『極悪女王』にも忖度せず…63歳・ジャガー横田の株が爆上がりしたワケ 古参の記者「気概に惚れた」

またまた令和女子プロレスに騒動が勃発した。最近はネトフリでの『極悪女王』を含め、何かと話題の絶えない女子プロレスだが、まさかの動きを見せたのは、御年63歳のジャガー横田だった。震源地はストロングスタイルプロレス。15日に開かれた会見上、考え方の違いからジャガーが途中で退席。そこにはジャガーなりの「ストロングスタイル論」が存在した。

“活字プロレスの達人”ターザン山本!
“活字プロレスの達人”ターザン山本!

新間会長は論理的には矛盾だらけ

 またまた令和女子プロレスに騒動が勃発した。最近はネトフリでの『極悪女王』を含め、何かと話題の絶えない女子プロレスだが、まさかの動きを見せたのは、御年63歳のジャガー横田だった。震源地はストロングスタイルプロレス。15日に開かれた会見上、考え方の違いからジャガーが途中で退席。そこにはジャガーなりの「ストロングスタイル論」が存在した。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

「この間の後楽園ホールの試合については、私にとっては大変不本意な大会になっておりました。だいたい試合が始まる前に、その選手たちが、凶器に使う道具をリングサイドに運ぶバカがどこにいるんだ。ストロングスタイル? ふざけちゃいけない」

 11月5日に新宿FACEで開催されるストロングスタイルプロレスの会見中、最高顧問の“過激な仕掛け人”新間寿会長(89)が声高に叫んだ。

 要約すると、過去の同団体における女子プロレスの試合で、そういった試合が行われたという。

 会見上ではこれに対し、新間会長の隣に座っていたジャガーが反論した。

 この光景を会見場にいた元「週刊プロレス」編集長で、“活字プロレスの達人”ターザン山本!氏(78)が解説する。

「あれはいつもの新間節ですよ。だって新間さんはストロングスタイルを定義していないんだから。じゃあ、(新間会長がいた頃の)新日本プロレスに出ていたマクガイヤーブラザースは? アントニオ猪木VS上田馬之助の釘板デスマッチ(1978年2月8日、日本武道館)は? タイガー・ジェット・シンがサーベルを手に入場してきて、それを凶器として使ったのはストロングスタイルなんですか? と聞きたくなるわけよ。ストロングスタイルというのは、それを含めてどう闘うか、ということじゃないんですかと。だから新間さん的には正しいんだけど、論理的には矛盾だらけなんだよ!」

 興奮しながらそう話した山本氏は、その勢いのままジャガー横田を絶賛した。

「ジャガー横田は大先輩の新間さんに媚びずに、私は自分のプロレスをやってきたと訴えた。ジャガーいわく、『プロレスは非常に難しいもので、いまだに答えが見つからずに自問自答している。プロレスには受け身があるから格闘技とは違う』というカタチで、自分の生き方を堂々と貫いて反論をかまして、新間さんを立てなかった。しかも『女子部門の相談役は辞めます』と言って、会見を退出した。これね、女武士道ですよ! 完全に男を超えていたね。惚れたよ。見直すんじゃなくて惚れた。日本人というのはなあなあで終わるわけよ。水に流してね。それをせずに自分を貫いた。すばらしいよ!」

 ちなみに山本氏は、ジャガーが『極悪女王』に関しても異を唱えていたと話す。

「『極悪女王』は長与千種が監修していたんだけども、作品としては非常によく仕上がっていて、キャストの評判も良くてさ。総合的な評価も高いんだけど、その中に『ブック』という言葉が使われていて。これがプロレス関係者の間で物議を醸しているんだよな。つまり、監修した長与千種は、これを認めたということなのか。俺からしたらそこが長与千種の矛盾だらけなんですよ。しかし、ここでもジャガー横田は『ブックという言葉はプロレス界にはない』と切り込んでいて、ジャガーの株が爆上がりしたんだよ! つまり、2024年にここまで自分の生き方を切り込んだプロレスラーはいないわけよ。だから俺としては2024年のMVPは彼女にあげたい! そこまで日本人は切り込まないんです。角が立つから。そこをNOと言い切った気概に惚れたよ」(山本氏)

11月5日、新宿FACEでジャガー横田は何を見せるのか?
11月5日、新宿FACEでジャガー横田は何を見せるのか?

ジャガー横田の存在はガンなのか

 昔からプロレスに関わる映画や作品には「八百長」や「台本」などの話が出てくるものが数多く存在する。もしかしたら、それ以上に話を劇的に進める方法はないのかもしれないが、それが今回たまたま「ブック」というネットスラング用語が用いられたにすぎないのではないか、と考える。要は、なぜその言葉を使ったのかはともかく、手法自体は古典的なものではないか。

 さらに言えば、そこまで山本氏が絶賛するジャガー横田にも手放しで喜べない部分が存在する。現在の女子プロレス界では最高齢でリングに上がり続けるジャガーだけに、当然のことながら、若い選手に道を譲る気はないのか、といった声が上がっている。

 これに関して山本氏は「普通だったら、あの年齢になると若い世代に譲るのが美徳となっているのに、彼女は負けないんです。だから時代が変わらないし、ファンも変わっていかない。そうなると新陳代謝が起こらないので、ジャガー横田の存在がガンなのかが問われている。しかし、それを含めた上でもジャガー横田は面白いよね。それすらも肯定するのが受け身を取る、ということだし、プロレスの割り切れなさの象徴なんだよ。その割り切れなさの中に、俺たちは何をどう考えていくかが問われている」(山本氏)

 そして山本氏は、“過激な仕掛け人”新間会長にも着目する。

「普通に考えたらジャガーのメンツが潰れることを言わないようにするんだけど、新間さんはそれをあえて言ってしまって、ジャガーの怒りを引き出した。つまり、これが“仕掛け”なんだよな。それを無意識にやっているわけ。あれはジャガーを潰しにかかったわけじゃないんだけど、結果的にジャガーを本気にさせた。それを見て、取材陣は『これはどこからどこまでが本気なのか……』とやっている。これもまたプロレスですよ! 嘘のようなホントのような本気VS本気。89歳VS63歳、メチャクチャに面白いよ!」

 いずれにせよ、ジャガーと新間会長のおかげで、プロレスにおける「ストロングスタイル」とは何か? というテーマが俄然注目を集めた。取材陣を困惑させて、結果的に賛否が起こった。実はこれが最も重要なのだ。

 それぞれの「ストロングスタイル論」に幸あれ。

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