「アイドルの時間は貴重だった」…TOBEでアーティストに転身した20歳・ISSEIが抱く反骨心

2024年12月3日、20歳の若者が新たな環境に身を移した。ISSEI(イッセイ)。ソロアーティストとして歩むことを決意し、TOBEに加入した。今年1月23日には、1st デジタルシングル『Go Getter feat. AK-69』の配信を開始。待望のデビューだ。そんなISSEIは今、どんな心境でいるのか。ENCOUNTはその人物像にも迫りつつ、音楽にかける思い、ビジョンを聞いた。

ソロアーティストとしてTOBEに加入したISSEI【写真:藤岡雅樹】
ソロアーティストとしてTOBEに加入したISSEI【写真:藤岡雅樹】

1月23日、全編ラップ『Go Getter feat. AK-69』でデビュー

 2024年12月3日、20歳の若者が新たな環境に身を移した。ISSEI(イッセイ)。ソロアーティストとして歩むことを決意し、TOBEに加入した。今年1月23日には、1st デジタルシングル『Go Getter feat. AK-69』の配信を開始。待望のデビューだ。そんなISSEIは今、どんな心境でいるのか。ENCOUNTはその人物像にも迫りつつ、音楽にかける思い、ビジョンを聞いた。(取材・文=水谷賀奈子)

 TOBEのオフィス。ISSEIは笑顔で記者と向き合い、デビューが決まった時の状況から明かした。

「社長から電話で『(デビュー曲)出すから』とサラッと言われました。加入した時から『音楽活動に集中したい』とは伝えていましたが、予想外のことで驚きました」

 ISSEIは、2024年12月3日にTOBEに加入。TOBE公式YouTubeチャンネルでの配信で「この選択が間違っていなかったことを証明したい」「これからは輝くだけじゃなく、はい上がっていく姿を見せたいです」などと決意を口にした。

 そして、TOBE・滝沢秀明社長の言葉を号令にデビューへの準備がスタート。大事な楽曲の作詞、作曲は自らヒップホップMCのAK-69に、依頼したという。

「これまでもプライベートでAK-69さんのライブには行っていたのですが、今回お時間をいただいて直接、お願いしました」

 程なく『Go Getter feat. AK-69』が完成。自身にとって初挑戦となった全編ラップのヒップホップ曲で、AK-69とのフューチャリングも決定した。序盤から、「抜き去る」「稼ぎまくる」「築きあげる」「今に見とけ じき断トツメジャー」と紡ぐ歌詞も印象的だ。

“憧れの人”との楽曲制作は「夢のような時間」だったという。歌詞にはノータッチだったが、今のISSEIが存分に詰め込まれていた。

「曲のイメージはAK-69さんの『Flying B』だということを先にお伝えしていましたが、ストレートなリリックも、今の自分が歌うからこそ意味のあるものだと思いました。そして、フューチャリングで入ってくださって、本当にありがたいです。デビュー曲は一生歌い続ける曲ですし、とても大切な楽曲になりました」

 ヒップホップに目覚めたのは、前に所属していた事務所でのパフォーマンスがきっかけだという。

「初めてラップをやる機会があって、周りの人から『いいね』と言われたことがきっかけのひとつです。ヒップホップに詳しい先輩にプレイリストを共有してもらい、どんどんハマっていって、AK-69さんの音楽にひかれていきました」

 そして、アーティストになって提供された『Go Getter feat. AK-69』。レコーディングをしていく中で、「新たな自分」を見つけることができたという。

「AK-69さんの特有の歌い回しやフローを落とし込むのが難しかったですが、誰かに投げかけているようなニュアンスを意識しました。これまでとは違う低音での歌い方で、新たなISSEIらしさが見えてきた気がしています。これまでの自分を知ってくださっている方にも、新しさを楽しんでもらいたいです。そして、今の俺と同じように再スタートする人や悩んで一歩踏み出せない人の後押しができる曲だと思っています。挑戦する人の力になる楽曲になったらうれしいです」

 2016年、前事務所に履歴書を送ったことが芸能界入りの第1歩だった。当時、勉強と仕事の両立は「そこまで難しくなかった」と話す。

「勉強も割と好きでしたし、負けず嫌いでクラス順位を上位でキープするために真面目に頑張っていました。意外と(笑)。暗記が得意だったのは今も役立っています」

 アイドルとして10代の多くの時間を過ごし、新しい環境で音楽と向き合い始めたことは迷いのない決断だ。質問にも笑顔で答え続けたが、思い切ったリスタートで「少し不安もあった」と明かした。

「アイドルとしての時間は、とても貴重で大切でした。同時に、音楽に対する価値観が変わっていきました。そこで、より自分らしさを出すために環境を変えて挑戦したいと思いました。正直、不安はゼロではありませんでした。でも、決めたら曲げずに突き通すタイプということもあって、失敗や成功ということではなく、ただ、ワクワクしていました」

 続けて「メンタルが強いのは昔から」と言い、アイドルだった自分を好きになってくれたファン、これから出会うファンへの思いも口にした。

「人と一緒が嫌で、こだわりも強かったです。環境を変えたことに対してどう思われるのかは分かりませんが、まずは1度、曲を聴いてほしいです。そこで『ISSEI、やるやん』と思ってもらえたらうれしいです。最初は厳しくても『最後には俺のファンにしてみせるよ』という気持ちです」

 そして、ソロアーティストとして活動することについて「これまでが自分を出せていなかったわけではないのですが、より自分を出せるようになった気がします。何をするにしても全部自分に返ってきますが、自分が『こうしたい』と思って選んだ道。気持ちはどんどん熱くなっています」と言葉に力を込めた。

ISSEIという名にも思いが込められている【写真:藤岡雅樹】
ISSEIという名にも思いが込められている【写真:藤岡雅樹】

3月6、7日に東京ドームで初パフォーマンス

 抱くビジョンは「世界進出」。ISSEIという名にもその願いが込められていた。

「先に社長から『下の名前だけでいっちゃおうか』と言われたのですが、実は俺もそう思っていたので驚きました。英語表記なのは社長が決めてくれたのですが、『日本だけではなくて世界の人にも認知してもらえるように』という意味があります」

 そして、ISSEIとしてファンの前での初パフォーマンスするのは、3月6、7日に東京ドームで開催する『to HEROes ~TOBE 2nd Super Live~』に決まった。約5万人を前にするが、既に覚悟は決まっている。

「TOBEの先輩方もいて、俺のことを知らない人もいると思います。でも、それは置いておいて、全力でパフォーマンスします。『俺を見ろ』というスタンスで、『これが俺のヒップホップだ』と伝わるように。後悔しないように出し切りたいです」

 そこから先も、ステージに立つ準備を重ねていくつもりだ。

「ワンマンライブもやりたいし、フェスにも出たいです。ヒップホップ好きとしては、憧れの武道館でのライブもやってみたいです。もちろん、東京ドームを1人で埋める目標もあります。道のりは長いですが、目の前の仕事を全力でやって、音楽と向き合っていきます」

 そう話した後、ISSEIは少し間を開けて「言葉を選ばずに」と前置きし、記者の目を見て言った。

「俺がどんな楽曲を出しても喜んでくれるファンもいるとは思います。一方で、本当に音楽やヒップホップが好きな人から『いいアーティストだ』と言ってもらえるようにもなりたいです。そのためには実力が必要だと思っています。

 今回のレコーディングでも『これが俺らしさだな』と、自分の良さを見つけられた瞬間があったんです。それを曲に盛り込んでいけば、覚えてもらえるのかなと思っています。さらにそれを伸ばして、2025年末には進化している姿をファンに見せたいです」

 決心してアーティストに転じた20歳。取材中も「音楽で認められたい」と繰り返した。その一方で、カメラマンが「髪型いいですね」と声を掛けると「ホントですか! 今、伸ばしてるんです」と言ってスマイル。撮影になると、カメラを前にいくつものポージングを披露した。アイドルの経験も大きな財産。ISSEIは、そんな魅力も抱きつつ歩を進めていく。

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