人生を懸けた“ワイスピ車両” 部品盗難で被害総額500万円 夢を奪われ…「許せない」怒り殺到
「ドリフト人生を懸けた車」の夢が、盗難被害によって踏みにじられた。レース出場に向けて整備途中だったところ、エンジンや燃料タンクなど、高額部品が次々と盗まれ、被害総額は500万円近くに上る。マツダ・RX-7(FD3S)を、映画『ワイルド・スピード』シリーズに登場する人気モデルにアレンジした特別な1台。「このままではスポーツカー文化が廃れていってしまう」という熱い思いから、車両イベント展示やドリフトカーレース出場に向けて制作していたものだ。被害者が悲痛な思いを明かした。
「このままではスポーツカー文化が廃れていってしまう」 子どもたちに興味を持ってもらおうと制作していた
「ドリフト人生を懸けた車」の夢が、盗難被害によって踏みにじられた。レース出場に向けて整備途中だったところ、エンジンや燃料タンクなど、高額部品が次々と盗まれ、被害総額は500万円近くに上る。マツダ・RX-7(FD3S)を、映画『ワイルド・スピード』シリーズに登場する人気モデルにアレンジした特別な1台。「このままではスポーツカー文化が廃れていってしまう」という熱い思いから、車両イベント展示やドリフトカーレース出場に向けて制作していたものだ。被害者が悲痛な思いを明かした。
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「元に戻せないので、正直絶望です」
被害者の男性はこう言葉を振り絞った。宮崎を拠点にドリフト競技チームとして活動している「MiyazakiRacingTechnical」(@BIGWEST753)。個人運営の同団体が制作していたのが、今回の被害車両・フォーチュンFDだ。
団体の設立趣旨について、「この団体を作ったのは2つの思いがあります。1つ目は私が海外でドリフトをしてみたいという夢があったためです。
私自身、元々競技でドリフトをしてたのですが、家族の調子が悪くなり、私が家族をみないといけない状況もあり、地元から出ることができず、いったん活動を抑えてました。最近やっと周りの環境が整ってきて私が外に出られることになり、その中でもともとあった海外でドリフトをしてみたいという夢を持ち始め、行動に移そうと決心してこの団体を立ち上げました」と説明する。
2つ目は、“車離れ”への危機感からだ。「子どもたちの車への関心がなくなっている現状です。宮崎は車社会なのですが最近は外で見るスポーツカーが少なくなり、このままではスポーツカー文化が廃れていってしまうと感じました。『それなら私が好きなドリフト競技で、何か今の子どもたちに興味を持ってもらえないか?』と。車両展示やイベントへの車両貸し出し等を通して、興味を持ってもらえればと考えたからです」。この先のスポーツカー業界の未来にも思いをはせ、行動に出たという。
1992年式のRX-7で、“ワイスピ車両”だ。「この車両はVeilSide(ヴェイルサイド)社が出している、『ワイルド・スピード』で使われたワイドボディーフルキットを宮崎のK-line graphicさんが取付時にアレンジしてくれました」。映画に使用された実際の車体ではないとのことだ。
盗難されたのは、今後搭載する予定だった主要部品だ。「3.1リットル仕様2JZエンジン、クイックチェンジ、燃料タンク、フルバケットシート、ホリンジャーミッションのカマの5点です」。被害総額は約500万円で、「私個人の損害金額は300万円ほどで、もう1人の方の被害額を含めると全部で約500万円になります」と説明する。宮崎県内の倉庫に置いていたところ、窓から侵入され、持ち去られた。現在、車体や他の部品は場所を移して管理しているという。
「いろいろな方がXをフォローして応援してくれているので、少しは頑張れそうです」
ドリフトレースには、FORMULA DRIFT JAPANのFDJ3カテゴリーでの出場を目指していたが、今回、断念を余儀なくされている。
「出場予定車両として制作していました。車両の目的はもちろん海外でドリフトしたいという夢もありますが、まず何よりいろいろな人に楽しんでもらいたい! 子どもたちにドリフトレースへの興味を持ってもらいたい! という思いで制作している車両です。ワイルド・スピードの外装だったら『面白そう』と分かりやすいですよね。そこからスポーツカーへの興味を持ってほしい。その一心です。もちろんネタ枠だけでなく、FDJ3から頑張れるようにエンジンや仕様の変更も本気で制作予定でした。そして、『宮崎から世界へ!』が目標です。もともと某大型イベントでワイルド・スピードアワードもいただいた私一番の愛車でもあります」。人生の情熱を注いだ思い入れの深い1台。それだけにショックは計り知れない。
「このまま終わってしまうのかなぁと悔しいです」――。被害者男性が今回の盗難被害と情報提供をXで呼びかけると、「人の楽しみを奪うなんてありえねぇ!」「まじでありえない野郎が出てきましたね…微力ですが拡散しておきます!」「夢を奪うのは許せません」「許せないですね……ロータリー好きとして、車好きとして…拡散します!!」など、励ましの声が多く寄せられている。
防犯カメラに犯行の一部が映っており、犯人逮捕の糸口につながればと、捜査の進展を願う日々だ。
「簡単に購入できる金額のものではないですし、なんのサポートもなくすべて個人のお金で賄っている状況なので、計画は止まってます。なかなか人生うまくいかないものですね。いろいろな方がXをフォローして応援してくれているので、少しは頑張れそうです」と被害者男性は胸中を語る。
過去に親子連れが愛車フォーチュンFDに関心を寄せて見てくれた光景が、何度も思い返されるという。「作ったかいがあったなと思っています」。切実さが痛いほど伝わってくる。
オーナーや周囲の人たちの人生を台無しにする卑劣な車両盗難の犯罪。踏み込んだ社会的な対策が早急に求められている。