斎藤知事を支援 沈黙を続ける女性経営者に広報専門家が苦言「PR会社と名乗ってほしくない」「毀損している」
兵庫県の斎藤元彦知事に公職選挙法違反の疑惑が浮上し、波紋が広がっている。その原因となったのは、西宮市のPR会社merchuの折田楓(かえで)代表によるnoteへの書き込みだ。再選の裏にあったSNS戦略を詳細に明かし、業務として請け負ったことをアピールした。双方に説明責任が求めれられる中、いまだ沈黙を続けるのが折田氏だ。広報の専門家からは、「PR会社にあるまじきこと」とお粗末な対応に怒りの声が上がっている。
疑惑に素早く対応するのがPR会社の基本 雲隠れに集まる批判
兵庫県の斎藤元彦知事に公職選挙法違反の疑惑が浮上し、波紋が広がっている。その原因となったのは、西宮市のPR会社merchuの折田楓(かえで)代表によるnoteへの書き込みだ。再選の裏にあったSNS戦略を詳細に明かし、業務として請け負ったことをアピールした。双方に説明責任が求めれられる中、いまだ沈黙を続けるのが折田氏だ。広報の専門家からは、「PR会社にあるまじきこと」とお粗末な対応に怒りの声が上がっている。
「少なくとも広報・PR会社と名乗ってほしくない。正当な広報の思想を広めたいと思っている私としては、業界みんなが変な目で見られるだけでもマイナス。広報業界を高めたいと思っているのに毀損している。だから怒っている。あるまじきです。ちゃんとしたPR会社はこんなんじゃないと大きな声でアピールしたい」
取材にこう話したのは、元神戸製鋼所広報部長で広報・危機管理コンサルタントの山見博康氏だ。今年7月、1568ページに及ぶ著書『危機管理広報大全』を上梓。これまで数々の企業・団体の不祥事に携わり、解決へと導いてきた。
17日の兵庫県知事選で当選した斎藤氏。公職選挙法違反となれば、失職する可能性がある。27日には斎藤氏と代理人弁護士がそれぞれ会見を開いた。斎藤氏は、「お願いしたのはポスター制作を含めた70万円の対価支払いに伴う業務だけです。それ以外は個人でボランティアとして対応していただいた」と表明し、戸惑いを口に。また、代理人弁護士は、「特に広報全般を任せたとか、そういう部分については全く事実ではない。盛っておられると認識している」と説明し、“法令違反はない”との認識を示した。
一方、沈黙を続けているのが、もう1人の主役・折田氏だ。noteを通じて、「斎藤陣営で広報全般を任せていただいていた」と発信したのは20日のこと。その後、投稿を削除・修正した。選挙カー上でのライブ配信を始め、スタッフを連れて組織的に斎藤氏の選挙活動を支援していた疑いがある。ただ、投稿から1週間以上が経過しているのに記者会見を開くどころか、何のメッセージも発していない。
ネット上では、「なんで折田社長は雲隠れしてるの?」「なぜ知事などだけがぶら下がり会見などで責められ、折田楓は逃げまくってダンマリなんだ?」「折田社長が削除した内容と、斎藤氏の弁解に大きな差があります。それが選挙法違反に当たる部分なので、折田社長自ら会見を開いて説明してもらわないと兵庫県民は納得しないでしょう」など、自ら投下した燃油で“大炎上”しているのに斎藤氏のみが矢面に立たされている状況への不公平感が高まっている。
現時点では違法性があったかどうかは確定していない。ただ、斎藤氏サイドの主張と折田氏の投稿は食い違っている。山見氏によると、広報・PR会社は不祥事が起きた際、可能な限り、素早く対応するよう当事者に促すのが鉄則だという。
「PR会社は不祥事を起こした人や企業に指導しなければいけない立場。顧客情報に対する守秘義務は特に重要視すべきなのに、顧客情報を自ら開陳して、それを自ら削除する。守秘義務違反であり、SNSで自分の発言を隠ぺい、さらに記者会見を開いて公式発表しようとする姿勢もない。自ら社会的責任を果たそうとしていない。どこかのテレビ局の取材に『弁護士に止められてます』というようなことを言った。要するに逃げ回っている。それもPR会社としてあるまじきこと」
広報・PR会社の基本すらできていないと断罪した。
インスタではセレブ生活をアピール…エルメス・バーキンも披露
こうした騒動では、当事者からの説明が遅くなるほどダメージが大きくなる傾向があるとし、「みんな疑心暗鬼になる。しかも相手さんが公的な人。なおさら社会に影響ある。百条委員会の委員長だってどうしたらいいか分からない。黙っていればいるほど、風評被害やミスリードも出てくる」と続けた。逆に早期に何らかの意思表示をすれば、「自分の信頼を取り戻すことにもつながる」と、プラスの効果もあると付け加えた。
「とある日、株式会社merchuのオフィスに現れたのは、斎藤元彦さん。それが全ての始まりでした」
「ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました」
斎藤氏が下馬評を覆して当選したのは、SNS戦略が勝因と言われ、新たな選挙スタイルとしても注目を集めた。それはPR会社によって有償で作られたプロパガンダに踊らされていただけだったのか。折田氏の思わせぶりな“舞台裏”の公表には、斎藤氏への支援にかかわらず、投票した有権者の失望や怒りを買っている。
インスタグラムではエルメスのバーキンを持ち、高級アフタヌーンティーを楽しむ姿など優雅なセレブ生活をアップしていた折田氏。自己紹介では、「『日本の全てのダサいをなくしたい』フランス留学中にそう思いました」とつづっていた。
果たして説明逃れを続けている現在の自身の姿は輝いているのだろうか。
「いいことだけをやってあげるのがPR会社じゃない」と騒動における対応の重要性を繰り返した山見氏。
斎藤氏の代理人弁護士は、「今後の展開によれば名誉棄損等の問題はあるのかもしれません」とも話している。
有権者への1日も早い真相の説明が求められている。