2時間超える会見で元フジ専務のカンテレ社長が明らかにしたこと トラブル把握後の対応は「彼女を守ることを最優先に」
フジテレビ系列の準キー局・関西テレビ(カンテレ)は22日、大阪市北区の同社で大多亮社長の新年定例記者会見を実施。通常は記者クラブ加盟社のみの参加だが、急きょ在阪各局、ウェブ媒体や週刊誌なども参加してのオープン形式で行われることになった。27社48人が出席した。2時間を超える長時間の会見で大多社長は全ての質問に丁寧に回答。一体何が明らかになったのか。
元フジテレビ専務の大多亮社長がすべての質問に丁寧に回答
フジテレビ系列の準キー局・関西テレビ(カンテレ)は22日、大阪市北区の同社で大多亮社長の新年定例記者会見を実施。通常は記者クラブ加盟社のみの参加だが、急きょ在阪各局、ウェブ媒体や週刊誌なども参加してのオープン形式で行われることになった。27社48人が出席した。2時間を超える長時間の会見で大多社長は全ての質問に丁寧に回答。一体何が明らかになったのか。
大多社長はフジテレビ時代に『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』など大ヒットドラマを手がけた有名プロデューサーで、同局では、常務、専務などの重役を歴任。昨年6月、カンテレ社長に就任した。女性が中居からの被害を報告した2023年6月はフジテレビの専務だった。
タレント中居正広の女性トラブルを報じた週刊文春の報道では被害女性が明かしたトラブル内容を把握した人物として大多社長の名前も伝えられていた。
17日のフジテレビの港浩一社長は、記者クラブ加盟社だけで定例会見を実施。ウェブ媒体、週刊誌などの非加盟社の参加をNGにし、オブザーバーで参加したNHK、民放キー局の映像撮影も認めなかった。また多くの質問に答えることができず、結果、「閉鎖的会見」と批判が高まり、これを境に同局へのCM差し止めが相次ぎ、20日の時点で75社を数えた。
この問題に関して深く関わっていた1人ともいえる、大多社長が明かしたことを列挙する。
カンテレも30数社のスポンサーに影響、系列局としてフジに苦言
「今私が聞いてる範囲では、30数社がAC差し替えであるとか提供テロップを外すというようなことが起きてきております。 大変憂慮する事態」と説明。そのうえでフジに対しては「きちっと調査してほしい」と要望。こうやってスポンサーが離れているわけですから、早くフジとしてしっかり進めてほしいということにつながります。(苦言を呈していくことも含めて)もちろんそうです」と語気を強めた。
女性トラブルに関してはどの程度把握していたのか
「私も当然把握しておりました」と認めたうえで、詳細についても言及した。「時期に関しては難しいですが、この事案が起きてからほどなくして、私の耳に報告が上がっております。非常に重い案件だなと思いましたし、あの……ある種の衝撃を受けました。ですので、とにかくこの女性のケア、プライバシー、人権……どれだけのケアをしっかりやらなければいけないかと思った」と回想。「女性は大ごとにはしたくない。公にならないほうがいいし、そういった中で誰にも知られたくないということだと思うのですが、そういう中で私まで上がってきた。限られた状況の中で私はその情報を得た。言った通り、重い案件でありますので、これは社長に上げねばならない。僕までで止めておくことも考えられる。知っている人が増えるのも避けたほうがいいというのもあったが、私の判断で港社長に上げた。その日のうちに上げた記憶があります」と明かした。
トラブル把握後もなぜ中居の出演番組が続いたのか
トラブルを把握した23年6月の時点ではフジテレビの専務だった大多社長。「(被害女性が)病院の先生や専門医に見ていただいた。そういう状況の中で『だれかtoなかい』が放送しているのはどういうことなのか、という事だと思うのですが、私の中では、とにかく彼女が公にならないようにを最優先に考えていました。私が居た中では秋、春の2改編ありましたが、(番組を)打ち切るという動きが果たして彼女の為にどういう影響があるのか、考えていました。中居氏を守ろうとか、そういう意識はなかったです」と強調した。
あくまで番組を続けたのは「彼女を守るために、最善の手は何かを考えていました」と明かす。そのうえで、「中居氏を守ってずるずる(番組を)やっているという厳しい意見もわかりますが、そういう状況でありました。とにかくいつ終わらせるのか、いつ終わるのかは常に頭の中にありましたし、港社長の会見でもありましたが、ああいう状況で進んでいったと。漫然とやっていればいいという気持ちはなかったですが、そのことが彼女にとって、そういう事じゃないんだということであれば、我々の考えが至っていなかった。反省しなければならない」と説明した。
報道されているフジ社員の関与については「把握していない」
一部で報道されているトラブルのもととなった、食事会の設定をフジ社員が関与したとされる件について、「私は把握してない」「当該被害女性と中居さんとの接点となるような会食を(社員が)設定したという事実は、私は聞いておりません」。
女性社員、アナウンサーを伴う会食についての見解
「女性社員、アナウンサーとの会食、社内外での会食はあります。私はそれ自体が悪いと思ったことはない」と自身の考えを明かした。「私自身もそういう会に出たこともある」としたうえで、「そのことだけでいうと、本当は行きたくなかった、嫌だったということがあるならば、申し訳なかったと思いますが、基本的に会食はあります。ただ今回報道されているような上納、献上、そういったものとは違うと思っている。私の中ではそういうことは無かったと思っています。女性アナウンサーとの会食がイコールよくないとか、性の上納につながるとは思っていない」と自身の経験も踏まえて振り返った。
トラブル把握後も中居の番組が継続しただけでなく、MCを務める特番も放送されたのはなぜか
「とにかく知っている人間はほとんどいなかった。確かに、私なり、(フジ社長の)港なりが、それをやめるべきじゃないかとか、出てることが彼女にとってよくないだろうと、言うようなことがあったと思うんですけど、別のスタッフからすれば知らないですから」とトラブルを知っていたのがごく少数だったと説明。「なんらかの事情を言ってやめることはできたかもしれません。それが彼女にとっていい方向へ行かないんじゃないかと考えていたので、その判断が足りなかったのか、過ぎたのか、これは調査委員会で調べて、どうしたら良かったのか、突きつけられているわけですから、難しいですね」とあくまで被害女性のケアを念頭に置いての判断だったとした。
オープンな記者会見を実施した理由
フジが閉鎖的な会見を行ったことでさらなる批判にさらされた。大多社長は「当然、こういう案件の記者会見ですから、(フジが)考えてああいう形の会見をしたという風におもう。申し訳ないですが、私の今の立場であれをどうこうというのは言いづらい」としたうえで、「カンテレとして、たくさんみなさんご質問があると思ったので、カンテレとして判断したということです」と説明した。
オールドメディアへの高まる不信感へ思う事
「繰り返しになりますけど、性加害、上納、献上……ということが、繰り返しあったかどうか、疑われているワケです。長い間テレビ局で働いてきた人間としては、悲しいですし、辛いですよね。この時代ですから、もしそれが本当なら正していかないとダメだと思います」と襟を正した。