佐久間宣行さん SNSの反響は「面白いよりも、『なんだ、この番組』という反響のほうがいい」

『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』(ダイヤモンド社)を刊行したフリーのテレビプロデューサー、ラジオパーソナリティとしても多方面で活躍する佐久間宣行さん(48)。彼は、テレビ東京の番組やNetflix『トークサバイバー!』、ラジオ、YouTubeチャンネル、著書、講演活動など、多忙な日々を送っている。そんな彼が実践している時間術や情報収集術とは?

佐久間さんの時間術や情報収集術とは【写真:ENCOUNT編集部】
佐久間さんの時間術や情報収集術とは【写真:ENCOUNT編集部】

10以上のプロジェクトに携わる多忙な日々

『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』(ダイヤモンド社)を刊行したフリーのテレビプロデューサー、ラジオパーソナリティとしても多方面で活躍する佐久間宣行さん(48)。彼は、テレビ東京の番組やNetflix『トークサバイバー!』、ラジオ、YouTubeチャンネル、著書、講演活動など、多忙な日々を送っている。そんな彼が実践している時間術や情報収集術とは?(取材・文=平辻哲也)

 佐久間さんは、2021年3月にテレビ東京を円満退社してから約3年半が経過しているが、表に出ているだけで10以上のプロジェクトを動かしているため、まとまった休みはほとんどなかったという。

「今年に入ってからは、仕事を詰め込まないことの重要性を感じ、休みを意識的に取るようにしています。フリーになってから始めた仕事が、ありがたい話ですがどれも継続しており、かなり忙しくなってしまったからです」

 予定がない日でも、つい仕事をしてしまうことが多いという。

「余裕があると、原稿を書いておこうと思ってしまいます。先にやっておけば後で楽になるからですね。だから、先輩や友達と遊びに行く予定を強制的に入れないと、休みにならないんです」

 しかし、佐久間さんなりのリフレッシュ方法もある。

「情報を遮断する時間を3~4時間を作ることが大事です。映画を観たり、サウナに入ったりします。サウナが好きな理由は、スマホを持たずに済むからです。スマホを長時間見るのは、すごくストレスです。ポメラという文書作成専用のデジタルメモ機を使うこともあるのですが、それだと余計な情報が入らず、集中できるからです」

 最近、頼りにしているツールはApple Watchだというが、その使い方は少し変わっている。

「僕の場合、便利に使うためではなく、最低限の大事な通知だけを受け取るために使っています。iPhoneのスクリーンタイム機能で、ある日1日20時間もスマホを見ていたことが分かり、驚きました。スマホ中毒もありますが、その頃は新番組の評判が気になって検索していたんです。自分のエゴサーチはしませんが、番組の評判を確認するのはプロデューサーとして大事な仕事です」

 ただし、SNSの評判は鵜呑みにはしないというのも佐久間さんの流儀だ。

「SNSにわざわざ細かい感想を書き込む人は特殊な人が多いと考えないといけないです。本当のインサイトはその奥にあるんです。大半の人は無関心で、意見を表明しません。ですが、匂いのようなものを感じ取ることは大事なので、少しでも体感しておく必要はあります。面白いという反応よりも、『なんだ、この番組』という反響のほうがいいですね」

佐久間さんが最近面白い感じた作品とは

 また、情報収集は過度に行わない。

「『ずるい仕事術』でも書きましたが、僕はテキスト世代で、自分が好きな作品の感想を検索しています。ただそういうときも、感性が合うと感じた一般の方のブログを10個くらいだけ選んでブックマークし、RSSリーダーで購読しています。それでその人たちがオススメする作品をチェックしたり、仲間内のLINEグループで話題になった作品なんかを確認したりしています」

 佐久間さんが最近面白かったのは、Netflixバラエティー『白と黒のスプーン』とコミック『ハヴィラ戦記』だという。

「『ハヴィラ戦記』は、小さな人型生物が人間に保護され、希少種だからと子作りを強制される、という話です。新人作家が書いた作品ですが、とても面白いです」

 本書『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』も、情報収集とフィードバックの積み重ねで書き上げられたものだという。悩み相談や企業講演での経験が生かされている。

「講演は銀行、メーカー、商社、エンタメ業界など、さまざまな企業から依頼をいただいています。年齢層も新人から管理職まで幅広いです。講演ごとにパワーポイントの資料を調整しますが、フィードバックを受けることが多く、それを生かしてきました。日本大学で特別講演も行いましたし、早稲田大学では今年の3月に学部卒業式の祝辞を担当しました。卒業から27年経ち、祝辞を読むことになったのは面白い経験でしたね」

 優等生ではなかったと話す佐久間さんだが、彼にとっての人生の師、モデルケースとなる人物は誰か。

「全てが完璧な人物はいないかもしれませんが、僕が独立したきっかけは、がむしゃらに働く先輩を見たことでした。管理職になるより現場でチャレンジしたいと思ったのが一つです。ビートたけしさんの他、伊集院光さんや東野幸治さんが、50歳を超えても自分で面白いものを見つけ、楽しんでいる姿も素晴らしい。自分もそうなりたいと思っています」。佐久間さんは、常に自分自身をアップデートし、楽しみながら挑戦を続けている。

■佐久間宣行(さくま・のぶゆき)1975年11月23日、福島県いわき市生まれ。テレビプロデューサー、演出家、作家、ラジオパーソナリティ。「ゴッドタン」「あちこちオードリー」「トークサバイバー」などのテレビ番組、配信作品を手がける。元テレビ東京社員。2019年4月からラジオ「佐久間宣行のオールナイトニッポン0」のパーソナリティを担当。YouTubeチャンネル「佐久間宣行のNOBROCK TV」は登録者数224万人を突破(24年9月現在)。著書に『佐久間宣行のずるい仕事術』(ダイヤモンド社)などがある。

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