1100人超のフジテレビで労組80人だったことに衝撃…「これでは会社に声を届けることは難しい」

元タレント・中居正広さんと女性とのトラブルへの関与が報じられ、フジテレビが相次ぐ「対応ミス」で危機的状況にある。その中で、23日には社員向け説明会が行われ、全社員の約9割にあたる約1000人が参加。同社の組合が会社側に呼びかけて実現した会だったが、要望書には「先週まで組合員数80人だったのが、本日時点で500人」と記されていたことも判明した。1100人以上の社員がいる会社で、80人しか組合に加入していなかった現実。それが意味することを解説する。

フジテレビ【写真:ENCOUNT編集部】
フジテレビ【写真:ENCOUNT編集部】

元新聞社の組合幹部が指摘

 元タレント・中居正広さんと女性とのトラブルへの関与が報じられ、フジテレビが相次ぐ「対応ミス」で危機的状況にある。その中で、23日には社員向け説明会が行われ、全社員の約9割にあたる約1000人が参加。同社の組合が会社側に呼びかけて実現した会だったが、要望書には「先週まで組合員数80人だったのが、本日時点で500人」と記されていたことも判明した。1100人以上の社員がいる会社で、80人しか組合に加入していなかった現実。それが意味することを解説する。(文=平辻哲也)

 フジテレビの一連のガバナンス問題は、労働組合の弱体化という背景も一因かもしれません。私は、急激な組合員増加以上に従業員数1169人(2024年3月31日現在、同社公式サイトより)の会社で、組合員がたった80人しかいなかったことに驚きました。この状態では、働く人たちの声を会社に届けるのも難しかったのではないでしょうか。

 私は以前、新聞社で労働組合の書記長や委員長を務めていました。その時、前任者から「労使は対等な関係だ。組合の委員長は社長、書記長は専務のような立場だ」と教わったことがあります。この言葉を思い出しながら、フジテレビの事例を振り返り、労働組合が果たすべき役割について考えてみます。

 労働組合の役割は、働く人たちの声を集めて会社に届け、生活や働く環境を守ることです。しかし、フジテレビではこの役割が十分に果たされていなかったように感じます。組合には、社員全員が加入するユニオンショップ制と、社員の自由意志によって参加するオープンショップ制がありますが、フジテレビ労組はオープンショップ制を採用していたようです。一定の管理職は加入できないルールですが、80人という組合員数では、会社に意見を伝える力がどうしても足りません。もし、労働組合がもっと強ければ、今回の問題も早い段階で改善のきっかけが作れたかもしれません。

組合が機能すれば、コンプライアンス違反の抑制も

 そして、今回のケースでは、「労働組合が強化された結果、事態が動いた」と言えるでしょう。組合員数の増加は、それだけ多くの従業員が会社に対して問題意識を持ち、声を上げ始めたことを意味します。

 つまり、労働組合は経営陣と従業員の間の橋渡し役。従業員の意見を反映することで、企業の透明性や説明責任を高め、コンプライアンス違反や不正行為を抑制する効果も期待できます。従業員の権利を守るだけでなく、企業の健全な発展にも貢献する存在です。

 今回の問題を通しての教訓は、「企業は労働組合との対話を重視し、従業員の声に耳を傾けるべき」ということです。従業員もまた、自らの権利を守るために、労働組合に積極的に参加していく必要があると言えるでしょう。これからのフジテレビ労働組合の活動にエールを送りたいと思います。

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