池松壮亮、主演映画『本心』は自ら企画を持ち込んだ意欲作 原作者は感謝「実現に至って幸福」

俳優の池松壮亮が21日、都内で行われた主演映画『本心』(11月8日公開)のスペシャル対談イベントに登壇。原作者である平野啓一郎氏との対談で、映画版の誕生秘話を明かした。

イベントに登壇した池松壮亮【写真:ENCOUNT編集部】
イベントに登壇した池松壮亮【写真:ENCOUNT編集部】

原作者である平野啓一郎氏とスペシャル対談

 俳優の池松壮亮が21日、都内で行われた主演映画『本心』(11月8日公開)のスペシャル対談イベントに登壇。原作者である平野啓一郎氏との対談で、映画版の誕生秘話を明かした。

 本作は、平野氏の同名小説を、『月』や『舟を編む』などの石井裕也監督が映画化。今からさらにデジタル化が進み、“リアル”と“ヴァーチャル”の境界が曖昧になった少し先の将来を舞台に、亡くなった母の“本心”を知るためAIで彼女をよみがえらせることを選択する青年・石川朔也(池松)と、彼を取り巻く人間の“心”と“本質”に迫る革新的なヒューマンミステリー。俳優歴24年の池松が原作を読み、「今やるべき作品」「これは自分の話だ」と感じたことから、信頼を寄せる石井裕也監督に自ら企画を持ち込み、原作権獲得に向け、平野に直談判をしたほどの渾身の意欲作だ。

 2020年の夏に原作に出会ったという池松は、自身が企画を持ち込んだことについて、「俳優が出すぎたまねをしていのかと思う部分はありましたが、ひとつ説得する材料になればいいなと思いました。そして、ファンでしたから、まず会ってみたいという気持ちもありました」とコメント。平野氏は実際に池松と対面し、「映画に対して持っている真面目な考えと実行しようとする意欲に心を打たれました。朔也という青年も、殺伐とした世の中でピュアな心を持った青年。懸命に生きて前進していこうとする青年の物語と池松さんの映画に対する真摯な態度が響き合うような気がして、プロジェクトが実現するのであれば嬉しいと思い、その場でよろしくお願いしますと話しました。実現に至って幸福でした」と感謝した。

 印象に残っているシーンを聞かれた池松は、「母との再会、そして最後の別れ。あの二つは印象に残っています」と答え、「僕自身も15歳の時に死んだ大好きだったおじいちゃんと何回も脳の中でいまだに対話、再開している」と告白。「死者との対面というのは、人間があらゆる形で続けてきたこと。テクノロジーが境界線を曖昧にしてきている怖さと再会や対話できることの喜び、いろんな複雑な感情がありました。誰も同時代に生きる人たちが到達していない所に、朔也として未来にこの物語を借りて行ってきて、そこで新しい人間の悲しみを見てしまったような感覚でした」と撮影時の感情を明かした。

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