20歳の本田望結、ライバルは子役時代の自分「今はこんなことができているよと伝えたい」
俳優とフィギュアスケートで活躍する本田望結(20)が、映画『カーリングの神様』(11月8日公開、本木克英監督)で主演を務めた。フィギュアで培ったスケートの技術を超え、初めてカーリングという新たなスポーツに挑むことになった本田は、撮影を通じて数々の気づきを得たといい、二十歳の抱負も語った。
11月8日公開の映画『カーリングの神様』で主演
俳優とフィギュアスケートで活躍する本田望結(20)が、映画『カーリングの神様』(11月8日公開、本木克英監督)で主演を務めた。フィギュアで培ったスケートの技術を超え、初めてカーリングという新たなスポーツに挑むことになった本田は、撮影を通じて数々の気づきを得たといい、二十歳の抱負も語った。(取材・文=平辻哲也)
兄の影響で3歳からフィギュアスケートを始めた本田が演じるのは、カーリングに挑む高校生・香澄。本州最古のカーリング場がある長野県御代田町を舞台に、仲間とともにカーリングを通じて未来への一歩を踏み出していく高校生たちの奮闘を描く。
「日本ではリンクが少ないため、フィギュアスケートやカーリング、アイスホッケーなどの選手が同じリンクを使うことが多く、カーリングの選手を見る機会がよくありました。フィギュアスケートも同じリンクで練習していたので、カーリング自体は身近に感じていたんですが、実際にプレーした経験はほとんどありませんでした」
同じ氷上のスポーツでも、カーリングは本田にとって初挑戦だった。
「カーリングの選手の方々が自然にやっている姿を見ていたので、自分もできるだろうと少し思っていたんですが、想像以上に難しかったです。靴も違っていて、フィギュアスケートの靴と比べて全く感覚が違うので、慣れるのが大変でした」
特に苦労したのは、ストーンを投げる際の姿勢やコントロールだ。
「フィギュアではつま先立ちのようなヒールの姿勢で滑ることが多いのですが、カーリングでは膝を曲げて低い姿勢をとることが求められるので、身長や視点も変わり、全く違う感覚でした。普段のフィギュアの癖が出てしまうと失敗しやすいんです。身体の動きが違いすぎて、最初は本当に『自分、何をやっているんだろう?』って不思議に思う瞬間が多々ありました」
台本を読んでからすぐに練習を始めたものの、日本国内ではリンクの数が限られているため、思うように練習できなかった。長野での撮影に入ってからはほぼ毎日練習できるようになり、技術が向上していく実感が得られ、他のキャストと共に氷上での撮影が始まったことで、自然と「カーリングチーム」としての仲間意識が芽生え、チームメイトたちとの絆も深めることができたという。
「女優仲間というより、本当にカーリングチームの仲間として出会えた感覚でした。普段の役者同士のあいさつではなく、自然と“カーリングチームとしてやっていこう”という空気が生まれ、楽しい時間でした。今でもみんなのことをチームメイトだと思っています」
ストーンのわずかな角度や回転によって結果が大きく変わるカーリングの難しさにも直面した。「監督から『神ショットのシーンだから』と指示されるとプレッシャーもかかりましたが、やりがいも感じました」。一方で失敗するシーンもリアリティを求め、自ら苦手な角度で挑戦したなど撮影の裏話を明かした。
お気に入りのお酒は「ジンのソーダ割り」
劇中で主人公は、チームメイトたちとの葛藤や絆を通じて成長していく。フィギュアスケートは個人競技であるため、対立や意見のぶつかり合いが少ないが、本作では高校生らしい「ずるさ」や「悔しさ」など、チームプレイの中で生まれる複雑な感情に向き合う場面もあった。「チームプレイの中での複雑な感情を感じられて、人としても新しい経験ができたと感じています」
撮影中には、偶然家族の応援に行けたことが大きなモチベーションに。
「フィギュアの全日本選手権が長野で行われていたので、家族を応援に行ける機会があって、家族の存在のありがたさを再確認しました。普段はなかなか会えないことが多いので、久々に家族と一緒に過ごせたことも本当に良い思い出です」
今年、二十歳を迎えた本田は、女優とフィギュアスケートを続ける中、「自分の人生の答えを見つけたような作品」になったという。「これまで自分の選択が正しかったのか迷っていましたが、映画を通じて『ああ、これでよかったんだ』と思える瞬間がたくさんありました」とこの経験が人生の糧になったと振り返る。
ライバルは誰かと聞くと、「小さい頃の自分です。子役としての自分が積み重ねてきたものと、今の自分とを常に比べていて、昔の自分に『今こんなことができているよ』と伝えたい気持ちでいっぱいです」。
最近ではお酒も嗜むように。「最近はジントニックのようなジンのソーダ割りが好きです。女優としては、多くの方に驚いてもらえるような役に挑戦していきたいです。二十歳を迎えたことで、自分の行動に責任を持ち、子どもの頃の自分に恥をかかせないような大人になりたいと思っています。そして、今の自分に満足せず、まだまだ成長していきたいと思います」
『カーリングの神様』は新しい挑戦とともに、俳優として、フィギュアスケーターとして、さらには一人の人間としての成長を促してくれる作品となったようだ。これからの活躍に目が離せない。
□本田望結(ほんだ・みゆ)2004年6月1日、京都府出身。3歳から芸能活動を始め、日本テレビ系連続ドラマ『家政婦のミタ』(11)への出演が話題になる。その後、数多くの映画、ドラマに出演する。近年の出演作はNHK連続テレビ小説『らんまん』(23)、MBS『少年のアビス』(22)、日本テレビ系『ばかやろうのキス』(22)、映画『それいけ!ゲートボールさくら組』(野田孝則監督/23)、『きさらぎ駅』(永江二朗監督/22)など。フィギュアスケーターとしても活躍。
ヘアメイク:大和田京子
スタイリスト:志田舞
トップス・ワンピース(LE CIEL BLEU)、アウター(IRENE)、シルバーイヤカフ・ロングネックレス(Phoebe)