役に立つ気象予報士になりたいです」
2017年にウェザーマップの社長に就任した。会社ではどんな社長なのか。
「社長には2つのタイプがあると思います。1つは先頭に立ってみんなを引っ張っていくタイプ。僕はそうじゃない方かと思います。うちの人たちはみんな自分で走る力があるので、僕が引っ張らなくても各人で走ってくれます。僕はどちらかと言うと後ろから方向の違う人を矯正したり、みんなを後ろから調整する社長だと思っています」
話していると職人的な雰囲気も感じる。
「この会社は職人集団でいいと思っています。解説の職人、予測の職人、いろんな職人が集まっていて、その塊としてある方向に向かって進んでいけばいい。いろんな仕事がAIに奪われるだろうと言われていますが、AI天気をつくる職人がいてもいいし、一方で解説者は職人でないとAIに仕事を取られますから、みんなにはAIに負けない職人気質を持ち続けてほしいと思います。他の会社には真似のできない質を作り上げていきたい」
![素顔についても明かした【写真:ENCOUNT編集部】](https://encount.press/wp-content/uploads/2025/01/29160411/d1e418c68bff9ea70349ebfecfc7e84a.jpg)
ウェザーマップ社長ながら「凡人だと思います」
『ひるおび!』についても尋ねた。恵とのやり取りはほっと和ませてくれる。
「時折、疑問をボーンとぶつけてきたり、『この間、ああ言ったけど違うじゃないか』と言われることも。本当に頭のいい方。ずい分前に僕が言ったことをよく覚えているんです。うーん困ったぞということがよくあります(笑)。実は恵さんとは事前の打ち合わせがないんです。アドリブがとんできます。今日はこんなことを聞かれそうだと予想して準備することもあります。でもまったく違う矢が飛んでくるんです(笑)」
天気だけでなく恵のアドリブ予想も大変だ。あらためて恵の印象を聞いてみた。
「偉大な司会者です。ありとあらゆる勉強をされているんでしょうね。毎朝、テレビ局に来るときには、全新聞に目を通し、他の情報番組も見ています。知識も豊富ですが、テレビでの見せ方がものすごくお上手。話の持っていき方、見せ方とか、すべてに詳しいです。本当に勉強になります」
森氏は他の番組の天気予報を見るのだろうか。
「見ないです。理由は人の意見に引っ張られたくないから。天気予報は自分の意見で伝えたいんです。人と違う手法でお天気コーナーを作りたい。言葉も常套句を避けて伝えるようにしています。正しい日本語でカタカナをなるべく使わずにやっています。私は英語が得意ではありませんが自分でも英訳できる日本語、つまり老若男女全員に分かりやすい日本語を心掛けています」
ここからは素顔を聞いてみた。自身ではどんな人間と思っているのだろう。
「凡人だと思います。どこにでもいる人(笑)。人より優れていることは無いと思っています。会社勤めの時も周りの上司、先輩、後輩に支えられて仕事をしてきましたし、『ひるおび!』も恵さんがうまく扱ってくださるからやれていると思います。凡人だから周りが扱いやすいんでしょうね(笑)」
温かく、親しみやすく裏表のない人柄。家庭ではどんな夫なのだろう。
「家族は妻と猫4匹いますが序列で言うと一番下です。猫より下です。いつの間にか料理をしたり、食事の後の片付けもしたり、土、日も朝、起きたら洗濯機を回しています。結構、家庭的なことをやっているのか、やらされているのかよく分かりませんが(笑)。でも料理は嫌いじゃないです。洋食系が多いですが煮物も作ります。土、日と平日も1日ぐらいは作り、後片付けも。きっと何か作るのが好きなんでしょうね」
□森朗(もり・あきら)1959年9月18日、東京生まれ。兵庫県で育ち神戸高校卒業後、慶応大法学部政治学科に入学。大学では竹内まりやも所属していた音楽サークルに所属。卒業後は鉄鋼メーカー・日鉄建材工業(現日鉄住金建材)に入社し、経理・総務・営業職に従事。その後、1995年気象予報士資格を取得し、同年にウェザーマップに入社。2017年に同社の社長に就任。趣味はブラジル音楽、マリンスポーツ、ギター、八重山民謡、カーリング。
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