NHKに干されて北海道移住→名作『北の国から』が誕生 上層部に激怒され「涙が出てきちゃった」
脚本家の倉本聰氏が14日、TBS系『人生最高レストラン』(土曜午後11時30分)に出演。北海道に移住した理由を語ると共に、NHKに感謝する場面があった。
現在では「NHKにすごく感謝」
脚本家の倉本聰氏が14日、TBS系『人生最高レストラン』(土曜午後11時30分)に出演。北海道に移住した理由を語ると共に、NHKに感謝する場面があった。
1974年、倉本氏はNHKの大河ドラマ『勝海舟』の脚本を担当した。当時、39歳。「図に乗っちゃったんだね」「とにかく生意気だと思われたんでしょうね」という倉本氏は、「本読みすると、その後で僕が帰っちゃうと『作家が帰ったから本直しします』ってディレクターが直しを始める」など、「いろいろな意地悪をされた」そうだ。
このことについて、倉本氏は週刊誌に「しゃべっちゃった」。それは「NHKを擁護するつもり。守る形で言ったつもり」だったものの、最終校了をチェックすると、「逆の記事を書かれちゃった」そうだ。倉本氏は、急いで修正を指示。だが、「新聞広告のことは頭になかった」そうで、「新聞広告に『NHK内部から批判』って、(見出しが)ドーンって出ちゃった」という。
これにNHKの上層部が激怒。すぐに呼び出されて「もうアンタとは、仕事はできない」と通達の後に「吊るし上げられた」そうで、「悲しくなっちゃって、涙が出てきちゃった」「こりゃあ、反論しても無理だな」と感じた倉本氏は、「おっしゃる通り、僕はおごってました」と謝罪し、そのまま席を立ったという。
その後、倉本氏は「記憶が途絶えた」そうで、「記憶が再度戻ったのが、(北海道の)千歳空港」。自身でも理由は「分からない」としたが、知人の記者からは「人間は負けると北へ行く。『敗北』って言うでしょ」と諭され、「なるほどな……」と納得したという。
NHKに干されたことで、他局からの仕事も失った倉本氏は、札幌・ススキノでの逃亡生活を開始。コインランドリーで洗濯をしていた際、ホステスに「先生、そんなことは男がやるもんじゃない。私がやるから」などと北海道の人たちの優しさに触れるうち、「これは北海道に住むしかない」と決意したという。
札幌から現在の住まいである富良野へ移住したことについては、「一番、北海道でも激しく暑くて寒いところにしようと思ったから」と説明。「自然が一番、厳しいところ」に身を置くことで、「もう一度、人間に帰んなくちゃダメだ」「だらけてるから、もう一度、生き直そう」と考えたという。結果、『北の国から』を生み出すことに。倉本氏は、「だからね、NHKにすごく感謝してますよ」とし、富良野へ移住しなければ「できなかったかもしれない」と回想した。