『虎に翼』出演の三山凌輝…視聴者の「BE:FIRSTのメンバーなの?」が「ある意味、うれしい」理由

NHK連続テレビ小説『虎に翼』で主人公の弟役を好演した俳優・三山凌輝(みやま・りょうき)。彼がダンス&ボーカルグループ・BE:FIRSTのRYOKIだと後で知った視聴者は数多い。今月16日には初写真集『Gaze』(主婦と生活社刊)を発売。彼はどんな歩みで今に至るのか、この先のビジョンは……。インタビューでそのパーソナリティーに迫った。

現在、過去、未来を語った三山凌輝【写真:矢口亨】
現在、過去、未来を語った三山凌輝【写真:矢口亨】

パーソナリティーに迫ったインタビュー「前編」

 NHK連続テレビ小説『虎に翼』で主人公の弟役を好演した俳優・三山凌輝(みやま・りょうき)。彼がダンス&ボーカルグループ・BE:FIRSTのRYOKIだと後で知った視聴者は数多い。今月16日には初写真集『Gaze』(主婦と生活社刊)を発売。彼はどんな歩みで今に至るのか、この先のビジョンは……。インタビューでそのパーソナリティーに迫った。(取材・文=よもつ、構成=柳田通斉)

 三山は『虎に翼』で、主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)の弟・猪爪直明を演じた。同作で三山を認識し、ネット検索したらBE:FIRSTのメンバーだった。そんな驚きを覚えた視聴者は少なくない。彼は一体、いつから芸能界に身を置いているのか。

「出身は名古屋で、幼稚園の頃からよくスカウトされていました。男の人が母親と話しながら僕の顔を見ていて、恐怖でしかありませんでした(笑)。その時は芸能界には全然興味なかったのですが、しばらくしてドラマが好きになり、気付いたらかっこいいダンス・ボーカルグループや海外アーティストにひかれていました。そして、『芸能界に入りたい』と思いました。動機は不純だけど、『キャー、キャー言われたかった』というのもあります(笑)」

 中学1年生のある日、スカウトから俳優事務所の最終オーディションに誘われた。母親と一緒に上京し、受験して合格。週末、演技レッスンや役のオーディションで東京に通う日々が始まった。

「そこからは学びの積み重ねでしたが、演技の意味が分からず、ずっとモヤモヤしていました。それで逆に火がつき、のめり込んだ感じです。『ムカつくからやりたい』って(笑)。でも、オーディションにはなかなか受からず、事務所も転々としていました」

 高校入学時、芸能活動に本腰を入れるべく東京での生活を始めた。高校卒業前、現在の(俳優サイドの)事務所に所属。程なく2.5次元ダンスライブ『ツキウタ』の出演が決まった。

「今の事務所に落ち着くまでは嫌な思いもたくさんしました。『大人は汚い』と感じたこともありましたが、それもいい学びで思考力がつきました。『芝居も好きになったけど、もともとは歌って踊ることも好きだった』と思う中、アーティストの役やバンドマンの役など、音楽に縁がある仕事が続きました。ただ、中途半端になりたくなかったし、自分の中で『役者で納得いくまでやる』と決めていました」

 そんな三山が2021年、ラッパーのSKY-HIが設立した音楽事務所・BMSG主催オーディション「THE FIRST」に参加。7人グループ・BE:FIRSTのメンバーに選ばれた。

「役者として全然納得できていなかった時期でした。ただ、一番大きな目標が変わらなければ、『そこにたどり着くまでの予測不可能なことは楽しんでも良い』と思ったので、受けることにしました。大きなチャンスでしたし、自分の魅力や可能性を最大限出せる環境だという直感を信じました。『THE FIRST』の『クオリティーファースト』という信念も面白いと思いました」

 同年11月に正式デビューしたBE:FIRST。翌22年には、NHK紅白歌合戦に初出場し、瞬く間にスーパーグループに成長したが、三山は俳優としての矜持も貫いていた。

「BE:FIRSTと同じくらい、それ以上に俳優、表現者としての『三山凌輝』を知ってもらいたいと思ってきました。逆に『アーティストがお芝居している』と思われるのは嫌でした。だから、『虎に翼』で僕を知っていただき、『BE:FIRSTのメンバーだとは知らなかった』と言われるのは、ある意味すごくうれしいことです」

朝ドラ『虎に翼』に猪爪直明役で出演していた
朝ドラ『虎に翼』に猪爪直明役で出演していた

俳優、アーティストの双方で目指す海外進出

 現実に『虎に翼』の猪爪直明役は、俳優としての実績が評価され、つかみ取っていた。

「その前に出演させていただいた『生理のおじさんとその娘』(NHK総合)と『虎に翼』が同じ制作陣の方もいて、猪爪直明役のお話をいただきました。朝ドラは出演したかったですし、この素晴らしい作品に携われたことがうれしかったです。吉田(恵里香)さんが書かれる脚本のテーマは骨太だけど、きれいごとで終わらせずに良い意味でモヤモヤもある。キャラクターの人間味を出してくれる素晴らしい脚本だと感じました」

 三山は物語の中盤から登場。食糧不足の終戦直後という設定のため、体重を10キロ減らして臨んだという。直明は、丸刈りが特徴で素直で実直な役柄。約6か月の撮影期間中は自己判断で体重をコントロールし、髪は監督と相談して伸ばしていた。

「好きな筋トレも止めて、鳥の胸肉ばかりを食べて減らしました。物語の後半は、豊かな時代になるので、筋トレを再開して髪も伸ばして『幸せそうな男の人』を演じました。演出の方から『また、大きくなったね』と言われたので、『ダメですかね』と返したら『いいよ』と言っていただきました(笑)」

 期間中は役と「一心同体の感覚」になり、共演者との絆も深まったという。

「打ち上げで、(伊藤)沙莉ちゃんが『凌輝の演技にすごく助けられた』って言ってくれました。猪爪家にとっての大事な局面(寅子が家族とギクシャクした時、寅子が結婚する時)で、直明が結構しゃべるシーンがあり、プレッシャーを感じていました。そのシーンを振り返って、沙莉ちゃんから『そういう時って外さないよね。素直で演技のうまいとかじゃない、その先の部分を出せるのって普通ができないから』と言われ、本当にうれしかったです。『大笑いした後にすぐに号泣できる天才の伊藤沙莉から、芝居を褒められた』って(笑)」

 今年は文字通り、「飛躍の年」。目標だった朝ドラ出演を果たし、3月にはBE:FIRSTとして東京ドーム公演を実現した。まだ25歳で順調な芸能生活を歩んでいるように見えるが、三山は笑いながら「全然、順調じゃないです」と言った。

「18歳の時には爆売れしているつもりでしたし、挫折も多かったですから。ただ、おかげでいろいろと考えてビジョンを描くことができました。東京ドームや朝ドラも人生の設計図の中に入っていたので、過度に浮かれることはなかったです。まだまだですし、やりたいこともいっぱいあります」

 今後も俳優、アーティスト活動を両立する意向だが、その視線は「世界」に向いている。

「BE:FIRSTとしては行けるとこまで、皆でやっていきたいです。単に世界に出るのではなく、音楽を聴いてくれる人、ライブに来てくれる人が世界中に増えるという意味で、ワールドワイドになっていきたいです。俳優としては、2年以内に海外作品に出演したいです。今はハリウッドが全てではなくなり、日本との合同制作や、サブスクの作品もあります。アクションやミステリー物も好きなので、オーディションも受けたいです」

 インターナショナルスクールに通い、留学経験もある。英語力はネイティブ並みだ。「将来は5か国語をしゃべりたい」と思い、今は韓国語を勉強中だ。

「最終的なゴールは人として幸せになること、有名になってできる社会貢献です。好きな動物関係のこともしたいし、自分の幸せを追求して、同時に周りにもそう思えるような環境を作っていきたいです。そのためにも、俳優として、アーティストとして、一つずつをやっていきたいです」

 続くインタビュー「後編」では、そんな三山が初写真集『Gaze』に込めた思いを語っている。

□三山凌輝(みやま・りょうき) 1999年4月26日、愛知県生まれ。俳優として、ドラマ、映画、舞台など多くの作品に出演。今年前期放送のNHK連続テレビ小説『虎に翼』には、猪爪直明役で出演。一方で、2021年からダンス&ボーカルグループ・BE:FIRSTのメンバーとしてアーティスト活動。177センチ。血液型O。

ヘアメイク:西村裕司(earch)
スタイリスト:八木啓紀

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