佐々木崇、座長は「意識が全く違う」 理想の人物像は「しんどい時にどういられるか」

俳優の佐々木崇(38)が10月31日から東京・浅草九劇で上演されるホラーミュージカル『キッチュ&ホラー・イン・モータース』で座長を務める。突飛なストーリーが展開される異色な作品となっているが、「ジェットコースターのようなエンターテインメントを味わってもらえる」と作品の仕上がりを確信している。

インタビューに応じた佐々木崇【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた佐々木崇【写真:ENCOUNT編集部】

主演作は突飛なストーリー展開「ここまで振り切った作品は初めて」

 俳優の佐々木崇(38)が10月31日から東京・浅草九劇で上演されるホラーミュージカル『キッチュ&ホラー・イン・モータース』で座長を務める。突飛なストーリーが展開される異色な作品となっているが、「ジェットコースターのようなエンターテインメントを味わってもらえる」と作品の仕上がりを確信している。(取材・文=中村彰洋)

 佐々木にとって、浅草九劇の舞台に立つのは初。今作で振付を担当する当銀大輔氏と過去に共演経験があったこともあるが、当銀氏以外のメンバーとは初対面。「関西出身の方が多いので、笑いのテンポ感なども面白くて、日々笑いながら稽古して、刺激的な毎日を過ごしています」。

 佐々木演じる主人公のエミルが人生に絶望している中で出会うのが、村田寛奈演じる「車になりたい女・ミサキ」だ。「ここまで振り切った作品は初めてですね」とあまりにも奇抜な設定に頬も緩む。

「最初に僕が益山(貴司)さんとお話させてもらった時に、『私、車になりたいんですけどっていう女性が出てきます』と言われて、『どういうことですか?』って(笑)。益山さんも『まだ分かんない』と言っていたのがスタートでしたね。月日が流れて、台本をいただいたら、本当に車になりたい女性が現れて、読み終わっても『これはどういう作品なんだろう』とよく分からないんです(笑)。いろいろな登場人物が出てきますが、皆さん個性が強くて、それぞれの武器があるので、エミルは楽しく振り回されています」

 今作は「ホラー」の冠がついた作品となっている。「エミルが体験することは、恐ろしくホラーではありますが、話の展開などは限りなくコメディーです。ホラーなシチュエーションが、面白おかしい展開になっていくのでたくさん笑っていただけたらうれしいですね」。

 今作は観客参加型のミュージカル。「他作品と比べても観客との距離が近く感じます」と魅力を口にする。観客のリアクションも含めての作品となるため、「本番が始まってみないと分からない部分が多いです」と期待を膨らませている。

 約1時間45分の上演時間と舞台作品としては比較的短めの構成となっているが、「読み合わせからめっちゃ疲れるんです」と濃度の高さを明かす。「それぐらいジェットコースターのように展開が速い作品です。お客さまにも爽快感が伝わるようなエンターテインメントを味わってもらえると思います」と自信をのぞかせる。

 2024年だけでも、5本目の舞台出演。ハイペースで多数の作品に出演しているが、「僕、セリフを覚えるの遅いんですよ」と苦労も明かす。

「今作は覚えることが多くて、みんな必死ですね。やっぱり詰め込む時間は1番しんどいです。でも入ってくるとそこからは楽しいんです。僕はカフェに行ったり、散歩しながら、ぺちゃくちゃしゃべって覚えるという怪しいことをしています(笑)。最終的には稽古をしながら、この状況でこのセリフが出るといった形で、頭じゃなくて体に入れていく感覚です。本番と次の作品の稽古がかぶる時もありますが、全く違う役どころだと気分転換にもなって楽しいです」

 今作では、座長という責任感も伴っている。「意識は全く違いますね。自分の色を出さなくてはいけないですし、場の空気作りも考えます。他の現場でも最年長ということはありましたが、そういった時は最年長なりに座長を立てようと意識していました。今回は自分が立たなくちゃいけない立場なんだと思って日々臨んでいます」。

 佐々木が理想とするのは「引っ張ってくれる座長」。「その状況でそれ言える? みたいな、引っ張り方をしてくれる人ってかっこいいですよね。以前に、松田凌くんと共演して、稽古がしんどい状況だった時に2人で前向きな話をしていたら『こういうしんどい時こそ人間の真価って現れますよね』とボソっと言っていて。ずっと楽しいだけはなくて、しんどい時にどういう風にいられるかは人として大切だなと思っています」。

 ホラーミュージカル『キッチュ&ホラー・イン・モータース』は10月31日から11月10日まで、浅草九劇で上演される。

□佐々木崇(ささき・たかし)1986年1月28日、東京都出身。早稲田大在学時はミュージカルサークル「Seiren Musical Project」に在籍。卒業後にテーマパークダンサーを6年経験。2014年から俳優として活動をスタートさせた。ミュージカル『エリザベート』(19年、22年)、ミュージカル『新テニスの王子様』シリーズや舞台『刀剣乱舞』など話題作に出演した。24年10月31日から上演のホラーミュージカル『キッチュ&ホラー・イン・モータース』では座長を務める。

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