弁護士の河西邦剛氏が28日、関西テレビ『旬感LIVEとれたてっ！』（月～金曜午後1時50分）に出演。番組では27日に各種制限を設けず行われ、終了までに約10時間30分を要したフジテレビの“やり直し会見”について取り上げた。引退した元タレント・中居正広さんと女性のトラブルに社員が関与したと報じられたフジの港浩一社長が17日に行った会見が、動画撮影が禁止されるなど閉鎖的だと批判を浴びていた。

　191媒体、437人が出席し、異例の長時間となった会見について、MCの青木源太アナウンサーから「やり直し会見、成功だったのでしょうか？」と問われた河西氏は、「成功とは言えなかったと思います」と厳しく判定した。

　メディア対応や芸能トラブルに詳しいとされる河西氏は「2か月後に第三者委員会の調査結果が出てくるんですね。いまスポンサー企業がどんどん離れて行って、フジテレビや系列局においてはCMがACに差し代わっているというところ。それはなぜかというと、トヨタであり日本生命がフジテレビにCMを出すことが各企業にとってリスクになっているということになります。（会見は）調査結果が出るまでにCMを回復する最後のチャンスでもあったかと思います」と見解を披露した。

「チャンスだった昨日の会見で、確かに人事の刷新、（港）社長、（嘉納修治）会長の退任はありました。ですが、今回の件でCMを回復させることはできなかったと思いますね」と発言。理由について「各企業がどこに対して疑念を持ってるかというと、中居さんのトラブルとかではないと思いますね。どんな会社でも従業員とかがトラブルを起こすというのはあるが、今回のように大きな会社が傾きかけるような事態には発展していかない。何が問題だったかというと、フジテレビの対応です」と明言した。

　河西弁護士は「事件が起こった後、対応について非常に問題があったということになる。中居さんの番組を継続したことであったり、新たに特番、中居さんの冠番組を行ったことだったり、フジテレビの都合を相手女性の権利よりも優先したんじゃないかと。そういった対応したんじゃないかと。それが根本的な問題として問われているんだと思います」と考えを示した。

　また、気になるポイントとして“会社の勝手な判断で女性の保護をしていないか”を挙げた。河西弁護士は「港社長は“女性のプライバシーの保護がある。なるべく知っている人間を少なくしたかった”と非常に多くおっしゃっている。この言葉だけ聞いて違和感を持つ方は少ないと思います。ですが、社長の判断としては間違ってる可能性が非常に高い。なぜかというと、大企業において、フジテレビというテレビ局、上場企業の子会社としてルール、コンプライアンスを守るってことは非常に重要」と解説した。

「港社長は、コンプライアンス室に中居さんのトラブルの件を報告していなかったり、直属の上役である遠藤（龍之介）副会長に報告していなかった。当時フジの担当専務だった大多（亮）さん（現関西テレビ社長）から報告が上がった時にそこで止めてしまってる。だから事情を知らない部署がスポーツ番組の発注をしてしまっている。根本的に港社長のコンプライアンス軽視が見えてきたと思います」と指摘した。

“社員の関与についての表現”も疑問視。河西弁護士は「昨年12月27日のフジテレビの広報があまりよくなかったのかなと思います。“当該社員（A氏）は会の設定を含め、一切関与してないことをお伝えします”って断定的に答えていた。でも、その際に女性側に対して確認したんですかと。女性側に確認しないまま、断定的な広報をしてしまっている。フジは“A氏に確認したところ、関与はないとのことでした”にとどめないと、週刊誌報道でめくられてしまうリスクが常に続いてるかなという感じ」と話した。

　会見で多数質問が出た“日枝久取締役相談役の出席なし”にも言及。フジ労組の要望書の一番上にあったとした河西弁護士は、登壇者が日枝氏に対して「出席を説得できなかったといえる」とコメント。フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長の「（日枝氏は）影響力がある」という趣旨の発言はコーポレートガバナンスで問題になる可能性があるとした。