中村獅童、こんぴら歌舞伎初参戦「いよいよ出演させていただく」 3年前に家族旅行でアポなし見学も
歌舞伎俳優の中村獅童、中村萬壽、中村時蔵、中村萬太郎が27日、都内で行われた第三十八回「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の製作発表記者会見に出席した。
10年ぶり8回目出演の中村萬壽は「そろそろ名誉町民にしてくれるかな」
歌舞伎俳優の中村獅童、中村萬壽、中村時蔵、中村萬太郎が27日、都内で行われた第三十八回「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の製作発表記者会見に出席した。
四国こんぴら歌舞伎は、香川県琴平町にある日本最古の芝居小屋「金丸座(旧金毘羅大芝居)」で、1985年から上演されている公演。金丸座は天保6年(1835年)に建立され、1970年に国の重要文化財の指定を受けた。さらに76年に保存のための復元再興がなされ、現在地に移転。2003年には耐震構造補強工事(平成の大改修)が行われ、観劇の妨げとなっていた4本の鉄柱を取り除いた。また調査の際に、江戸時代の仕掛け「ブドウ棚」と「かけすじ」の痕跡が発見され、復元。江戸時代を細部にわたりのぞかせる芝居小屋となった。21年には耐震補強工事(令和の大改修)が行われ、安全基準を満たす劇場として生まれ変わった。
三十八回目を迎える今回は、獅童が初来演。萬壽は10年ぶり8回目の登場となる。獅童は初のこんぴら歌舞伎に「率直にうれしかったですね。何年も前から行かせていただきたいという思いはございましたので」と喜んだ。3年ほど前に家族旅行で四国をキャンピングカーで回ったと言い、「せっかく来たから『金丸座も見学していこう』という事で、アポなしで伺いまして」と明かした。
「当時ちょうど金丸座が改装中で、全体を見ることはできなかったんですけど、一部分だけ見学させていただきました」と回想。当時は長男の陽喜くんが3~4歳だったと言い、「上まで登って(金比羅宮も)お参りをして。どんどんどんどん登っていっちゃうんですよ。よくあんな体力あったなと思いますけど」と懐かしみ、「そこから約3年の月日が流れて、いよいよ出演させていただくことが決まり、大変うれしく思っております」と語った。
また金丸座については、十八代目中村勘三郎さんからも話を聞いていたと言い、「勘三郎兄さんはあの創設メンバーの1人だったんですね。度々聞いておりましたので、日本古来のあの劇場で歌舞伎の芝居をやらせていただけることは、非常にありがたく、うれしく思っております。お客様との距離が近いので、その辺りも今から楽しみにしております」と意気込んだ。今回は息子の陽喜くんと夏幹くんも出演。2人とも出演については把握しているといい、「『セリフはあるの?』と聞かれました(笑)」と、息子たちのヤル気を語った。
10年ぶりに出演する萬壽は、24年6月に時蔵から萬壽を襲名して以来初の同所での公演。「名前が変わりましても、やっていることはもう全然変わらずです。教わった事を忠実に守って、自分なりの芸を広げていくということだと思っております」と語った。
今回で8回目となるが、琴平町の印象を聞かれ、「皆さんが温かく迎えてくれるので、ありがたく思っています」と感謝。また、「私たち歌舞伎俳優って(化粧をしているので顔は)あんまり分かんないんですよね。でも(町で)お練りするとね、“面”が割れちゃうんですよ」と告白。「ちょっと買い物行くと(顔が知られたので)、『あ!』なんてことになる」とエピソードも明かした。さらに「今回8回目なので、10回行ったら、そろそろ名誉町民にしてくれるかなと。狙っています」と会場を笑わせた。
同公演では、第一部で『彦山権現誓助剱 毛谷村(ひこさんごんげんちかいのすけだち けやむら)』、『新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎(しんさらやしきつきのあまがさ さかなやそうごろう)』、第二部では『蜘蛛の拍子舞(くものひょうしまい) 長唄囃子連中』『眠駱駝物語 らくだ(ねむるがらくだものがたり)』を上演する。