日本舞踊と俳優の二刀流 藤間爽子、30歳で辿り着いた新境地「その年齢にしかできない役がある」

伊藤万理華(28)主演の映画『チャチャ』(10月11日公開、酒井麻衣監督)で主人公ヒロイン、チャチャの同僚・凛を演じたのは、俳優の藤間爽子(30)だ。2021年には日本舞踊の三代目藤間紫を襲名し、家元と俳優の二刀流で活躍。読売テレビ系『つづ井さん』(10日スタート、木曜深夜0時59分)ではドラマ初主演も果たした藤間の現在地は?

2021年には日本舞踊の三代目藤間紫を襲名した藤間爽子【写真:矢口亨】
2021年には日本舞踊の三代目藤間紫を襲名した藤間爽子【写真:矢口亨】

家元と俳優の二刀流で活躍…ドラマ初主演も果たす

 伊藤万理華(28)主演の映画『チャチャ』(10月11日公開、酒井麻衣監督)で主人公ヒロイン、チャチャの同僚・凛を演じたのは、俳優の藤間爽子(30)だ。2021年には日本舞踊の三代目藤間紫を襲名し、家元と俳優の二刀流で活躍。読売テレビ系『つづ井さん』(10日スタート、木曜深夜0時59分)ではドラマ初主演も果たした藤間の現在地は?(取材・文=平辻哲也)

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『チャチャ』は『美しい彼 eternal』『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』の酒井監督(31)が脚本、メガホンを手がけ、『ドライブ・マイ・カー』の大江崇允氏が脚本協力。野良猫のような自由奔放さをもつ女性チャチャ(伊藤)の恋と成長を描く。

 藤間の役は、同僚の凛。妻子持ちのデザイン事務所社長(藤井隆)を密かに恋し、社長の仲の良さに疑いを持ち、チャチャを尾行する。物語は、酒井監督の鮮やかな色彩感覚の中で、コメディー、ファンタジーが展開され、終盤ではサイコホラーの要素もある風変わりなラブストーリーだ。

「摩訶不思議な匂いが漂っていて、展開に終始驚かされました。どういう映画になるのだろうというのが第一印象でした。凛はとてもかわいい女性で、BLが好きだったり、ちょっとオタク癖を持ちながらも。とても純粋で、好きなものには一直線で魅力的な女性。コミカルな役はあまり演じたことがなかったので、すごく楽しかったです。周りには変わった人が多いのですが、凛は全く偏見がなく、むしろ魅力的だなって思うタイプで、自分も同じでした」

 撮影は昨年6月末から7月。チャチャが思いを寄せる相手・樂役には中川大志(26)、ナゾの男役には塩野瑛久(29)が共演している。

「監督を始め、共演者に同世代が多く、現場は和気あいあいでした。社長役の藤井さんは自由に演じていらして、会社の雰囲気を醸し出してくれました。女性の監督とのお仕事はあまりないですが、酒井監督は気さくな方で、いろんなことを相談できました。色使いなど視覚的な部分にこだわりが詰まった映画だと思いました。監督の脳内を見ているようで、何のジャンルにも属してない摩訶不思議な面白い映画になっています」

 同時期に放送開始となった『つづ井さん』は、90万部突破のオタクの日常を描く人気エッセーをドラマ化。推し活に熱中するオタクで凝り性な「つづ井さん」役でドラマ初主演も果たした。

「あまり主演を張っている意識がなく、この現場が楽しすぎて一番、私が楽しんでいたんじゃないかな。原作の漫画がとても楽しく、明るい話なので、撮影の雰囲気も終始楽しかったです。初主演のプレッシャーは一切なくて、『前世からの友』のような仲間たちがいたので、撮影は女子高というか、動物園みたいで、スタッフさんから『真面目にやって』と怒られるぐらい打ち解け合える現場でした。その楽しさが作品を見てくださる方にも伝わってくれるんじゃないかなと思います」

朝ドラ『ブギウギ』にも出演した【写真:矢口亨】
朝ドラ『ブギウギ』にも出演した【写真:矢口亨】

30歳となり「ワクワクでいっぱい」

 21年には三代目藤間紫を襲名したが、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』ではヒロイン鈴子の幼なじみの親友役を演じるなど女優業の活躍も目立つ。

「女優業と舞踊は半々ですけど、最近、女優業の方が多くなっています。女優には20代、30代でしかできない役があるので、自由にやらせてもらっています。舞踊の流派の人たちにしたら、頼りない部分がたくさんあると思いますが、応援してくださっているので、感謝しています。私に興味を持って、舞踊を習いたいという生徒さんもいて、良かったと思います」

 8月3日には節目である30歳の誕生日を迎えた。

「20代半ばに女優業を始めて5年間。本当にいろんなことが目まぐるしく変わったことを身をもって実感しました。29歳の時は『30』という響きにビビっていた部分はありますが、襲名した時も同じで、結局、自分は変わってなかった。今は30代だなという、ワクワクでいっぱいです。『チャチャ』も『つづ井さん』でも、自分にはこんな引き出しがあったんだと思いました。作品や役のおかげで新しい自分に気付けるような気がします」

 休日でも、家にいることはほとんどなく、出かけるのが趣味とアクティブだ。

「映画を見に行ったり、友達と会ったりしています。少し長い時間があったら、旅行にでかけています。一つのところにいられない性格なのかな。旅行でも、のんびりすることはなくて、ツアーに参加したりしています。今年の年始に友達とイギリスとフランスに観劇三昧の旅をしました」

 今後も、女優業と舞踊家の“二刀流”の活躍が期待される。大リーグの大谷翔平の名前を出すと、「大谷さんに例えられるのは、やめてほしいです。全然違うので、恥ずかしいです(笑)。何でも楽しめるのが特技とは思いますので、ジャンル問わず、役を問わず、いろんな役に挑戦していきたいと思っています」とさらなる活躍を誓った。

□藤間爽子(ふじま・さわこ)1994年8月3日生まれ、東京都出身。幼少より祖母・初代家元藤間紫に師事し、2021年、三代目藤間紫を襲名。日本舞踊家・女優として、舞台や映像を中心に活動中。劇団阿佐ヶ谷スパイダースに所属。近年の主な出演作に、映画『大名倒産』(23/前田哲監督)、『夜明けのすべて』(24/三宅唱監督)、『九十歳。何がめでたい』(24/前田哲監督)、ドラマ『マイファミリー』(22/TBS)、『silent』(22/CX)、『ドラフトキング』(23/WOWOW)、連続テレビ小説『ブギウギ』(23-24/NHK)、舞台『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』(24/倉持裕演出)など。公開待機作に映画『アイミタガイ』(24/草野翔吾監督)がある。

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